第14話
もう、ヤダ、クラムチャウダー食べたくない。美味しかったけど、まだ余裕でお腹に入るけど精神的に無理です。
それにしてもスライムがめちゃくちゃ食堂に馴染んでたんだけど。スライムにはスピリカさんの護衛を任せたはずなのに、いつの間にか食堂の人たちに混じって料理運んでたんだけど。ちょっと馴染みすぎじゃない。私がいなかった間に何があったのかな?
そういえば、もうすぐ6時になるのにリンネルが来ない。あ、部屋の番号教えてないから来れるわけないじゃん。匂いを辿れるっていっても部屋に居ちゃ匂いがわかるわけないじゃん。部屋を出てしたで待ってよう。
私が下に降りて10分ぐらいしてリンネルが来た。だけどリンネルの隣には自己中で次期皇帝のシーザがいた。
「貴様を俺の妃にしてやると言っているのになぜ聞かない!おい!聞いているのか!」
すっごい絡んでる。その絡まれてるリンネルはめちゃくちゃ平然としてるんだけど。あ、こっち気がついた。げっ、自己中じゃなかったシーザもこっちに気がついちゃった。
「おお、美咲そこにおったか。途中で匂いが途切れての少し焦ったのじゃ」
「あー、うん、ごめん。部屋に居たらリンネルが気がつけないかなって思って今降りてきたの」
「そうじゃったのか。美咲が気にすることではないのじゃ」
うぅ、リンネルが優しい。てか、シーザがさっきからすごい睨んでくるんだけど。
「どうしたのじゃ、そんなに儂の隣を見て。美咲にはなにか見えるのかの?」
「えーと、その人どうしたの?」
「人とな?そんなものどこにおるのじゃ?何か変なものでも食べたのかの?」
「おい、貴様!先程からなぜ俺のことを無視する!」
まあ、そりゃリンネルも無視するか。うるさいし。
受付のところにスピリカさんがいる。めっちゃ怯えた目でシーザを見てるんだけど。
とりあえず、スピリカさんのところに行ってリンネルのこと言わないとね。
「こんばんは、スピリカさん」
「こ、こんばんは、美咲さん。どうかしましたか?」
シーザがいるから体が震えてる。追い出してこようかな。
まあ、それは後でやるとして今はリンネルの事だよね。
「はい、私の部屋に1人追加してもらいたくて。大丈夫ですか?」
「美咲さんの部屋に1人追加ですね。わかりました。追加料金が出ますけど大丈夫ですか?」
「大丈夫です。身分証ですよね。はい、どうぞ」
「ありがとうございます。それで、1人追加ってことはあちらの女性の方ですか?」
「はい、そうです」
確認を取り終わると、スピリカさんは受付台のしたから鍵を取り出して私に渡してきた。
受け取った鍵の番号は私が今泊まっている部屋の番号だった。
「そちらの鍵はあちらの女性の方に渡しておいてください」
やっぱり、リンネル用の部屋の鍵だよね。私持ってるし。
「わかりました。渡しておきます。リンネル、部屋行こう」
「そうじゃの。儂も少しはしゃぎ過ぎて疲れたのじゃ。ゆっくり休むとするかのう」
そう言って私と部屋に行こうとした時、今まで黙って私を睨んでいたシーザがリンネルの腕を掴んだ。
「貴様、さんざん俺の話を無視してどこえ行く気だ!俺の話はまだ終わっていないぞ!」
なんか、鬱陶しい。リンネルが嫌そうな顔してるのに気がついてないの?
こうなったら、殴る?切る?両方?いや、次期皇帝って言ってるから切ったらダメか。殴ってもダメだけど、このままにしたら私が嫌だしリンネルも嫌だろうから殴る。もう、決定!
多分このホテルに迷惑かけるだろうから明日の門が開く時間にこの街を出よう。
「そろそろいい加減にして欲しいんだけど。リンネルが嫌がってるのがわからないの?分かるならその腕を掴んでる手を離して。分からないなら、私が殴ってあげるけどどうする?」
「バケモノ風情が俺に話しかけるな。俺はこの女に喋っている。貴様は目障りだ、さっさと俺の視界からいなくなれ」
ちょっと調子に乗りすぎじゃないかな。こんなどっからどう見ても乙女な私にたいしてバケモノって言ったよあの男!
