第27話

「ちょっと待ってほしい。次元の狭間がもうすぐ閉じられるとはどうゆう事だ?それになぜアマネさんがそれを知っている」




 あ、そうだよね。いきなりこんなこと言われれば警戒するよね。失敗失敗。




「えーと、それはですね、……ちょっと待ってください」




 どうやって説明しようかな?普通に、世界の管理を任されたものです?いやいや誰が信じるよそんな説明で、直球過ぎでしょ。


 えー、じゃあ、予知したから?それもないな、面白みにかける。うーん……、あ、思いついた。これはこれでアリかな?まあ、もう思いつかないからこれでいっかな。




「はいファギルスさん、思いつきました」




「ん?思いついた?」




「いえ、なんでもないです。えーとですね、私はこの世界の神様をやっておりまして、次元の狭間が出来てるのは知ってたんですけど、閉じるのが遅いと思ってたんですよ。でも、閉じるのが意外と早くてですね、催促をしようと思ってファギルスさんをここまで呼んだんですよ」




 うん、胡散臭い説明だけど多分これで理解はしてくれるはず。てか、説明してる私自身が何を言ってるのかわからないけど。




「アマネさん、冗談も程々にしていただけますか?次元の狭間がもうすぐ閉じる?いえいえまだ時間がありますよ?ワタシが開けたのは持って5日の次元の狭間ですよ?そんなものが早まるわけがないじゃないですか。それと、ワタシの前で自分が神だと言わない方がいいですよ。うっかり殺してしまうかもしれないですからね」




 おふ、ダメだ信じてもらえない。まあ、説明が胡散臭いから仕方ないね。それに神を自称したら殺害予告されるとか、それもうっかりですようっかりですよ。いやー怖い怖い。神(自称)はダメと。なるほどなるほど。うん、普通に説明した方が良かったかもしれないよコレは。




「あのーファギルスさん、そんなに警戒しないでくださいよ。神様なのは違いますけど、次元の狭間がもうすぐ閉じるのは本当なんですよ。ファギルスさんは次元の狭間の状況とか確認できないんですか?」




「むう、確認か。出来ないことはないが、次元の狭間まで行かないといけないのですよ。そして、次元の狭間からここまで少し距離がありましてね。閉まるまでに次元の狭間に着けるかどうか……」




 なるほど、ニューベルトさんに聞いてみた方がいいかな?でも、そうするとファギルスさんの前じゃ出来ないから離れないといけないし、離れたら離れたで今よりも警戒されそうだしどうしようかな?


 うーん、どうせファギルスさんは元の世界に戻るしバレても大丈夫な気がするけど……。


 まあ、考えてもどうしようもないしいいかな。




「あのファギルスさん。今から次元の狭間がどれくらいで閉まるか聞いてみるので少し待ってもらえますか?」




「聞く?誰にですか?そしてどうやって聞くのですか?」




「えーと、その、私の上司?に電話して聞きます。なので少し待ってください」




「上司?まさか、それは神ではありませんよね?」




 うっ、やっぱり警戒された。てか、神とかそう言う感じのに警戒しすぎじゃないかな?


 もしかして、バレたらやばいことでもこっちの世界でやったのかな?……あ、魔物の軍隊作ってたわ。そりゃ、警戒するよね。そんな目つけられるようなことしてたら。




「神様とかそうゆうのじゃないです。まあ、色々な世界の管理とか他にもやってますけど、どちらかと言ったら公務員みたいな感じですよ」




「こうむいん?が何かは知らないが神ではないんだな?」




「はい、違います。信用してください」




「わかった、信用しよう」




 はあ、やっと信用してくれた。すんごい警戒心強いんですけどこの人。そんなに神様に見つかりたくないなら魔物の軍隊なんて作らなければいいのに。


 まあ、とりあえずニューベルトさんに聞いてみますかね。




「ファギルスさん、今から電話しますけど静かにしててくださいね」




「わかった、静かにしてよう」




 はあ、ホントに静かにしてくれるかな?まあいいや、とりあえず電話しないと。てか、電話したとして、なんでそん事聞くの?ってあっちからしたらなるよね。


 それで次元の狭間を開いた張本人を見つけて、帰そうとしてるって言ったら怒られるかな?……うん、わかんない。とりあえず電話しよう。




 てってれてれれ、てってれてれれ、てれれってれれってれれってれれっ、てててててって……てってれてれれ、




 いや、なんで着信音かわってるの!?しかも、これアレだよね!モンスターをハンターがハントするゲームの肉焼く時の音楽だよね!アレ音無しで合わせるの難しいんだよねー。てか、着信音はいいんだよ!もう3コールめだよ!


 だあああ!やばいファギルスさんの我慢がそろそろ限界に近いような気がする。気がするって言うか現在進行形でこめかみがめちゃくちゃピクピクしてる!


 ひぃぃぃぃ!ニューベルトさん早くでてよーーー!




 ピッ




「すいません、出るの遅れました。ニューベルトです。何かありましたか雨音さん?」




「やっとでた!ニューベルトさん次元の狭間ってあとどれくらいで閉まりますか!?あ、こっちの時間でお願いします!」




「え、あ、はい、分かりました。確認するので少し待ってください」




「わかりました」




 よし、ファギルスさんの怒りを回避した!あとはニューベルトさんの報告を聞けば完了!


 さーて、あとはどれくらい時間が残ってるのかだよねー。




「……雨音さん、今確認してきましたが、はっきり言ってそんなに時間が残っていません」




 おふ、戻って来たと思ったら時間がそんなに残ってないですって奥さん。……奥さんって誰よ。




「それでどれくらいですか?」




「はい、その……そちらの時間で1日です」




「はい?え、あのもう1回お願いします」




「1日です」




 いやいやいや、1日って結構余裕あるんですけど、それを時間が余りないって時間の感覚狂ってるんじゃないんですかね。


 ……あ、アレか。海外と日本の時間が違う感じのアレか。なるほどね。それに異世界だし、日付の違いとか時間も違うのかな。いやー、私ってば天才だね。うんうん。




「わかりました、1日ですね。ニューベルトさんありがとうございます」




「いえいえ、これが私の仕事ですから。それで、この様なことを聞くと言うことは、次元の狭間を開けた犯人を見つけたとゆうことですか?」




 おっと、なかなかに鋭い。まあ、この際だし言っておこうかな。後で言おうと思ってたし。




「ええ、見つけたって言うかずっと一緒にいました」




「そうですか……。わかりました、それでは次元の狭間まで絶対に!早急に!送ってください。頼みましたよ」




「は、はい。わかりました」




 うぅ、ニューベルトさんからの圧が凄い。やっぱり言わない方が良かった……。まあ、言ってなかったとしてもそのうちバレてたろうけどね。


 さて、聞くことは聞いたし、言われたことをやりますか。




「あの、ファギルスさん。次元の狭間がどれくらいで閉まるか聞けたんですけど、聞きますか?」




 そしてここで謎の焦らしプレイをする私。たまにやりたくなるんだよね、こうゆうこと。




「ええ、聞きたいですね。それで、聞かせてくれるんですよね、アマネさん?」




 おっと、こっちも圧が凄い。それも、さっきのニューベルトさんみたいな感じじゃなくて静かな感じの圧。まあ、圧とか言ってもよくわかんないけど。あと、ちょっとづつ近づいてくるのやめてください。




「はい、わかりました。言います。言いますから、ちょっとづつ近づいて来るのやめてください。逃げたりしませんから」




「わかりました。少しづつ近づくのはやめましょう。それでは次元の狭間がどれくらいで閉まるか言ってください」




「わかりました。次元の狭間が閉まるのは……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る