第16話

「ありがとう、リンネル。なんか心がスッキリしたよ」




「そうかの?もう少しこうしててもよいのじゃぞ?」




「ううん、大丈夫だよ。さて、ご飯冷めちゃったから温めよう」




「そうじゃの、お腹ペコペコじゃよ」




 温め終えるまで少し待ちますか。
















 はあ〜、食べた食べた。お腹いっぱい、精神的に。どんだけ食べれば物理的にお腹いっぱいになるんだろう?


 それにしてもこれなんのお肉なんだろう?鶏肉っぽいけどなんか違うような気がするんだよね。うさぎのお肉かな?確か友達がうさぎのお肉の味が鶏肉の味に似てるって言ってたような言ってなかったような?




「ねえリンネル、このお肉何?うさぎのお肉?」




「よく分かったのう。これは頭に角が生えたうさぎの肉じゃよ。確か名前は、ツインホーンラビットじゃったかの?」




 ツインホーンラビット?あ、あれか!額に角が2本生えてるうさぎか!


 あのうさぎって食べれたんだ。実は結構街のお店とかで売ってるのかな?うん、売ってるような気がする。


 でも、鶏肉っぽいけど鶏肉よりさっぱりしてて美味しいから後で狩ってこようかな。


 あ、街に入れば売ってるかもしれないしやっぱいいや。




「後片付けは任せてよいのじゃろう。儂は先に寝るのじゃ。おやすみなのじゃ」




「うん、任せて。おやすみ、リンネル」




 さて、私も後片付けして明日に備えて寝ようかな。まあ、寝なくてもいいんだけどね。
















 おはようございます!朝です!もうすぐで8時です!そろそろ門が開くかな。リンネルはまだ寝てるけど、そろそろ起こそうかな。




「リンネル起きてー。朝だよー。そろそろ門が開く時間だから起きてー」




「うぅん、もう朝かの。ふあぁ〜、まだ眠いが仕方ないのう。起きるとするかのう。それで美咲よ、朝食は今ここで作って食べるか、街に入ってから食べるかどっちにするのじゃ?」




「街に入ってから食べようか。多分作ってる間に門が開くと思うから」




「なんじゃ、もうそんな時間かの。準備はもう終わっておるのかの?」




「終わってるよ。後はリンネルを起こしてテントをかたすだけだったんだけど」




 起こす時に門がそろそろ開くって言ったのに聞いてなかったのかな?耳遠いの?難聴なの?それとも寝起きで聞いてなかったの?


 多分最後のだと思うけど。


 それはさておき、門が開く音がした。よーし、待ちに待った街に入ろう!


 ちょっと微妙かな?
















 門をくぐって街に入った私とリンネルはまず服を買いに店に向かった。街は前に滞在していたギルムンなんちゃらよりヨーロッパの街なみに似ている気がする。まあ、ヨーロッパなんてテレビでしか見たことないんだけどね。


 リンネルなんかすっごいキョロキョロして街を見てる。特に飲食店と食べ物の屋台をだけど。どう考えても腹ペコキャラが進行してるよ。そのうち欠食児童に進化してるかもだけど。


 さあ、到着!門にいた門番さんが言うにはこのお店だよね。


 名前は『フレキシブルーム』。うん、ここで間違えないね。


 さて、リンネルの服を選んで宿屋に行きますか。
















 ふぅ、結構いいのがあって目移りしちゃったよ。リンネルもとがいいから何着せても似合うからいいよね。あ、でも戦闘用のとかはどうしよう?私は制服があるからいいけど、リンネルはないからやっぱり装備を買った方がいいのかな?


