第17話

 宿屋からギルドに行こうとしてるけど、そういえば私ギルドの場所知らないや。


 辺りに人全然いないし、とりあえず街の中心に向かってそこからギルドを探そう。
















 あれ?おかしいな、みんな中心に避難してる。なんでまだ街にいるの?そういえばところどころにローブ着て、手に杖持ってる人いるんだけど魔法使いとかかな?避難した人達のまわりが光ってるからからなにか唱えてるのかな?


 あ、リンネルがこっちに手振ってるってことは、まだ頭がちゃんと回ってないよねあれ。とりあえず振り返しとこう。




「そこの君!早くみんなのところに避難したまえ。そろそろ詠唱が終わるぞ」




「えっと、私冒険者なんですけど」




「なに、それなら早くギルドに行きたまえ。今ギルドに収集している冒険者に情報を渡している。魔物の軍団はすぐそこまで来ているぞ」




「あの、私この街に初めて来たのでギルドの場所がわからなくて。もし良かったらギルドの場所を教えてくれませんか?」




「なるほど、そうだったのか。通りで見たことない顔だと思った。ギルドだったな、ちょうど俺も行くところだったんだ。案内してやるよ」




 なんか教えてもらおうと思ってたけど、連れて行ってくれるらしいしラッキーだね。




「ありがとうございます。あ、私は雨音 美咲って言います」




「雨音 美咲か。俺はギレゴウルだ、よろしくな。ところで雨音は東方から来たのか?」




「はい、そうですけどなんでそれを知ってるんですか?」




 本当に便利な説明書だよねあれ。なんで、来たところを聞かれたら『東方から来ました』って言えばいいって載ってるの?あれは絶対説明書じゃないよね。後で説明書って書かれてるところ消して攻略本って書き直しておこう。




「そりゃ、苗字だったか?それを持ってるのは東方だけだからな。馬鹿以外なら知ってると思うぜ。まあ、とりあえずギルドに行こうじゃねえか」




「そうですね、お願いします」




 よーし、ギルドにしゅっぱーつ!
















 ギルドにとうちゃーく。案外近かったけど。てか、今泊まってる宿屋の近くにギルドがあったし。全然気づかなかった。まあ、しょうがないよね。昨日は泊まるところ探し回って2人とも疲れてたし。私は精神的にだけど。




「ここがギルドだ。受付に行って情報を貰ってこい。貰ったらすぐに門から出て既に戦っている冒険者の手伝いをして来い。頑張れよ、雨音」




「ありがとうございます、ギレゴウルさん」




 よし、受付に言って情報を貰わないと。


 それにしても全然人いないし職員の人達がすごい忙しそう。出遅れた感がすごいんだけど。


 とりあえず忙しいだろうけど情報を貰わないと。




「すいません、魔物の軍団についての情報が欲しいんですけど今大丈夫ですか?」




「はい大丈夫ですよ。冒険者の方ですか?冒険者カードか冒険者リングの提示をお願いします」




 忙しそうにしてたのになんていい笑顔。受付嬢恐るべし!




「リングなんですけどどうすればいいですか?」




「リングですか、それでしたらこの機械にリングをかざして下さい」




 もう何も言わない。ファンタジーなんてなかったんだよ。


 あ、私自身ファンタジーだった。不老不死だし、荷物がいっぱい入るポーチ持ってるし。でも、機械はないよ、機械は。




「提示ありがとうございます。情報ですね。今わかっている情報だけですがよろしいですか?」




「はい、大丈夫です」




「かしこまりました。今わかっている情報ですと、魔物の軍団は統制の取れた行動でこの街に向かっているようです。それと、情報の裏を取れていませんが魔族が先導しているとの情報が入っております」




 魔族!魔族と言ったらファンタジーの定番じゃないですか!


 やっぱり魔族は悪者なんだねどこの世界でも。私はラノベでしか見たことないけど。




「魔族ってあの、魔族ですか?」




「そうです。あの、魔族です。今まで私たちの国とは結構仲が良かったんですけど、なんでいきなりって職員や街に住んでいる人たちはびっくりですよ。まあ、魔族がいたらの話ですけどね」




 魔族悪者じゃないじゃん。仲良いって、とことん私の知ってるラノベの知識を潰しに来てる?




「そうですよね。それで私はどこに行けばいいですか?」




「そうですね……。雨音さんにはこの村に行ってもらい、もしもまだ避難していない住民の方がいらっしゃいましたら、この街まで連れてきてください。一応私たち職員の方から馬車を出しますのでそれに乗っていただきます。馬車はギルドの前に止めますので少しお待ちください。なにかご質問はありますか?」




「大丈夫です。それでは行ってきます」




「はい、お気をつけて」
















 ギルドの外に出ると馬車が止まっていた。業者台の方に行って挨拶をしようと思っていたら、業者台にはギルドまで案内をしてくれたギレゴウルさんが座っていた。




「ん?おう雨音じゃないか。ちゃんと情報は貰ってこれたか?」




「はい、ちゃんと貰ってきました。それと、ギレゴウルさんが業者台にいるってことは村まで連れて行ってくれるんですよね?」




「おう、そうだぞ。てことは雨音を連れていきゃいいのか。よろしくな。それじゃ、荷台に早く乗りな。道中結構とばすから気をつけろよ」




「はい、わかりました。よろしくお願いします」




 さて、早く荷台に乗ろう。早くしないと残ってるかもしれない住民の人が危ないからね。




「よし、乗ったな。それじゃ行くぜ!」
















 ******************




「こちらの世界はなかなかに平和で、ワタクシの世界より甘い。まぁですが、魔王になりうる者を早く見つけなければ、その為に集めた雑魚どもも無駄になってしまう。それに、アイツらにバレないようにしなければイケナイのもなかなかに厄介ですね。はぁ、どこかにいませんかねぇ魔王になりうる者は」




 ******************
















「よし、着いたぜ!さっさと降りてまだ避難してない住民を探すぞ、雨音!」




 うぅ〜、気持ち悪い……。とばすにもほどがあるでしょ。てか、途中で魔物がいたけどおもいっきり轢いてたし。ギレゴウルさんもそうだけど馬車を引いてきた馬も馬だよ。




「そうですね。二手に分かれて探しますか?」




「そうだな。そっちの方が効率が良さそうだ。それじゃ俺は入口付近から探そう。雨音は奥の方を頼んだぞ」




「わかりました。もし住民がいた場合は1度引き返して馬車に乗せてからもう1度奥の方を探せばいいですか?」




「そうだな。住民に万が一があったら心配だからそうしてくれ」




「わかりました。それでは行ってきます」




「おう、気をつけろよ!もし魔物がいた場合は倒せるようなら倒せ。倒せなさそうだったら戻ってこいよ!」




「わかりました!」




 さて、住民はいるかな?いないのが1番いいんだけどね。

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