第12話
ふぅ、やっと門が見えてきた。あそこからここまで結構遠かったかも。全然体は疲れてないけど、精神的に疲れたよ。
「なかなかに立派なもんじゃのう。儂の拳を何発耐えられるかのう?」
「冗談だろうけどやらないでね。もう街に入れなくなると思うから」
はぁ、リンネルならほんとにやりそうで怖いんだけど。目を離さないようにしなきゃ。
「おお、お嬢さん無事だったか!よかった、昨日依頼に行って戻って来なかったからどこかで遭難したんじゃないかと思ったよ」
門番さんが私の方によってきてそう言った。
「お騒がせしてすいません。実は採取をしてて門番さんの言う通り遭難しちゃって。あ、でもその時にこの人に助けられて。リンネルちょっと来て」
私は門をじっと見てるリンネルを呼んだ。
「なんじゃ、美咲。話は終わったのかの?」
「うん、一応話すことは話したから門番さんにリンネルを紹介したくて」
「ふむ、なるほどのう。初めましてじゃな。儂の名はリンネルじゃ。よろしく頼むのう」
「ああ、初めまして。ナザルと申します。こちらこそ、よろしくお願いします」
門番さん、ナザルさんとリンネルが挨拶をしたから、一応通っていいか聞いてみた。
てか門番さん、ナザルって名前だったんだ。初めて知ったよ。
「あの、通っていいですか?依頼された物をギルドに届けたいので」
「ああ、お嬢さんはいいよ。リンネルさんは身分証を出してくれますか?」
「身分証とはこれのことじゃったな、これで良いかの?」
リンネルはポケットの中から身分証を出して、ナザルさんに渡した。
「はい、これですね。それで、リンネルさんはどれくらい滞在するおつもりで?」
「儂か?儂は美咲がこの街を出ると言ったら、美咲と出ていこうと思っておるのじゃがよいかのう?」
「はい、大丈夫ですよ。美咲さんの滞在はあと12日ですが、結構色々なところを見て回れると思いますよ。はい、身分証をお返しします。それと美咲さんには言いましたが、ようこそギルムンブルグへ!」
あれ、初めて来た人には言ってるのかな?もう、RPGに出てくる【ようこそOOへ】って言ってるモブじゃん。
まあそれより、私は戻ってきたぞー!
いやあ、一時はどうなるかと思ってたけど、ほんとに戻ってこれてよかった。
とりあえず、ギルドに行って依頼の物と帰還報告しないとね。
「リンネル、私はギルドに行くけどどうする?」
「む?なんじゃ、美咲はギルドに行くのかの。それでは、儂もついて行こうかのう」
はい、結局リンネルも行くことになりましたー。
まあ、リンネルが1人で街を歩いて、迷ったら会えなさそうだから一緒にいた方がいいよね、やっぱり。
「それじゃ、行こう。リンネル」
「そうじゃのう。ここで立ち話もなんじゃしの」
それでは、ギルドへレッツゴー!
ふぅ、やっと着いた。なんか昨日より人が多いような気がする。
「街とゆうのはすごいのう。日本にいた時でさえ儂はこんなにも多くの人はみたことがないぞ」
リンネルも驚いてる。やっぱり人が多いよね。
「うん、そうだね。とりあえず私は受付に行ってくるから、あそこの席でなにか頼んで食べて待っててよ」
「うむ、だが金を持っておらんぞ?どうするのじゃ?」
あ、伝えるの忘れてた。
「お金は身分証の中に入ってるから大丈夫だよ」
「ほほう、身分証とは便利じゃのう。昔は身分だけを証明するだけじゃったからのう」
「私の時代も身分証は身分を証明するだけだからこの世界の身分証がすごいんだよ。それじゃ、行ってくるね」
そう言って私はリンネルとその場でわかれた。
受付に行くと人が全然並んでいなかった。ギルドの外と食堂には人が結構いたのに受付には全然いない。不思議だなー。
おっと、私の番が来た。
「次の方どうぞ。あら美咲さん!戻って来たんですね。昨日戻って来なかったのでスピリカさんと2人で心配してたんですよ。あとで、ホテルに戻ったらスピリカさんにちゃんと謝ってくださいね。心配かけたんですから」
「はい、すいませんでした。あとで、スピリカさんにも謝っておきます。それでネルヴァさん、今日って何かあるんですか?外にいっぱい人がいましたけど?」
「今日?あぁ、美咲さんは知らないのね。今ね次期皇帝のシーザ様が領地を巡回しているのよ。それで、今日シーザ様がこの街に来るからいつも以上に人がいるのよ」
なるほどねー、国のお偉いさんが来るから今日は人がいっぱいいるわけかー。そして、そのお偉いさんの名前がシーザって名前なのね。うん、あだ名はシーザーサラダかな。心の中だけで呼ぶけどね。まあ、当たり前か。
「そうだった、ネルヴァさんこれ。依頼の物です。昨日、依頼された以上にとれたんですけどそれってどうなりますか?」
私はポーチから採取した物を取り出しながらネルヴァさんに聞いた。
「そうですね、このぐらいの量ですと1,200バルコを上乗せですかね。あ、これは見た感じですとゴブリンリーダーの耳ですね。これは、12,000バルコの上乗せですね」
1つ目の上乗せは微妙だけど、2つ目の上乗せは多いよね。上乗せで1万越えたのは結構いいかも。
「上乗せ分を含めたらいくらぐらいなんですか?」
「そうですねぇ。元の依頼達成金が全て合わせて130,000バルコで、そこに上乗せ分を含めると143,200バルコですね」
報酬がなかなかに多かった。上乗せって言われてもこう見ると微々たるものだね。
「これぐらいの報酬って多い方なんですか?」
「いえ、普通より少し高いぐらいですね。多い人は30万は稼いでいましたね。依頼をいっぱい受ける人とか」
やっぱりそうゆう人いるんだ。でも、危なそうだなぁ。私は少し持っていく程度にしようかな。
「それじゃ、美咲さん。身分証を出してください。身分証に入金するのでかしてもらってもいいですか?」
そう言われて、私はポーチから説明書を取り出して説明書に挟んである、身分証をネルヴァさんに渡した。
「ありがとうございます。それで、美咲さんは今日はなにかする予定があるんですか?」
「そうですね、今日は街を連れと見て回ろうかなと思ってます」
「お連れ様ですか?その方は冒険者のかたですか?」
「いいえ、違いますよ。昨日森であったんですけどその人と今日は街を回ろうと思ってるんです」
「そうですか。はい、身分証お返ししますね。それじゃ、スリとかに気をつけてくださいね。今日みたいに人が多いとそうゆう人が増えるので」
「はい、気をつけます。それじゃ、連れが待ってるのでここらへんで。ネルヴァさん、お仕事頑張ってくださいね」
私はそう言って受付から離れた。
受付から離れて食堂に向かった私はリンネルを探した。
リンネルはこっちでは見たことがない黒髪で、ポニーテールなのですぐに見つかった。
「リンネルお待たせ。結構待ったよね」
「うむ?おお、美咲か。いや、それほど待っておらんから気にするでない。美咲はなにか食べるかの?」
「私はいいや。それに今日はお祭りみたいな感じらしいから、街を見ながら楽しもう」
「ほほう、今日は祭りであったか。それならば、さっさと行こうではないか美咲よ。儂は祭りが好きでのう、今からとても楽しみじゃ」
「へー、そうなんだ。それじゃギルドを出ようか。祭りだから珍しい食べ物とか食べられるかもしれないね」
そう言って私とリンネルはギルドをあとにした。
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