第19話
「ミノル、戻ったよー。ゴブリンは無事倒したよ」
「おお、そうか。それにしても戻ってくるの早かったな。戦闘とかしなかったのか?」
「全然しなかったよ。まあ、不意打ちだったからね。正面から戦ったら勝てたかわからなかったけどね」
「不意打ちね。そりゃ早く終わるわな。さて、一旦俺は仲間のところに戻るかな。美咲はどうする?一緒にくるか?」
「私はいいや、入り口のところに他の人待たせてるから」
「そうか、わかった。それじゃまたどこかでな」
「うん、またね」
さーて、私もギレゴウルさんのところに戻ろうっと。それにしても今日はやけに、と言ってもまだ数日しか一緒にいないけど、リンネルの寝起きが酷かったなー。どうしたんだろう?
まあ、もう意識もハッキリしてるだろうし大丈夫だよね。大丈夫だよね?
やっと戻ってこれた。いやー、まさかあんなに迷うとは思わなかったよ。人に聞こうにも住民は皆んな避難してるしミノルは跳んで行っちゃったし。
なんでちゃんと道覚えなかったんだろう。ちゃんと覚えてたらこんなに苦労しなかったのに、過去の自分を呪ってやりたいよ、まったく。
流石にギレゴウルさんはもういるよね。はぁ、ギレゴウルさん心配してるよね。結構時間経ってるし、なんて説明しようかな。素直に道に迷ってましたって言った方がいいのかな?
あ、そういえばミノルに色々聞きたいことあったのに聞くの忘れてた。まあ、いいか。そのうちまた会えるような気がするし。
あー、やっと馬車に戻ってきた。
「ギレゴウルさん今戻りした」
あれ?反応がない。業者台にいるのかな?
業者台にもいない。まだ他の人がいないか探してるのかな?
******************
「たく、雨音はいつになったら戻ってくるんだかな。もしかしたら道に迷ってたりしてな。いや、真面目そうな奴に限ってそんなことはねえか。それにしても暇だな。もう1回周りでも見てくっかな」
「おや、まさかこちらの世界の人間に早速会えるとはワタシもついているようですね」
「っ!全く気配がしなかったぞ。なんだテメェは。魔族か?」
「魔族?ああ、なるほどこちらにもワタシ達のような者がいると言うことですか。なるほどなるほど。それならば魔王になりうる者もいるかもしれませんね」
「なにブツブツ言ってやがる?それにしても魔族にしては変な格好だな。俺の知ってる魔族にはそんなヘンテコな角はついてないはずだが?」
「ふむ、なるほど。こちらの世界の魔人族には角が生えていないと。やはり他の世界は興味深いですね」
「たく、変わった野郎だな。おい魔族あんな大量の魔物で何をしようってんだ?返答次第ではたたっ斬るぞ」
「あれですか?ただの実験ですがなにか?」
「実験だぁ?テメェ、舐めてんじゃねえぞ!」
「舐める?ワタシがですか?ふふ、面白いことを言いますね。そんなあなたに1つだけいいことを教えて差し上げましょう」
「いいことだぁ?」
「はい。そもそも人間は舐める相手に値しないとゆうことですよ。下等すぎてね」
「言ってくれるじゃねえか、アァ!」
「そんなに声を荒らげても見苦しいだけですよ?」
「余裕ぶっこいてられるのも今のうちだけだぜ!剣技【クロススラッシュ】!はあああああ!」
******************
ドッッゴォォォォォオン!
「うわっ!?え?なになに!?爆発!?入り口の方から今聞こえたよね?さっきはギレゴウルさんいなかったのになんで?とりあえず入り口の方に行かないと!」
はぁ、次から次へと色々起こり過ぎだよもう。
まあ、今度は入り口からそんなに離れてないから迷わないもんね。1度あったことは2度は私に通用しないのだ!てか、1度目はただただ私が道に迷っただけなんだけども。
そんなことはどうでもいいや。早く行かないとね。
ドゴォン!ガンッ!ドガンッ!
おかしいな、入り口に来たのに音だけしかしない。
ボォッッ!グガンッ!ゴオンッ!
これは絶対おかしいよ。こんなに戦ってる音がしてるのに戦ってる姿が見えない。それにどこも壊れたり崩れたりしてる所もない。
これは調べるしかないよね。でも、どこからしらべたらいいんだろう?
うーん、とりあえず無難に馬車から調べてみようかな。
「痛っ」
うぅ、なにかに足ぶつけたそれも結構硬いし。何に足ぶつけたのよ?
あれ?何も無い。おかしいな、今確かに何かにぶつかったんだけど。
えっと、確かここら辺でぶつけたような……。
ん!なんだろうこれ?地面に落ちてるのは分かるんだけど全然見えない。でも、手触りでなんとなくだけど岩かなって分かるんだけど……。
あっ!これって確かラノベで読んで知ってるような……。えぇと、なんだっけかな。確かぁ、なんちゃら?なんちゃらの部分が思い出せないけど。
えーと、光学迷彩は全然ちがうし、陽炎も違うし。
うーん……。あ、思い出した!だまし絵だ!確かだまし絵を使って主人公を苦戦させてた敵がいたっけかな。
いや、でもこの光景はちょっと違うかな。だまし絵の範囲を超えてるよねこれは。もっと違うのだよね。
ガッッゴォォォォン!
「うわっ」
さっきより音が近いからびっくりしちゃったよ。
ふぅ、考えるのは一旦置いといて、とりあえず入り口から外に出てみようかな。
はあ、入り口から出ようとしてるのに全然入り口にたどり着かない。入り口が目の前にあるのになんかお預けくらってるような感じでイライラしてきた。
こうなったらやるっきゃないかな。
はい深呼吸して、すぅぅはぁぁ。
よし、足に力を集中させて。せーのっ!
ビュッン!
やば、力の調節間違えた!これ戦闘してるなかに思いっきり突っ込んでるような感じじゃん!
あー、私攻撃当たるかもしれない。入り口近くで戦闘してたらだけど。
まあ、当たったら当たったでそのときはそのときだよね。
てか、少しづつしか入り口に近づけてないんだけど。景色だけは高速で流れてるのに変な感じ。
あー、目が疲れてきたよもう。目が疲れた?目が、目……。あ、そうか。目に力を集中させて見ればいいのか。できるかどうか分からないけどやって見ることに意味があるんだから。できたらできたでよし、できなかったら別の方法かこのまま突っ込むまでよ。
ふぅ、目に力を集中させるのは結構集中力使うからね、大変だよ。
さて、やりますかね。
よしできた!て、えぇぇぇぇええ!どこココ!?あれ?町は!?瓦礫しかないんだけど!?あ、そうか、この瓦礫全部建物とかだったのかも。うん、納得。できるかあぁぁぁぁ!え、なに!じゃあ私がずっと進んできたところは全部これだったってことなの?
いや、違うっぽいかな。遠くの方に無事な家が見えるし、綺麗に残りすぎてる。
まさかとは思うけど綺麗に残ってる家が町の半分の境界線とかだったりするのかな?
うん、考えるのやめよう。めんどくさくなってきたし。
あー、入り口が遠い。そりゃ全然近づける分けないよね。
馬車が後ろにあるし、最初からおかしかったってことなのかな。じゃあ入り口の外から聞こえてた爆発の音とかは全部町とゆうか街の中で聞こえてたってことなのかな。
ヒュッ!
ドッッゴォォォォォオン!
えっと、今私の近くを人の形した何かが通り過ぎたんだけど。
「ふぅ、なかなか下等生物にしてはやりますね。まさかワタシがここまで押されるとは思いませんでしたよ。ええ、アナタだけは下等生物と言うのは訂正しましょう」
喋ったあぁぁぁぁぁぁぁ!て、そりゃそうだ。人の形してるんだもん。
ビュッン!
てか、どっか行っちゃった。私疲れてるのかな精神的に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます