第2話 プリントの落下で陽キャにバレた僕の恋心

「え、しゅん、もうリア充なったん!?」

「まーな。運命的な出会いってこういう事なのかな」

 

入学してから2週間程経ったある日。クラスの陽キャ・瞬が彼女持ちになった。

 彼は初日にクラス全員に話しかけて、見事大量の友達を獲得した奴。

 ……コミュ力お化け。おまけに高身長(177cmらしい)。彼女ができるのも無理はない。

 僕はというと、勇気を出して話しかけてみたのだが、5人と友達になったという結果だ。

 勿論、その中に瞬も含まれている。

 僕だってそんなに陰気まとってない筈なのにな、こいつやっぱすげえな、なんて思っていると、ふと女の先生が大量のプリントを抱えている後ろ姿が目についた。

 次の瞬間。


「あっ」


 風が吹き、少し小さめな声が発された直後、何百枚ものプリントが床に落ちていった。


「あー、先公プリント落としてるじゃん」

「僕、拾うの手伝おうかな」


 そう言って先生の方に行こうとすると、瞬に肩を叩かれた。

 自然に振り返る。


「こういうのを手伝うのは一人なのが一番良いって。ほら、渡辺が」


 再び先生を見ると、渡辺さんが拾っていた。彼が喋っている間に声をかけたのだろう。

 さらに、自分を拾った分を持ち、先生と歩調を合わせて歩いていった。


「渡辺、すげぇよな。天狗になってないのも好印象。あいつに恋してる奴沢山いるし」

「そっか……」


 

 まぁなんとなくそうだろうなとは前々から思っていたけれど、改めて言われると嫌な気


持ちになった。

「あ、もしかして叶も好き? 渡辺葵のこと」

「え、そんな、そんな……」


 そんなの先の言葉が紡げないでいると、好きなんじゃん、と言われた。



 何事も自分が分かっている事を人に言われると嫌な気持ちになる。

 けれど、瞬が今言った事は、別に嫌なんて思わなかった。

 むしろ、自分が渡辺さんに恋してる事を認められた様で、少し嬉しかった。

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