第7話 恋愛は誰かからの連絡で大きく変わる……と思う

 青白い光が照らされている中、勉強机でブルーライトを放っている。

 なんだこれ、よく考えれば青のオンパレードじゃないか。


「やっぱり、そうなんやなぁ……」


 独り言が漏れる。

 口元から吐き出されたそれは、夜の空気に飲み込まれた。

 1階の台所からかすかに聴こえる、皿が擦れる音。皿洗い中だろう。


 目を閉じてその音を聞く。

 数秒経った辺りで目を開け、白い背景のホームページを再度見た。

 中2で見た、『心に闇がある人の特徴』。訪れるのは実に1年半ぶりだ。

 暗い過去。経験上の傷。渡辺さんで言えばそれらが『心の闇』になっているのだろう。


『白米と揚げ物だけのお弁当は駄目ですよ、茶色ばっかりは風邪引きます』

『う、うん……』


 ……『記憶力がよい』。おまけに成績だってよい。


『来ましたよ』


 ……『常に微笑を浮かべている』。たまに崩れる事もあるけれど、大抵は誰からも愛されるような微笑みを維持している。

 そして、『付き合いがよい』に書いてある、誰からも頼られるという文。

 憎悪している女子もいるかもしれないが、現に先生からは頼られている。

 あのプリント事件、頼られているから手伝えたとしか言いようがない。


 そしておまけに『美人である』。彼女は、その場に10人いたら少なくとも7人の記憶に残る程の美女だ。

 4つも当てはまる、もうこれは確定だろう。


 ……君は何を抱えているのだろうか。


 スマホを置いて寝ようとした瞬間、誰かからの連絡が来た。

 なんだよこんな時間に。そう思いながら確認すると、送り付けられたのはしゅんからの短いメッセージだと分かった。


『明日と明後日、渡辺と弁当食べたい?まぁ色々おまけ付くけど』


 おまけとは? そもそもあいつ渡辺さんと繋がってたか?

 色々疑問がある。だが、やっぱり彼女と一緒に居たいので、オーケーの返信をした。

 おう、と、更に短く返ってくる。既読スルーし、操作していたそれを机の上に適当に置いた。


 ベッドに寝転がる。

 ……弁当の中身、変更できないかなぁ。



「え、え」

 中庭の、同じ所に居るのは……

 にい、しい、ろう、はあ、とう、にい、しい、ろう……16人。しかも男女混合。

 同クラの奴から知らない奴まで、様々な人間が集まっている。

 そこには渡辺さんや、瞬の彼女の中津なかつさんも見えた。


「ごめん待たせたー!!」


 あ、瞬。これで僕含め18人だ。

 ……ここで僕は、昨晩のメッセージを思い出した。


「しゅ、瞬。まさかおまけって……」

「ん? ああ、俺の友達とか、その友達とか。ざっと10人」

「多過ぎん!?」

「そうか?」


 はあ、わかりきってはいたけれど、やっぱり彼は根っからの陽キャだ。


「でもラッキーだったな。莉子りこの友達に渡辺と同クラの奴がいたんだよ」

「それって、だからどういう……」

「だから!! この機会に少しは進展させろーって事!!」


 小声でそう言われ、かなり強引に渡辺さんの所へ行かされた僕。

 なんだ。何を話せば、話しかければ良いって言うんだ。


「あの、明石くん。お弁当……食べませんか?」

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