もういい、一発殴る!そうしないと私の気がおさまらない!
私がシーザに殴ろうと近寄ろうとしたとき、リンネルから体の芯から冷えるようなオーラを感じた。
「貴様、今美咲になんと言った?」
「美咲?ああ、あそこにいる人間の皮をかぶったバケモノのことか。バケモノにバケモノと言って何が悪い?」
うん、リンネルめっちゃ怒ってる。それに気がつかないとか馬鹿じゃないのかなあの男は。
「ほう、美咲をバケモノと呼んだかの。歯を食いしばって、心の準備をせい、小童が」
「何を言って……ぐふっ!」
おお!リンネルすごい!腹パンで壁まで飛んでいくとか死んでないよねあの男?
あ、痙攣してる。よし、生きてるね。これで死んでたらちょっとやばかったね。殴ってる時点でやばいけど。
「うむ、これでうるさいのは黙ったかの。さて、美咲よ部屋に向かおうかの」
思っいきり殴った本人はすごい清々しい顔してるんだけど。リンネルだけは怒らせないように心に誓っておこう。
「そうだね、もう外も真っ暗だよ。夜ご飯はどうする?」
「儂はいいかの、外でたんまりと食べてきたのじゃ」
ならいいかな。スピリカさんは……うん、少し1人にしてあげよう。
そりゃ誰だって自分の国の王子様がぶん殴られたら呆然とするよね。
さて、部屋に戻ってきた私はポーチののかの整理、リンネルは今お風呂に入っいる。
とりあえず、リンネルがシーザを殴ったからこの街にはもういられないかな。
よし、買うものは買ってあるし食料はそもそも私は食べなくてもいいし、リンネルはいざとなったら自分で狩りにいけるし心配ないね。テントもリンネルがドラゴンになれば余裕で入れるし大丈夫。着替えはどうしようかな?私の分はあるけどリンネルの分がないんだよね。リンネルが着替えを気にしなければいけるけど、もしダメだったらしょうがないけど私のを着てもらって、次の街で買うしかないね。
「ふぅ、いいお湯じゃった。美咲よ今あがったのじゃ。美咲も入ったらどうじゃ?」
「うん、そうだね。入ってスッキリしてくる」
さあ、お風呂入って寝ようかな。準備するものはもうないし。
はい、おはようございます。今日はこの街から出ます。リンネルはまだ寝てるけど。
門が開く時間は8時からだから少し時間がある。リンネルを起こして、歩いて門へ向かえば8時になる。だけど、リンネルが起きるかどうか。私みたいに寝起きがいいのかわからないから少し心配かな。
「リンネル、朝だよ。起きて」
「なんじゃ、もう朝かの。して、もう出るのかの?」
うん、寝起きがいい方でよかった。
「そうだね。ホテルをチェックアウトして、歩いて門へ行けばちょうどいい時間になるからそろそろ出よう」
「うむ、分かったのじゃ。準備するものは特にないからのこのままで大丈夫じゃな」
「それじゃ行こうか」
ホテルのエントランスホールに行くとスピリカさんが受付にいた。
「おはようございます、スピリカさん。チェックアウトをしたいんですけどいいですか?」
「おはようございます、美咲さん。もうこの街から出るんですか?」
「はい、昨日があれでしたから。ここに残ってたら迷惑かけちゃいそうですから」
「そんな、迷惑なんて!全然気にしてないですから。それでも行っちゃうんですか?」
スピリカさんが寂しそうな顔で尋ねてきた。
「はい、もう決めたことなので。短い間でしたけどお世話になりました」
「そうですか。わたしも昨日助けてくれてありがとうございます。それで、チェックアウトでしたよね。身分証から宿泊数の金額分とそちらの女性の分を引くので身分証よろしいですか?それと部屋の鍵も」
そう言われたので私はポーチから身分証と部屋の鍵を出してスピリカさんに渡した。
身分証を渡すと横の機械でなにかをやってるけど、すぐに終わって返してもらえた。
「美咲さん、もしまたこの街に来るようならまたこのホテルに来てくださいね」
「わかりました。またこの街に来たらこのホテルに泊まりますね。それとスライムはスピリカさんの護衛として置いていきますね。スライムのことお願いします。それじゃまたいつか」
「はい、ありがとうございます。また来てくださいね」
そう言って私とリンネルはホテルをあとにした。
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