 まあ、とりあえず買うものは買ったし宿屋?ホテル?に行きますか。
















 さあ、宿屋に到着!この街はホテルじゃなくて宿屋!それも、かなり大きい宿屋!ご飯が美味しいのかを気にしてるうちの腹ペコキャラは置いといて、とりあえず部屋のチェックインを先にしよう。
















「申し訳ございません、ただいま全部の部屋が埋まっておりまして」




 おぉ、残念。全部の部屋が埋まってるってそりゃそうか大きいし有名そうだもんね。リンネルもなんか落ち込んでるし、他の宿屋を探すことにしよう。
















 全然部屋が空いてる宿屋がないんだけど!もう最後の1軒だよ。ここに賭けるしかない。それで、空いてなかったらこの街を出ようしょうがないからね。




「すいません、2人泊まりたいんですけど部屋って空いてますか?」




「いらっしゃい、部屋ならたくさん空いてるよ。どの部屋に泊まっても、料金は同じだよ。まあ、料理は別でお金払ってもらうけど。それでいいなら泊まりな」




 なんとも豪快なオバチャンが受付やってるよ。いやーでもよかった、部屋が沢山空いてるって言ったしよかったよかった。


 でも、宿屋的に沢山部屋が空いてるってそれはダメじゃない?




「とりあえず、今日寝るところは確保出来たしよかったよ」




「そうじゃの、泊まれなかったら街で野宿するところじゃった。後は料理の味なんじゃが……。まあ、期待しないで待とうかのう」




 やっぱりリンネルは腹ペコキャラだよ。間違いなく。まあ、部屋に荷物置いて食堂に行こう。


















 部屋に荷物を置いた私とリンネルは食堂に行ってご飯を食べた。味は『思い出の都』には劣るけど、どこか安心するような味だった。


 リンネルは大盛りで食べてお代わりもしてたけどよほど気に入ったのかな?
















 さて、ご飯は食べた。とりあえずこれからの方向性を決めよう。このままダラダラしてちゃダメだと思う、冒険者だし。




「ねえリンネル。明日はギルドに行って依頼を受けてこようと思うんだけどリンネルはどうする?」




「儂は観光でもしてようかのう。今日は服を買って宿屋探しをしてたしの」




「そう言われれば観光してないかも。うん、わかたよ。それじゃ、リンネルは観光。私はギルドに行って依頼を受ける。これで一応明日の予定は決まったしそろそろ寝ようか」




「そうじゃの」




 そして私とリンネルは眠りについた。
















 カーン!カーン!カーン!カーン!




 朝からうるさいんだけど。カンカンカンカンなに!せっかく気持ちよく寝てたのに最悪だよ、もう。




「なんじゃ、うるさいのぅ」




 こんなにうるさいとやっぱりリンネルも起きるよね。




 ドンドンドン!




「お客さん!起きてるかい!起きてるなら早く荷物纏めてこの街から逃げな!魔物の軍団がこの街に向かってきてるよ!」




 ん?魔物の軍団?あーなるほど、だからあんなに騒いでるのか。てか、オバチャン他のところに行っちゃった。昨日沢山部屋が空いてるって言ってたけど泊まってる人、私たち以外にもいるんだね。


 とりあえず制服に着替えてギルドに行ってみようかな。こうゆう時のお約束だと冒険者には収集がかかってそうだし。




「リンネル、ちょっとギルド行って情報収集してくるけどリンネルはどうするの?」




「そうじゃのぅ、とりあえず儂は避難でもしとくかの」




 ついてこないで避難するんだ。てか、リンネル強いから避難する必要ないよね?


 そういば、リンネル目開いてないんだけど。この状態でまだ覚めてないの?どんだけ神経太いの?バカなの?アホなの?寝ぼけてるの?


 あ、また寝ようとしてる。これは確実に寝ぼけてるね。




「ほら起きて。私1人でギルド行ってくるから避難してる人達についてって。わかった?そこで寝てていいから」




「分かったのじゃ。それじゃ儂は先に行ってるのじゃ。後で来るのじゃぞ」




 ふらふらしながら歩いてるけど大丈夫だよね?


 オバチャンが近くにいるからリンネルのこと頼んどこ




「あ、オバチャン!私の連れがまだ寝ぼけてるので連れて行ってくれますか?」




「あいよ、任せな。あんたはどうするんだい?」




「私はギルドに行ってきます」




「あんた冒険者だったのかい。なら早く行きなギルド長が収集してたよ」




 やっぱり収集がかかってたよ。まあ、普通かかるよね。




「わかりました。行ってきます」




「気おつけるんだよ!」




 そう言って私はギルドに向かった。

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