第20話
「ガッハッハハ!もっとだ!もっと本気で来い!」
「ふふ、これでも今出せる本気なのですがね。なかなかの化け物ですねアナタは。少しワタシも楽しくなってきてしまったではありませんか」
ガンッ!ガキィィィン!ドゴォン!
はぁ、すでに帰りたいんだけど先に帰っちゃダメかなこれ。
こっちに来ないかぎりは観戦してようと思ってたけど、流石に暗くなり始めたしそろそろ決着をつけてもらおうかな。
「ギレゴウルさーん!私そろそろ街に戻りたいのでー!決着つけてもらってもいいですかー!」
「雨音!こいつがもっと力を出して楽しくなってきたら決着をつける!それまで待ってろ!」
もうやだこの戦闘狂。まだ知り合ってから1日しか経ってないのに、この人は何を言ってもダメって分かってきたんだけど。はぁ。
もう先に馬車に戻ってよう。ああ、そうだ。この刀のことも知りたいし、調べられるだけ調べておこうかな。
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「お連れの方は疲れているようですがどうするのですか?ハッ!」
「あぁ?ああ、雨音のことか。とりあえずさっさとお前が本気出してくれりゃ、楽なんだがな。なあ、あの魔物の軍団止めて本気出せよ」
「なかなかに勘も鋭いようですね。何故分かったのかはこの戦いが終わってからアナタの頭に直接聞きましょうかね」
「ほー、魔族がそんな物騒なことが出来るとは初耳だな。だがよ、俺はそんなことされたくねえからよさっさとお前を倒す」
「ふふ、まぁアナタの知る魔族とはワタシ達は違いますからね。知らなくて当然だと思いますがね。ああ、それと調子が戻ったのでアナタのお望み通り本気でやってあげましょう」
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うん、この刀軽く調べてわかったけどコレ妖刀じゃん。まあ、さっきのゴブリンから血を吸ってるの見たらわかるんだけどね。あとは、刀関係ないけどどんどんギレゴウルさんたちの戦闘がだんだん激しくなってきたぐらいかな。
それにしても、もう夜だけど元気だね。ふあぁぁあ、眠い。もう先に寝てようかな。いや、寝よう、そうしよう。周りに誰もいないけど、おやすみ。
はい、おはようございます。朝になりました。朝日が綺麗で眩しいです。ギレゴウルさんと魔族の人は今戦っていません。お酒を一緒に飲んで楽しんでいます。
私が寝てる間に何があったし。昨日あんなに殺しあってたよね。ギレゴウルさんコミュ力高くない?魔族の人もなんか相談してるっぽいし。それに真剣に向き合ってるギレゴウルさん。
うん、起きたばっかだけど疲れてきたし、もう一眠りとゆうなの二度寝をしますか。おやすみー。
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「はー、お前の世界も苦労してんだなぁ。勇者だっけか?うちの世界にも召喚された時があんだよ。昔は魔王とか関係なくな皇族が勝手に召喚して魔族の国に戦争仕掛けてたんだよ。まあ、今の皇族は自称次期皇帝を除けばマトモなんだがな。それにな、勇者だからってなんでもしていいと思ってやがってな色々大変だったらしいしな。それに、俺が若い頃も召喚されたんだよ。もうその時は大変だったぞ」
「なるほど。ワタシの世界も苦労していると言いましたがなかなかにこちらの世界も苦労しているのですね。ワタシの世界は元々は魔人族、あぁ先程からアナタがワタシに言ってる魔族に似た種族だと思っていただければ大丈夫です。それで魔人族が魔物や知性無き者達を倒していたのですが、ある時人間が自分達にも獲物を寄越せと言ってきましてね。その頃の人間と言ったら魔物にも勝てないような貧弱さでした。そして、勝手に理不尽だと言い出しまして、そのときに偶然人間が召喚魔法を見つけ勇者を召喚してしまいまして、その頃から人間との戦争が始まりましてね。勇者が強くて今では大陸の端の方まで追い詰められまして、こうなったら他の世界から魔王になれるような者を見つけて人間を滅ぼそうと思いこの世界に来たのですよ」
