第4話 万人にとっての「普通」はあるか
さて、「普通」の基準が人それぞれのものであると結論づいた以上、この世に同じ人間が居ない限り万人にとっての普通は存在しないと分かった、ということで話を切り上げてもよさそうだが、ここで私はもう一つの疑問を提示したい。
冒頭に記した会話文についてである。
先にも述べた通り、普通という言葉を用いた会話は我々の日常に違和感なく存在し、用途に一々思い煩うことなく用いられている。会話という名の他者との関わり合いに「変わっている」「普通」といった、所謂個人の価値観に依存した言葉が飛び交い、さらにはそれに共感の意を示すということもあるという事実。違和感を感じないだろうか。
誰かの言った「あの人なんか変わってるね」に、他の誰かが共感の意を生じるということがあるのならば、もしかすると「普通」にも個々の捉え方以前に、大衆に通ずる一般論的な定義があるのかもしれない。そうとなれば、どうやら「普通」を個人の問題だと一蹴するわけにもいかないようだ。
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