第25話
「なあ雨音。ギルドに戻ってきて気が付いたことはないか?」
「気が付いたことですか?えーと、ギルドに人がいないですね」
「ああ、そうだな。それ以外に何かないか?」
他にって言われてもなあ、特にこれと言って無いような気がするんだよね。
「んー、しいて言うなら、ちょっと机テーブルかにうっすらと埃がたまってるぐらいですかね」
「そうだな、うっすらとだが埃がたまってるな。だがな雨音、俺らがこの街を出たのはいつだ?」
「昨日じゃないですか。何がおかしいんですか?」
「昨日だからおかしいんだ。よく考えてみろ、俺らがこの街を出たのが昨日。そして、戻ってきたのが今日。まあさっきだな。だが何で埃・が・た・ま・っ・て・る・ん・だ・?」
「何でって………。あ!」
そうだよ、私達がこの街から出て帰って来るまでにはそんなに時間が経ってない。なのにうっすらとだけど埃がたまってるのはおかしい。まるで、私達の時間だけが遅くれてる。
「その顔は気づいたようだな。俺も最初は気づかなかったんだ。だけどな、雨音がいない間にギルドとギルド周辺を調べて時間がずれてる事に気付いたんだ。だがな色々とおかしいんだ」
「おかしいって、時間がずれてますからね」
「ああ、時間がずれてるんだが俺達とギルドの時間。ギルドと街の時間。それぞれの時間がずれてるんだ。それでな、俺が馬車を片づけに行ったら俺当ての手紙があったんだ」
「手紙ですか?」
「ああ、手紙だ。だがな、日付がおかしいんだ。ここを見てくれ」
えーと、日付は六月三十三日になってる。あれ?確か、この世界の日付って地球と同じだった気がするから、三十三日なんてないはずなんだけど。
「三十三日っておかしくないですか?日付って三十、三十一まででしたよね?」
「そうなんだがな。どうにも日付まででたらめになったみたいなんだ。あそこにあるカレンダーもそうだが、月はずれてるは、日付は順番バラバラだはかなりおかしいことになってるんだ」
「そうだったんですか。なんか世界が終わるならこんな感じのような気がしますね」
「おい、そんな不気味なこと言うなよ。あと、ファギルス。お前いつまで食ってんだよ」
それは私も思ってた。話を始めてから少しして、リンネルができた料理を運んでき来てた。最初は初めて口にするからか恐る恐るだったけど、大丈夫だと気づいたのか、それからはずっと食べてる。あと、ファギルスさんの食べる量もだけど、リンネルが持って来る量もおかしいんだよね。最初はギルドだからだと思ってたけど、段々とおかしい量になってきて今では隣のテーブルの上が見えないほどお皿が積み重ねられてるんだよね。
「あ、すいません。つい美味しくて。ですが、今のところワタシには関係ない話なので」
「まあそうだが、俺達の分くらいは残しとけよ」
「わかりました。少しくらいは残しておきます」
ファギルスさん段々と遠慮が無くなってきたかも、いい意味でだけどね。
あ、そうだ。ギレゴウルさんに聞かないといけないことがあったんだった。
「あの、ギレゴウルさん聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「あ?なんだ?」
「その、街の人達って転移してどこか行ったじゃないですか。その時にリンネルもその場所にいたんですけど転移出来なかったらしいんですけど、こうゆうことってあるんですか?」
「あー、まああるっちゃあるな。だがそれは、一対一でそれも転移魔法を格上に使った場合におきる現象だな。だがこれには例外があってな、格上相手でも人数をそろえれば転移させることができるんだ、が、今回の転移は人数も人数だったからな、転移魔法を使える奴をかなり集めたんだ。それで転移できないとなるとかなり、いや、もうめちゃくちゃだな」
めちゃくちゃかー。まあ、ぶっちゃけリンネルはドラゴンなわけだし強いっちゃ強いからいいんだけど。そこまで強いと変なことで絡まれた時に面倒くさいなー。はあ、絡まれたりしないように気を付けようかな。
「それはめちゃくちゃですね。ははは、問題起こさないように見てます」
「ああ、雨音が気を付けてれば問題は起きないだろうからちゃんと見てろよ。それじゃあ俺達も食うか」
「そうですね、食べましょうか」
ふうぅ、食べた食べた。まさかここまで美味しいとは思はなっかたよ。
それにしても、本当に世界が終わったらどうするんだろう?私は不老不死だから何とかなるだろうけど……。ん?不老不死?なんか忘れてるような気が……。あ、そうだよ!私この世界の管理任されてるんだった!なんでこんな重要なこと忘れてるかなあ。ニューベルトさんに電話すれば一発で解決じゃん。よーし、こうしちゃあいられない!ニューベルトさんに電話してこようっと!
「ギレゴウルさん!ちょっと用事が出来たんで出かけてきます!」
「おい雨音!どこ行くんだ!戻ってこい!たく、もう行っちまった。こりゃ後でまた説教だな」
「はて?デザートを持ってきたんじゃが、美咲はどこえ行ったんじゃ?」
「さあな、いきなり用事が出来たっつってどっか行ったぞ」
「なるほどのう、美咲の分は残しておこうかの」
「ああ、そうしとけ。戻ってきて自分の分が残ってなかったら拗ねそうだしな」
「そうじゃな、台所にでも置いてこようかのう。おっと、その前に、こっちはそなたたちの分じゃ。美味しいから食べるといい。それじゃあ儂はこれを置いてくるのじゃ」
「おう、あんがとよ。にしても、用事って何だろうな?」
「さあ?ワタシに聞かれても困る。ワタシはそんなことよりも、こちらの食べ物の方が気になるのだが」
「まあそうだな。気にしても意味ねえか。よしなら食うか。俺もこうゆう食べ物は初めて食べるからな、楽しみだ。それじゃあいざ実食!」
いやあ、にしても久々に電話かけるなあ。……うん、そんな久々じゃないか。ただ今日までの日々が濃かっただけで、そんなに時間は経ってないんだよね。
電話出るかなこの前はすぐ出たから良かったけど仕事中だったら出ないよね。まあ出なかったら時間をおいてかけ直せばいいし、出たらそれでいいからね。さてかけますか。
プルルルル、プルルルル、ぷるるr
「はい、もしもしニューベルトです。何かありましたか?」
「あ、もしもし雨音です。お久しぶりです、ニューベルトさん。今ってお時間大丈夫ですか?ちょっと問題が起きてて」
「お久しぶりです。はい、大丈夫ですよ。どんなことでしょうか?」
「えーと、世界規模かどうか分からないんですけ、時間がずれてるんですよね。例えば、普通にはない日にちがあったり、一日街から離れてて戻ってきたら二日経ってたとかですかね」
「はあ、なるほど。只今確認してきますので少々お待ちください」
「はい、わかりました」
なんかあんま信じてもらえてないような気がしたけど、まあ突拍子もないことだし確認してもらえば分かることだしいいかな。
「はあああああああああああ!!!!」
「うぇっ!?」
はー、ビックリした、いきなり大きな声出すからビックリしたよ。てか、これ繋いだまんまなんだ。学校に休みの電話した時みたいにあっちの声がミュートしてるのかと思ってたんだけど繋げたまんまなんですか、そうですか。
はあ、問題でも起きたんだろうなあ、あの叫び方からして。
なんか申し訳なくなってきた。すいません、ニューベルトさん。
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