第9話

 やば、迷ったかも……。ここどこ?道路が見えないってことは奥なのかな?辺りもすっかり暗くなってるし。はぁ、どうしよう?




「ぴぃー」




 うんにゃ?何今の声?いや声ってゆうか鳴き声?


 どっからだろう?




「ぴぃぴぃっ」




 また聞こえた。声が後ろの方から聞こえる。いや待って。後ろってもっと森の奥っぽいところに行かないといけないじゃん。辺りも結構暗いし……。あっそうだよ!最初からスマホ使えば良かったじゃん。うわー、そうすればもっと早く森から出られてたのに……。




「ぴぃぴぃー、ぴぃっ」




 どうしよう、すごく気になる。でも、帰らないと。うーん、やっぱり行こうかな。


 スマホをつけてっと。それにしてもなんでライトがついてないかな。こうゆう時不便だよ、もう。


 でも、スマホつけても暗いよ。とりあえず、声の聞こえた方に行こう。
















 全然いない。声は聞こえるの姿が見えない。でも、近くまで来てると思うんだけど……。




「ぴっぴぃ、ぴぅい」




 うん、すごく近い。でもね、だいたい聞こえてくるのが後ろなんだよ。全然いないけど。


 月明かりが出てないから暗い。スマホの光だけだと心もとないんだよね。


 とりあえずは月明かりが出てるところに向かおうかな。
















 ダメだ、全然月明かりがあるところを見つけられない。さてどうするか……。ニューベルトさんに電話してアプリを増やしてもらうとか出来るかな?……出来なそうな感じがする。あ、視覚を強化してみようかな。まだやったことないけど。


 うーん、目に力を入れればできるかな。


 ふん、ふぬぬぬぬぅ。お、ちょっとずつ明るくなってきたかも。あー、暗くなってきちゃった!もう1回、目に力を入れないと。


 視覚の強化は維持が難しいかな。これは要練習だね。




 さてと、本格的に帰り道を探さないと。門はもう閉まってるしどうしようかな?採取依頼の物も全部集めたし、討伐依頼も指定された数討伐したし、ゴブリンだけは多くなっちゃったけど。今は夜だし夜だけしかでないモンスターとかいたら討伐しようかな。




 それと、鳴き声の正体も捕まえたいし。今だって、私を見る視線がすごいんだから。あと探してないのは木の上とか、もしかしたら地面のしたとかにいるかもしれないしね。




「ぴっぴぃっ、ぴぅうい」




 だあもー!さっきからうるさいな!人が一生懸命どう帰るかとか考えてるのに!


 もう決めた!帰り道探すのも夜だけしかでないモンスターを狩るのも後回し!この鳴き声の正体を捕まえてやる!


 そんな意気込みをしていると草陰から物音がした。




「そこかー!」




「カラカラッ」




 うん?カラカラッ?そういえば手触りがゴツゴツしてるような……。


 げっ!こいつ骸骨じゃん!これがいわゆるスケルトンか!よく見ると関節のところは宙に浮いてるような気がするんだけど。どうなってたんだろう?


 いやいや!今はそんなことどうでもいいんだよ!


 やば!スケルトンが持ってる剣を振り下ろしてきた!これはよけられる?正解は?無理だって急なんだもん!




「ぴぃぃぃぃ!」




 痛っ!なに!?いきなりなにかに突き飛ばされたんだけど?




