第10話 偏見を「減らす」こと
フーコーについての話にもう少しだけお付き合い願いたい。私は、彼について授業で取り上げられた際に倫理学の先生が授業内で話していた「理想の教師像」についての話が今でも忘れられないのである。
「僕は何に関しても『成りきらない』ことを大切にしている。完全な教師にはなりきらないようにしている。何故ならば『完全な教師』に成りきってしまうと、教師としての目線でしか教師を顧みることができなくなってしまうから。授業を受けるのは教師ではなく生徒たちなのだから、教師は『教師』という名前の仕事に身を置いて且つ、生徒として、子どもとしての目線でも教師を見ることのできる存在であるべきだと思う。」
意訳である部分の多いのが心残りだが、内容の粗筋はこのようなものであったと記憶している。子供を含む少数派たちの意見は、それがいずれ大勢の心を揺るがす素晴らしいものであったとしても気づかれぬままに消え去ってしまうことが多い。偏見を完璧に無くすことは不可能かもしれないが、偏見を無くそうと心がけることには意味がある。物の見方を広げ、他人の価値観が尊重されているこの美しい考え方が、私の心の琴線に触れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます