第23話

「おい雨音!起きろ!サムガヤードに着いたぞ」




「うぅっ、ふあぁぁぁあ。あ、ギレゴウルさんおはようございます。それでサムガヤードってどこですか?」




「は?おいおい雨音。俺らが会った街に決まってんだろ」




「へえー、初めて知りました。サムガヤードって言うんですね。覚えときます」




「おう、覚えとけ。あと、この街から出ていく時も、次の街の名前だけでも調べて覚えとけよ。冒険者としてはそれが常識だからな」




「わかりました。調べて覚えときます」




 ん、ホントに調べとこ、知らないのと知ってるのとだと全く違うからね。よーし、そうと決まれば今から図書館探そうっと。




「それじゃあ私、図書館探しに行ってきます」




 よっしゃー、探すぞー!おー!




「おい待て、図書館を探しに行く前にギルドに報告に行くぞ。それとこの街には図書館はねえぞ。あるのは王都とか後はこの街よりデカいところだけだぞ」




 な、なんですとー!?そんな、まさかこんなにビルとかあって発展してるのに図書館が無いなんて……。




「ギルドにだったら本あるからそんなに落ち込むな、雨音。それにしても、そんなに本が読みたかったのか?」




「いえ、他の街とかの名前だけでも調べようかなと。後はまあ、何かしら調べようと思って」




「そうか、なら報告の後に案内してやるよ。ギルドの図書室は本が種類ごとに並んでないからな一緒に探してやるから、とりあえず落ち着け」




 おっと、ついつい感情が抑えられず震えてたよ。




「それじゃあ、早く報告に行きましょう!さあ!早く!」




「だから、とりあえず落ち着け!まだ行けねえよ。馬車置いたりしねえといけねえんだから。とりあえず雨音はファギルスとギルドの前で待っとけ。どこにも行くんじゃねえぞ、いいな!」




 いや、子供じゃないんだからどこかに勝手に行くわけないんだけど。あ、さっきの感情が抑えられずに震えてたせいか、なるほどなるほど。


 て、ファギルスのこと忘れてた。馬車に乗ってる時から思ってたんだけど、ファギルスさんって影薄いんだよね。




「えっと、それじゃあギルドに行こうか。とりあえず着いてきて」




「わかりました。それでは案内よろしくお願いしますね。それと、そのギルドとゆう所では食事はできますか?お恥ずかしながらお腹が空いてしまいまして……」




「どうだったかな?確かできたような気がするけど私もこの街に来たばっかりだからまだよく知らないんだよね。宿をとって次の日には魔物の軍団が来たから街を見て回ったりとかギルドをよく見てないんだよね。まあ、ギルドで食事ができなかったら私が泊まってる宿屋から食べ物か何か持ってくるからそれでいい?」




「はい、お願いします」




「了解。それじゃあ行こうか」




 あ、ギレゴウルさんにギルドの前で待っとけって言われたけどまあ、ギルドの中か外かの違いだしいいかな。
















 ******************




「はい、ギルドに到着。それじゃあ中に入ろうか」




「そうですね、入りましょうか。(それにしても、ギルドに来る途中でも思いましたがこちらの世界は色々と発展しているのですね。これはワタシ達の世界も見習わなければいけませんね)」




 さてさて、あの村?に行く前にギルドの中をよく見てなかったんだよね。まあ、そんなに興味はないんだけどね。でも、本には興味がある!私的には本さえあればいいんだよね。なんてったって知識は生きていくうえで必要だし、何より新しい知識を得られるのはドキドキ、ワクワクするんだからね。




「あのアマネさん、落ち着いてください。また興奮してきてますよ」




「は、すいませんファギルスさん止めてくれて」




 おっと、いかんいかんファギルスさんから言われてしまった。


 それにしてもギルドだけは造りが違うんだよね。普通はオフィスビルとかにした方がいいと思うんだよね、周りに合わせて。まあ、ほかと違うからわかりやすいんだけどね。




「さて、ギルドに入りましょうか」




「そうですね。入りましょう」




 さーて、扉を開けて……そこには誰もいない。は?ちょっと待って。うーん?何故に誰もいない。受付の1人や2人普通いてもおかしくないんだけど。まあ、この世界の普通なんて知らないけどね。