「ぴぃ!」




 えーと、助けてくれたのかな?まあ、ありがたいからいいんだけどね。でも、まさか鳴き声の正体から来てくれるとは思わなかったし、助けられるとはもっと思わなかったよ。


 まあ、とりあえず助けてもらったんだからお礼だよね。




「えーと、ありがとうね。助かったよ」




「ぴっぴぃ!」




 なんか鳴いてるけどこれは喜んでるのかな?喜んでるとゆうか何こいつ?翼の生えたトカゲ?いや違うこいつドラゴンだ!てか、よく見ると喜んでるんじゃなくてドヤ顔してるんだけど。顔はかわいいのになんかムカついてきた。




「ぴゅい!」




 うわっと、危ない危ない。ドラゴンが鳴いてくれなかったらスケルトンの攻撃があったてたところだったよ。まあ、すぐに傷とか治るけど痛いのは嫌だからね。


 とりあえずこのスケルトンは倒しておこうかな。


 いちいち攻撃されるのも嫌だしね。


 さて、こうゆう時にスケルトンのどこを攻撃すればいいのか。まあ、とりあえず頭蓋骨を壊せばいいかな。壊し方は殴るor切るさあどっちにすればいいのか?答えは決まってる。強化して殴ればいい。


 よーし殺るぞー、殴るぞー壊しちゃうぞー。




 おっと、その前に視覚を強化しないと暗くて見えないからね。


 よし、強化終了。さーて、スケルトンはどこかな?おー、見つけた。


 見つけたけど、なんで頭蓋骨だけ


 紫色に光ってるんだろう?まあ、それはいいや。さっさと倒してドラゴンの顔を1発殴る。




 おっと、スケルトンがこっちを向いた。以外にスケルトンって速いんだよね。追いつけないレベルじゃない。てゆうか余裕で追いつけるレベル。でも、周りが暗いと普通だと厳しいよね。まあ、私は普通じゃない訳だけど。


 さて、倒しますか。




「ていっ!」




 強化した拳で軽く殴った。軽く殴っただけなのに頭蓋骨は木っ端微塵になった。頭蓋骨がなくなるとさっきまで動いていた骨が地面に落ちた。


 やっぱり弱点だよね、頭蓋骨って。人間もそうなんだし、だいたいの生き物は頭が弱点だよね。私は人だけど死なないから関係ないけどね。




「ぴゅい、ぴっぴぃ!ぴぅい!」




 ドラゴンが何か言ってるけど全然わかんない。ちゃんと人の言葉で言って欲しいよ、もう。あ、そうか聴覚を強化すれば聞こえるんだった。私忘れてばっかだな。




『お主一体何者じゃ!なんであんな軽いパンチだけでスケルトンがやられるんじゃ?』




 めちゃくちゃ動揺してるんだけど。




「いや、なんでって言われても強化したからだけど」




『なぜ儂の言葉が分かるのじゃ!?なぜじゃ、なぜなんじゃ?』




「うるさい。少し静かにして。ちゃんと説明するから」




『うむわかった。少し静かにしていよう』




 はぁ、やっと静かになった。でも、ずっと強化してるのは精神的に疲れるかな。




「ねぇ、あなた人の姿になれたりしないの?」




『ふむ?なろうと思えばなれるぞ。なんじゃ、なればよいのか?』




「うん、なれるならなってほしいかな」




『あいわかった。それでは少し離れるんじゃぞ。そうじゃそうじゃ、その辺でよかろう。それではなるぞ』




 なるぞって、私を遠ざけるほど危ないのかな?


 うん?なんか風吹いてきてるような。さっきまで風なんか吹いてなかったのに。


 どんどん風があのドラゴンの方にいってるような。


 う、風が強くなってきた。
















 少しして、風がおさまるとドラゴンがいたところに20歳ぐらいの女の人が立っていた。




「ふむ、この姿になるのも何100年ぶりかの?」




「えっと、さっきのドラゴン?」




「まあ、そうじゃな。あとドラゴンではなくリンネルと言う名がある。呼ぶ時は気軽にリンネルと呼べばよかろう」




なるほど、目の前にいるのはさっきのドラゴンなわけで、名前はリンネルね。


リンネルの服装はデニムに黒のパーカー、靴はスニーカー。全くもってファンタジー感がない。もうこの世界にファンタジーは求めちゃいけないね。これは決定事項です。


さて、なんでこんなところにいたのか聞いてみようかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る