第21話

 うぅー、気持ち悪い…。はぁ、ギレゴウルさん最初より絶対飛ばしてるよね、これ。


 あー、ゆーれーるー。馬も馬だよね何でこんなに走れるの。疲れないの?もういいや馬はもういいや。なんか太陽の光を反射してる馬なんて知ーらな、い……。ん?馬……?あれ?馬って太陽の光反射したっけ?しないよね!じゃあアレ馬じゃないよ!なんか鱗あるし!普通の馬は鱗ないもんね!はあー、なんで私馬だと思ってたんだろう。




 むむむむー、あ。わかった、わかりましたよ私。そう、謎は全て解けた!てゆうか、誰でもわかるよ。だって昨日は曇ってて鱗が光を反射してなかったからね。いやー、納得納得。


 でもそうすると、あの馬?の種類ってなんなんだろう?ちょっとギレゴウルさんに聞いてみよう。




「あの、ギレゴウルさん。今馬車を引いてる馬って、なんて種類の馬なんですか?」




「ああ?馬の種類だ?バトルホースに決まってんだろ。雨音はバトルホースを知らないのか?」




「えっと、バトルホースですか?そのー、知りません。そんなにバトルホースって有名なんですか?」




「雨音、それは本気で言ってんのか?この国に住んでるやつなら常識だぞ!…て、そうだった。雨音はこの国じゃなくて東方の出身だったな。すまんすまん、すっかり忘れていた。そりゃ知らなくて当然だったな。バトルホースってのは、"馬竜種"って言ううちの国が品種改良した馬だ」




「あ、やっぱり馬なんですね。でも、なんで竜ってつくんですか?」




「あー、それは俺にもよく分からんが馬に"竜"という名の架空の魔物の因子を使ったからだと聞いたが、そもそも竜なんて言う魔物を俺は1回も見たり聞いたりしたことがないんだ。気になって歴史書を調べたんだが載ってなかったんだ」




「それは不思議ですね。竜……。一体どんな魔物なんですかね」




 まあ、私は知ってるんだけどね。それにしても本当に不思議だよ。確かニューベルトさんがこの世界には竜種は居ないって言ってた筈なんだけどなー。




「失礼。ギレゴウルが言ったことに少し気になったのですがよろしいですか?」




 うわっ、喋った!はぁ、ビックリした。寝てると思ってたけどただ目を瞑ってただけみたい。




「おう、何が気になったんだ?」




「はい、この世界には竜種が居ないと言ってましたが本当ですか?」




 あれ?この言い方だとこの魔族の人の世界には竜種がいるのかな?いや、世界はいっぱいあるんだし少なからず竜種がいる世界だってあるよね。まあ、魔族の人の世界の竜種が私の知ってる竜種だとは限らないけどね。




「おう、そうだな。俺は見たことがねえな。なんだ、ファギルスの世界には竜種ってのがいんのか?どれぐらい強い?」




「そうですねぇ……。ワタシの世界の勇者より強いですね。ですが、彼等は温厚でワタシ達の良き隣人です。決して彼等には危害を加えないでくださいね。ギレゴウル」




 ん?なんでギレゴウルさんに念押ししたんだろう?




「ああ、わかったよ。危害は加えねぇよ。あっちから攻撃してきたら知らねえけどな」




「あのー、なんでギレゴウルさんが、えーっと「ファギルスです」あ、はい。ファギルスさんの世界に行くことになってるんですか?


 」




 これは気にならないとおかしいよね。てか、ギレゴウルさんはなんで『あれ?言ってないっけ?』みたいな顔してるんですかねえ?




「ギレゴウルさん、ちゃんと今、説明してくれますよね?」




「あー、そのーなんだ。……後で説めi「今、説明してくれますよね?」……わかったよ。説明すりゃいいんだろ、説明すりゃ」




 なんか不服そうな顔してるけど説明してくれるみたいだし許そうかな。




「それじゃあどこから話すか、って言ってもやっぱりファギルスとあったところから話すか」
















「そんで俺はファギルスの世界に行くことになったわけだ。納得したか雨音?」




 うーむ、まさか私が寝ている間にそんなことがあったとは……。うん、ギレゴウルさんがファギルスさんの世界に行くのには納得したけど、ニューベルトさんとか世界の管理をしている方からはどうなんだろう?この世界の人が別の世界に行くのはいいのかな?