 とりあえず、ファギルスさんの要望通り食事にしよう。ちょうど扉から入って右側に食堂っぽいのあるし、そこで食事にしようかな。




「それじゃあ、食堂っぽいのがありますしそこで食事にしましょうか」




「わかりました」
















 はい、食堂っぽいところにも人はいませんでしたー。うん、薄々分かってたよ。ギルドに入った時点で誰かいたら私たちに話しかけるだろうしね。はぁ、さて宿に行って食べ物持ってくるとしましょうかねか。




「こっちにも人いませんね」




「そうですね。誰一人いないのはおかしいですね」




「ですね。じゃあ、ギルドに入る前に言った通り宿から食べ物取ってきますね」




「アマネさん、すいません。ご迷惑をおかけして」




「いや、迷惑とかじゃないので大丈夫ですよ。それじゃあ行ってきますけど、ギレゴウルさんが来たら私が宿屋に食べ物取りに行ってること伝えといてください」




「わかりました。ワタシもギルドの中を少し調べておきますね。それではよろしくお願いします」




「ありがとうございます。それじゃあ行ってきます」




 さーて、食べ物取りに行きますか。ついでに少しだけ人探しでもしようかな。
















 ******************




「たく、馬車返しに来たのによお誰もいないとかどうゆう事だ?街の奴らは転移魔法で王都に送ったのは知ってるがギルドの奴らはどこいったんだ?……あ?なんだこれ?手紙か?てか、これ俺宛じゃねえか。とりあえず読むか」




 [ギレゴウル、今これを読んでいるとゆう事は、無事に戻って来れたようだな。そして我々ギルド職員はそこにいないだろう。


 理由は厄介な魔物が複数現れたからだ。だが、それだけで職員全員が出ないことはお前も知っているはずだ。だが、今職員全員が出ている。


 その理由はお前も分かっているだろう。帰ってきてそうそう悪いんだが、手伝いに来い。頼んだぞ。


 ギルドマスター ファギルスより]






「おいおい、まじかよ。ダンジョンの決壊とかシャレになんねえぞ。たく、めんどくせえ。少しは俺を休ませてくれよ。はあ、とりあえずアイツらのところに行くか。特に雨音が心配だな。どっかに行ってないといいんだがな。……どっか行ったような気がするな。まあ、気のせいだろ。さて、ギルドに入るか」
















 ******************




「さて、アマネさんは行きましたか。それではワタシも少し調べますかねえ。とりあえず1時間前を過去視しますか」




 {………………}




「なるほど。1時間前にはもうここにはいなかったと。次は昨日にしましょう」




 {………………}




「昨日にはすでにいない。次は一昨日ですかね」




 {おいお前ら!ダンジョンが決壊したぞ!とりあえず緊急依頼は今だした!ここに残ってるやつは全員ダンジョンに行ってこれ以上被害が出ないようにするぞ!職員お前らも来い!いいな!}




 {ギルドマスター、私たち職員も行かないと行けないほどですか?}




 {あ?そうだ。お前らも来ないとやばいな。なんせAランクのダンジョンが決壊したんだからな。たく、めんどくせえ。おら!テメェらなにグズグズしてんだ!早く準備しろ!準備が終わったやつはギルドから出ろ!ギルドの前に馬車停めてっからそれに乗れよ。いいな!ぜってえ死ぬんじゃねぇぞ、テメェら!これが終わったら宴会だ!それも俺持ちだ!気合が入ったか?よし、ならさっさと行けテメェら!}




「なるほど。一昨日いなくなったと。ダンジョンがなにか知りませんが大変なことらしいですね。ギレゴウルが戻って来たら伝えますか。それにしても、お腹が空きましたねえ」

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