第11話
「美咲よ、朝じゃぞ。早く起きんか」
「あと5分だけ……」
「待たんは!早く起きないと街に戻れんぞ!」
「そうだった。街に戻らないといけなかった」
でも、起きたくないどうしようかな?そんなことを考えていると体が宙に浮く感じがした。宙に浮かんだことないけど。
「さあ起きるんじゃ。起きんとここから落とすぞ?」
落とす?ああ、そうゆうことかあ。リンネルに持ち上げられて宙に浮いてるのかー。そうかーリンネルは力持ちだなー……。て、持ち上げられてるの今!
「それでは、10数えるうちに起きぬとおとすからの。じゅー、きゅー、はーち「起きた!起きたから落とさないで!」うむ、起きたなら良いのじゃ」
ふぅ、降ろしてもらえた。ちょっと起きなかったからって持ち上げて落とそうなんてひどいよね。もう。
「なんじゃその不満そうな顔は。せっかく心の整理がついて、街に行くかどうか言おうと思ったのにのう。言わなくていいのなら、まだ寝てても良いのじゃぞ?」
それは先に言ってほしかった。それならすぐに起きたのに。
「まあその、起きなかった私が悪かったです。ごめんなさい」
「わかれば良いのじゃ。それでの、昨日美咲が寝た後に考えたんじゃがの儂もの一緒に行こうと思うんじゃがよいかのう?」
「ううん、全然いいよ!こっちからお願いしたんだから。でも、嬉しいなあ。リンネルってなんだか雰囲気がお婆ちゃんだよね。喋り方とか」
「そうかのう?儂は昔からこうゆう喋り方なんじゃがの。美咲のいた時代には儂のような喋り方のものはおらんかったのか?」
うーん、どうだったけ?芝居とかでならいたっけ?いたようないなかったような……。
「あ、私のお婆ちゃんが同じ喋り方してたかも。それ以外では全然聞かなかったかも」
「ふむ、やはり儂も美咲みたいな喋り方にした方がよいかのう?」
リンネルが私みたいな喋り方……。なんか微妙かも。リンネルの、のじゃ、が私の中ではそれが普通になってるけど他の人からしたら私みたいな喋り方の方が普通に見えるかな。
「ううん、今の喋り方でいいと思うよ。リンネルも急に喋り方とか変えたら大変でしょ?」
「ふむ、そうじゃな。では、今のままの喋り方でいこうかの」
「うん、そうだね。それじゃあそろそろ街に行こうか」
「そうじゃな。では、この森から出るのは儂に任せてほしいのう。美咲ではいつまでたっても出れん気がするしのう」
うぐぐ、そう言われると言い返せない。はぁ、しょうがないかな。ここはリンネルに任せるとしようかな。
「うん、それじゃあリンネル任せたよ」
「うむ!任されたのじゃ!」
さて、さっさとこの森からおさらばしますか。
リンネルの先導で何とか森を出られた私はあることに気がついた。
「そういえばリンネル、身分証って持ってる?」
「身分証かの?はて、そのような物を持っていたかの?見た目はどんな感じのものかの?」
「こうゆう感じのカードみたいなやつなんだけど持ってる?」
私はポーチから説明書に挟んでいる身分証を出してリンネルに見せた。
「ふむ、持ってないのじゃ。身分証とゆうからにはそれがないと入れんのか?」
「どうなんだろう?失くしたとか言ったらどうなるんだろう?うーん。あ、そうだ。リンネル、今からリンネル用の身分証用意出来ないか聞いてみるね」
「聞いてみるとな?街の者にか?」
ふふふ、これを聞いたら絶対リンネル驚くだろうなあ。
「今から電話するのはね、死んだ時にあった人のところです!」
「ほほうなんと!それは驚きじゃのう。なるほどのう、昨日の準備とは電話をしていたということじゃな」
「うん、そうなの。昨日はまだリンネルが同じ1度死んだ人だとは思わなかったから、言ってもいいのかわからなくて。でも、信頼できる人になら私の判断で言っていいって言われて、リンネルになら言っても大丈夫と思って言ったんだ。それじゃ私電話してくるね」
私はリンネルにそう言うと少し離れた。
「会って間もない儂を信頼してくれるとはありがたいのう。美咲は不老不死になったといってもまだ子どもじゃ、美咲には無茶はさせられんのう。ここは儂が美咲をささえるかのう」
とりあえずニューベルトさんに電話して、作ってもらえることになったけど2時間ぐらいかかるって言われたから、それまで何やってようかな。
「おお、戻って来よったか。なんじゃ、微妙そうな顔をして」
「うん、ちょっとね。作ってもらえるんだけど2時間ぐらいかかるって言われてそれまでどうしようかなって」
「ふむ、なるほどのう。なら、詳しく能力を聞かせて欲しいのう」
そういえば昨日、話してなかったけ?えーと、うん。話してなかったね。
昨日はリンネルのことで私だけ盛り上がってたんだった。それで、昨日私の能力について話してなかった。
「うん、そういえば昨日話そうと思ってたのに忘れてたよ。まずはって言ってもまだ分からないことがあるからそんなに多くは話せないけどね。まず1個目は、どんなに動いても体力が減らない」
「体力が減らないとな?」
「うん、全くといって減らないの。最初は私がこの世界に来た時に用意されていた小屋に居て、今いる街まで走って行ったんだけど息が全く切れなかったしスピードも変わらなかったんだ」
「なるほどのう。だからさっきから息が乱れてなかったのじゃな」
次は能力なのかな?まあ、それを言ったら今言ったばかりのやつも能力なのか微妙だよね。
「次、2個目はお腹が空かない」
「のう、それは能力なのかの?」
「言わないで。私も言ってて微妙だから。でもまあこれは言ったことそのままだよ」
「なるほどのう。して、あと能力は何個あるのじゃ?」
「次で最後だよ。最後はいろいろと強化出来る!これが1番能力らしい能力かな。これは言った通り腕力を強化したり、聴覚を強化したりいろいろと強化出来るの」
「なるほど!だから昨日軽いパンチだけでスケルトンがやられたのじゃな。それに、竜化した儂の言葉がわかったと。なるほどのう。なかなかに興味深いのう」
「まあ、今わかってる能力はそれぐらいかな。それに、今はどこを強化したらどんなことが起きるのかを検証してるんだ。それで、今わかってるのは聴覚と腕力、脚力、視覚かな」
そして私は、わかっている能力を簡単にリンネルに話した。
「ふむ、なかなかに不老不死とは面白いのう」
リンネルがそう言ったとき、スマホから着信を知らせる着信音が聞こえた。
『もしもしニューベルトです。身分証ができたのでお電話かけさせていただきました』
「あ、どうも。それで身分証はどこにあるんですか?」
『はい、説明書の1番最初のページにあります。それでは、私は仕事に戻りますのでリンネルさんによろしくお伝えください。それでは失礼します』
「はい、失礼します」
ニューベルトさんはそう言うと電話を切った。
ニューベルトさんは説明書の最初のページにあるって言ったよね。
私はポーチから説明書を取り出してページをめくった。めくるとそこには、リンネルの身分証が挟まっていた。
よし、これでリンネルも街に行けるね。
「リンネル。はい、これ。リンネルの身分証だから無くさないでね」
「ほう、出来たかの。わかったのじゃ無くさないように気をつけようかの」
よーし、これで街に戻れるね。昨日は帰れなかったから、スピリカさんとネルヴァさんが心配してるよね。早く戻ろう。
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