 んー、どこかでニューベルトさんに電話できたらいいんだけど隙がないとゆうか馬車が速すぎて途中で止まるのかなこれ。




「まあ、とりあえずは納得しました。私はですが。それで、街に戻って私以外の他の人が別の世界に行くのに反対したらどうするんですか?」




「あー、それは考えてなかったな。…………とりあえず強行突破だな。てか、それしか思いつかん」




 はぁ、とりあえずギレゴウルさんが脳筋だってことがわかったね。


 脳筋で戦闘狂ってもうどうしようもないね。


 あ、そうだ。




「あの、ギレゴウルさん。あとどれくらいで街につきますか?」




「もう少しだ。と言いたいが……、一向に街に戻れる気がしないんだ。魔力の感じからして《幻惑系》か《時空系》の魔法がここら一帯に仕掛けられてる。これをどうにかしない限り俺らは街に戻れねえ。まあ、そんな感じだ」




 なるほどね。要するに、誰かが私達の邪魔をしてると。はぁ、早く帰りたいんだけどなー。もう、面倒くさいなあ、全く。


 とりあえず、こうゆう時は視覚でも強化してみようかな。なにか見えるかもしれないし。


 むむむぅ………あ、見えた。なんか周りがぐにゃぐにゃしてるし何人かに囲まれてる。




「あの、ギレゴウルさん。周りがぐにゃぐにゃしてて、何人かに囲まれてるんですけど……」




「は?雨音ぐにゃぐにゃってなんだ?あと、何人かに囲まれてるって、お前周りが見えんのか?」




「はい、見えますけど……」




「そうか。だとしたら雨音は魔眼持ちか。それじゃあ、囲んでる周りの人数は分かるか?パッと見て分かる人数だけでいい」




「えーっと、パッと見7、8人ぐらいですかね。それも若いです」




「そうか、7、8人か。それも若いと……。よし、ならアレやるか」




 アレ?アレってなに?てか、すごい息吸い込んでるから、多分叫ぶんだろうけど嫌な予感しかしないんだけど。とりあえず耳押さえとこうかな。




「すうぅぅぅぅ……。テメェらさっさと出てこい!!!!!居んのは分かってんだよ!!!!!この雑魚どもが!!!!!コソコソしてしか襲えねえのか!!!!!ああ!!!!!」




 えー!アレって、ただ煽ってるだけじゃん!なんかもっと凄いことするのかと思ってたら、ただの煽り!?それも耳押さえてたのにキーンてするし。こんなのに引っ掛かるのなんて相当なバカだけだよ。こんなすごい魔法使えるんだから引っ掛かるわけないよ。




「おうおう、調子乗ってんじゃねえぞオッサンよぉ。見えててこの人数に勝てると思ってんのか。オッサン目ぇ悪いんじゃねぇのか、あぁ」




「え、頭悪そうなの引っ掛かった。あっ」




 やば、つい声に出ちゃった。




「おうおう、そこの姉ちゃんよぉ。人のこと見て頭悪そうとか言ってんじゃねえぞ、あぁ?これでも高校では学年20位なんだよ。分かるか?これでも俺様は頭良いんだよ、あぁ?」




 いや、頭良さそうには見えないんだけど。最後にあぁ?て言ってる時点で頭悪そうなんだけど。


 それにしても高校ねえ。こうゆうのは大体召喚された感じかな。それも集団召喚の方。小説とかでしかそうゆうのないと思ってたけど本当にあったんだ。あんまりすごいとは思わないなー。何でだろう?目の前のやつが頭悪いからかな?……うん、そうに違いない。てか、絶対にそうだね。うんうん。




「おうおう、とりあえずそこの姉ちゃんは後で俺様に土下座させるとしてよぉ。そこの魔族渡してくんねぇか、オッサン。あぁ?」




「誰が渡すかよ、ガキが。あんまり大人に喧嘩売らない方がいいぞ。世の中にはよお怖ーい大人がうようよいんだよ。まあ、覚えて来世で活かせよ。今世は無理だがな」




「おうおうおう、女の前だからって調子乗ってんじゃねぇぞオッサン、あぁ!テメェら殺るぞ!とりあえず突撃!」




 とりあえずアンタら馬鹿だよね。相手の強さが分からない時点で負けだよ。それにしても、ファギルスさんがさっきから静かなんだけど……。うん、寝てた。そりゃ静かだよね。ふう、それじゃあ私も少し寝ようかな。

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