「なるほどな。俺の世界の人族を棚に上げるような言い方になるがお前の世界の人族は質が悪ぃな。それで、その勇者ってのはどんだけ強いんだ?俺は1回だけだが勇者となんでもありの模擬戦をしたんだが余裕で勝てたぞ」
「ふふ、まさかそんな化け物に戦いを挑んでしまうとはワタシも馬鹿なことをしたものですね。この際アナタに来てもらえれば楽なんでしょうが流石にそれはダメでしょうね」
「いや、行ってやってもいいぞ」
「そうですか、来てくれますか
……。え?今来てくれると言いましたか?もしかしたらこちらの世界に戻ってこれないかも知れませんよ?それでもいいのですか?」
「おう、行ってやる。ダチが困ってんだ。助けてやらねえ訳にはいかねえよ。それになんだ、戻ってこれねえかもしれねえだ?そんなもん気にすんな。俺がいなくなっても大丈夫なように他の奴らにな仕込んであるからよ。心配はするだろうがなんとかなるだろうよ」
「そう、ですか。なんと言ったらいいのでしょうか…。とりあえずお礼だけでも。ありがとうございます」
「おうよ。このぐらい大した事ねえよ。さて、早速行くかと言いたいところだが、まずはギルドに報告と雨音を街まで送って行ってやらねえとな」
「わかりました。それではワタシも同行いたしましょう。この騒動はワタシが原因ですからね。謝罪と謝罪の意味を込めた物をお送りしないといけないですしね」
「おうそうか。報告をこれで楽になったな。よし、さっさと馬車に乗り込め。かっ飛ばすからよ」
「ふふ、お手柔らかにお願いしますね」
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「おい雨音起きろ!そろそろ街に戻るぞ」
あー、視界がクラクラするー。
「さっさと起きろ!起きないとこのまま馬車を飛ばすぞ!落ちても知らないからな」
「それだけは止めてください!落ちたら痛いんですよ!多分ですけど」
「おう、起きたならどっかに掴まっとけ。落ちるんじゃねえぞ」
ふぅ、なんとか落下は防げて。もう、強引すぎるんだよ、もう。
「あれ?ギレゴウルさんなんでこの人乗ってるんですか?」
「ああ?あー、後で教えてやるよ。どうせギルドに報告するし」
「はい、わかりました」
まあ、後で教えてくれるならいいかな。
「あの、先程は怖い思いをさせてしまって失礼しました」
「え?いえいえいえ!全然大丈夫ですよ。怖くなかったので!」
「いえ、それでも謝らせてください」
「まあ、それならわかりました。ところで、貴方は何故ここに?」
「そうですね。どうせギレゴウルが報告する時に一緒に言うのでその時で宜しいでしょうか?」
「はあ、わかりました。それじゃあギレゴウルさん、絶対教えてくださいよ!」
「はいはい、わかったよ。報告する時に俺達と一緒にいろよ」
「了解です!」
それにしても、リンネルは大丈夫かな?ちょっと心配だなー。
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時は遡って美咲と別れて少し経った頃
「ふあぁぁあ、眠いのじゃ……。おかしいのう?儂は寝なくても大丈夫じゃったはずじゃがのう」
それにしても、ホントに眠いのう。不思議じゃのう。原因があるとすれば、美咲かのう。いや、美咲じゃないのう。まあ、美咲も関係がなくはないのじゃがな。一番の原因は何じゃったかのう……。たしか……、ニューベルトと言う名前じゃったかのう?まあ、彼奴が何かしたのじゃろう。
この目の前のコレは彼奴、いや、彼奴らにしか出来んからのう。美咲にもコレは見えるのかのう?まあ、美咲が戻ってきた時にでも聞けばいいかのう。
それにしてもじゃ。他の者はどこへ行ったのかのう?
いきなり光ったと思ったらさっきまで一緒に居った者達が、いきなり消えるとはなかなかに奇っ怪じゃのう。
うぅむ……、もしや!これが美咲が言っておった"マホウ"と言うものかのう!
ふふふ、この目で"マホウ"が見られるとはなかなかに珍しい体験をしたのじゃ。
ふあぁぁあ、眠いのじゃ。美咲が戻ってくるまで宿でもう一眠りしようかのう。
グウゥゥゥ
む?お腹も減ってきたのう。眠る前に食事にしようかのう。
はてさて儂以外にも料理が出来る者はいるかのう。
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