第13話

「美咲よ、あれはなかなかに美味しそうじゃぞ。いや、あっちもおいしそうじゃなあ。うむむ、悩むのう」




「どっちも買えばいいと思うんだけど」




 リンネルって食いしん坊キャラになりつつあるんだけど。でも、確かに美味しそうな食べ物を売ってる屋台がいっぱいあるから迷うよね、普通に。




「そうじゃな。両方買うとゆう選択をなぜ儂は取らなかったのじゃ!では、美咲の分も買って来るぞ」




「ちょっと待って、リンネル」




「なんじゃ、美咲よ。早く行かねば売り切れてしまうではないか」




 はは、リンネルはもう食いしん坊キャラだね。




「私は1回ホテルに行って来るから場所を教えとかないとリンネル分からないでしょ」




「いや、美咲の匂いは覚えとるから、匂いを辿れば分かるのじゃ。だから、安心して戻ればよいぞ」




 なにこの人!なかなかにハイスペックなんだけど!?


 まあ、安心出来るかはどうかは分からないけど、ここはリンネルを信用して、戻ろうかな。




「リンネルが匂いで辿れるのを信じるけど一応ホテルの名前教えとくね。名前は『思い出の都』ね。とりあえず、ホテルの部屋は一緒にしとくけどいい?」




「うむ、『思い出の都』じゃな。部屋は一緒で良いぞ、何かあったらすぐ分かるからのう」




 リンネルの中では何かある予定なんだ。何もないことを祈るかな。




「何も起こらないし起こさせないからね。それじゃ、また後でね」




 そう言って私はリンネルとわかれた。














 わかれたあと、私は思い出の都に向かったけど、思い出の都の前で騒ぎが起こっていた。




「あの、何かあったんですか?」




「うん?ああ、今なシーザ様がいらしてるんだが女の子がシーザ様が乗っていらっしゃる馬車に引かれたんだ。それで今騒ぎになってるんだ」




 なるほど、それでこんな騒ぎになってるんだ。




「そうですか。教えてくれてありがとうございます」




 とりあえず前の方に行ってスピリカさんに会わないと。


 私が前の方に行くとスピリカさんが女の子の近くにいて女の子が緑の光に包まれていた。スピリカさんは女の子の前で何かを呟いている。何を呟いているのか気になったから聴覚を強化した。




「我らを産みし大地の母リャフカよ、どうかあなた様のお力をお貸しください。アースヒール」




 聴覚を強化して聞いてみたらそんなことを呟いていた。


 私はの光景を見て不謹慎にも綺麗だと思った。


 その時、スピリカさんの所に着飾った男の人が近づいていた。その顔はとても不満そうな表情に歪んでいた。




「おい、貴様なぜ俺の馬車の前に飛び出してきガキなど助けた。普通なら真っ先に俺のところに来て俺が怪我をしていないか確認するだろう。なぜそのガキの回復を優先した。これは反逆にあたいするぞ」




 私はまだ聴覚を強化してたからそんなことが聞こえた。




「わたしは確認するまでもなく大丈夫だと思い少女の回復を優先しました」




「ほう、なるほどな。これは反逆だな。おい、剣を持っこい。こいつをここで斬首刑にする。これは決定事項だ、異論は認めん」




 は?今なんて言ったのこの人?スピリカさんを斬首刑にするって言った?それも決定事項。




「はいはい、異議ありおおありです!異論は認めないとか私が認めません!」




 言っちゃった、言っちゃったよ私!後悔はしてないけどね!




「ほう、貴様。俺に異論があると今言ったか?俺が誰かわかった上での発言だろうな?貴様も斬首刑に処されたいのか?」




「は、あんたバカ?私は異議ありって言ってるんですけど聞こえないんですか?いや、自分が偉いからって調子に乗りすぎだと思うんですけど?」




 こうゆうての人って煽り耐性がない人多くない。昨日の朝の人もそうだけどすぐに顔赤くする人多くない?知らないけどね。




「き、貴様ぁ。偉そうなことを言いやがって。俺を誰だと思ってやがる!次期皇帝のシーザだぞ!」




「え!次期皇帝のシーザって、こんな自己中だったんだ」




「ちょっと美咲さん!シーザ様にそんなことを言ったら「スピリカさんはちょっと静かにしてください」」




 スピリカさんが何か言ってきたから静かにしてもらった。




「あの、とりあえず女の子に謝ったら。あ、ごめん自己中だから謝れないか」




 やばいこの人煽るの楽しくなってきたかも。




「貴様はどうやら本当に死にたいようだな。良かろう、ここを貴様の墓場にしてやろう」




 なんか、ダサい。とてつもなく、ダサい。はあ、何でこんなのがいるのかね。




「では、心の準備はできたか?できなくても殺すがな!」




 うわぁ、こんな健気な女の子襲うとかありえないわー。うわぁーあたったー、死んだらどうすんだよー。まあ、死なないんだけどね。




「くっ!貴様なぜ死なない!いまのはどう考えても致命傷だったはすだ!それに、服と傷が治っているのはなぜだ!」




「さあ、どうしてでしょうね。あ、教えませんよ。タネがわかっちゃったらつまらないじゃないですか」




 まあ、タネなんて死なないだけで他にタネなんてないんだけどね。




「とりあえず、早くスピリカさんと女の子に謝ってください」




「くっ!俺は悪くない!飛び出してきたガキと俺に逆らったあの女が悪いんだ!だから俺は決して謝らんぞ!このことは父上に報告してやるからな!覚えてろよ!こんな街二度とくるか!早く馬車をだせ!」




 いやー面白かったあの人。どんどん顔が赤くなるから途中から楽しんじゃったよ。




「美咲さん大丈夫ですか!切られたところはどこですか!早く治さないと!」




「大丈夫ですよ、スピリカさん。さっきのはあたってませんよ」




「え、だってさっき剣が体にあたって血がドバっと出てたんですよ!大丈夫な、わけ……。あれ、傷はどこですか?」




「だから大丈夫って言ってるじゃないですか。さっきのは幻影ですから。ほら、傷なんてどこにもないでしょ?」




 うん、これから怪我するところを見られたら幻影だって言っておこう。にしてもあんまり痛みを感じなかったな。せいぜいタンスの角に小指をぶつけたぐらいの痛みかな。地味に痛いんだよねあれって。




「幻影ですか?まさか美咲さんって数少ない幻影魔術師なんですか?」




「え、違いますよ。私のはそんなたいそうものじゃないですよ」




 幻影って珍しいんだ。あまりほかの人に幻影って言わないようにしよう。




「そんなことないですよ!幻影を使えるのはほんとに限られた人だけらしいんですよ。私は見たことないのでどれくらいのことが出来るかわからないですけど、すごい人は理すらも惑わすことが出来るらしいですよ」




 全然私はすごくないです。ただの不老不死です。いや、不老不死だけですごいか。




「私が使えるのは攻撃があたった幻影を相手に見せて油断させるぐらいですよ」




「それだけでもすごいですよ!まさかこんなにすごい人がうちのホテルに泊まってるなんてすごいですよ」




 有名人みたいな扱いになってきちゃったな。




「とりあえずスピリカさん、お腹が空いたので食堂に行きましょう」




「あ、そうですよね。美咲さん昨日戻って来なかったので心配してたんですよ。だから、お腹いっぱいクラムチャウダーを食べさせてあげますね」




 この時の私は、それほど量がないと思って、スピリカさんのクラムチャウダー地獄におちいるのであった。

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