第6話
えっと、ビンガヌス ビンガヌス……。あった!
うん、どう見ても普通のお店だね。
周りにはビル。でも、ビンガヌスはこじんまりとした木造建築のお店。なんと素晴らしいことか。
どこを見てもビル、ビル、ビル……。ビルしかないから、こうゆう風にちゃんとしたお店って、結構いいかもね。
さあ、それでは入りましょうかね。
私が扉を開けると、カランカランとベルがなった。
おー、久々に来たよ、ベルが扉についてるお店。
私がそんなことを考えていると、ドタドタと大きな足音が聞こえた。
お店の人かな。それにしても、いろんな種類があるなー。やっぱり大きい方がいいのかな?説明書が何気にでかいし、大きめのカバンにしようかな。
「い、いらっしゃいませ!」
うわっ、ビックリした!いきなり大きい声を出されるとビックリしちゃうよ。店員さんかな?結構幼い感じだけど。はっ!見た目で判断しちゃダメだった。スピリカさんみたいにハーフエルフとかだったりするかもしれないからね。
そうだ、店員さんがいるんだから説明書が入って壊れにくいのとかないか聞いてみよう。
「あの、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「ひゃっ、ひゃいっ!大丈夫れす!」
全然大丈夫に見えないんだけど。この子以外いなそうだし、他の人を呼んでもらうのは無しかな。
「聞きたいのはこの本が入るくらいの大きさのカバンで、剣が当たっても壊れにくいカバンか、軽いカバンってあるかな?」
今更だけど注文が多いな私。
お、でも店員さんの顔つきが変わった。たまにいるんだよね、真剣に自分の職業に向き合ってる人とか、顔つきが変わる人いるんだよね。
「壊れにくいカバンはわかりませんけど、カバンじゃないんですけど、軽くてその本以外にもいっぱい入るポーチならありますよ。少し高いですけど持ってきますか?」
説明書以外にもいっぱい入るポーチ……。素晴らしい!ここにきてファンタジー要素きたーーー!
でも、スピリカさんがもうファンタジーだったよ。
「それじゃ、持ってきてもらってもいいかな」
「はい!わかりました!」
そう言うと、店員さんはレジの奥にある扉を開けてポーチを取りに行った。
待っている間暇だからカバンでも見てようかな。どうせすぐ飽きるけど。
私がカバンを見飽きてから少しして店員さんが戻ってきた。
「すいません、全然売れないのでどこに置いたか忘れてて探してました」
全然売れないって、どんだけ高いんだよ!さっき少し高いって言ってたけどほんとに少しなんだろうね。心配になってきたよ。
「どうぞ、これがいっぱい入るポーチ、名前は無限ポーチです!」
「これがいっぱい入るポーチなの?見た目はただのポーチだけど」
そうなのだ、見た目は普通。あと名前がダサい。
「それじゃあ、試してみてください。試せばわかりますよ」
この子さっきまでキョドってたのにすごいドヤ顔。
それじゃ、試してみますかね。
説明書を持って……。それではいきます!
……おー!入った!取り出しは、簡単にできる。
これいいじゃん!これは買うしかない!
でも、問題は値段と身分証に入ってるお金。お金とかどうやって確認するか知らないけどとりあえず、値段を聞いてみよう。
「それで、値段はどのくらいなのかな?」
「お値段は300,000バルコです」
300,000バルコかー。この世界ではバルコが円の変わりなのかな?大体身分証出して買えてたからよくわからないけどバルコを円にしたら、高いのか安いのか微妙な感じかな。高いっちゃ高いけど、少しお金を貯めれば買えるぐらいの値段だし。
「あのさ、身分証に今入ってるお金で買えるかな?」
「少しお借りしますね。……はい大丈夫ですよ。このポーチを買っても全然余りますよ」
ひとまず一安心。このポーチを買っても余るんだから、とりあえずこのポーチは買おう。その後、服を買いに行こう。ずっと同じ服とか嫌だしね。
「それじゃこのポーチ買うよ」
「本当ですか!よかったぁ、全然売れないからどうしようかと思ってたんですよ」
うっ、スピリカさんには劣るけどかわいい笑顔。
はっ!今はこの笑顔を見てる場合じゃなかった、危ない危ない。
さて、次は服を買いに行こう。
「あのさぁ、この辺に洋服屋さんとかないかな?」
「洋服屋さんですか?それなら、思い出の都の方にベルムッシュってゆう洋服屋さんがありますよ」
ベルムッシュ、またなんとまぁ個性的な名前で。
「ベルムッシュね。ありがとう。それじゃまた何かあったら来るね」
「はい、ありがとうございました。また来てくださいね」
私は店員さんの挨拶を背にビンガヌスをあとにした。
そして着きました。ベルムッシュ!
話によればベルムッシュはビル1棟の中でかなり分かれているらしい。
例えば1階。1階は男性向けの服。ばかりらしい。
私が行きたい女性向けの服は2階に売っているらしい。
さて、どんな服が売っているのか楽しみだなあ。
はい着きました、2階!
さーて、私がお気に召す服はあるのかな?
ちょっと見てみよう。まずは近くの服から。
近くの服を見るとどう見てもゴスロリ衣装でした。さすがに私でもゴスロリは着ないかな……。
はい次!
次は……、おぉ!ジーンズが売ってある。これは1着買っておこう。なら、これに合う服を選ぶとしようかな。
いやー、堪能した。もう私は満足だよ。このままホテルに帰っていいかもしれない。
でも、本題は冒険者ギルドに行って冒険者登録をすること。
遠回りしすぎたけど、やっと目的を達成できるよ。
よーし、冒険者ギルドに行こう。あわよくばテンプレに遭遇できたらいいんだけどね。
さあさあさあ、着きましたよ私の大本命。冒険者ギルド!
ギルドはレンガ造りの建物で看板らしきものには剣と盾の絵が書いてある。
それでは入るとしますか。
扉を開けるとそこはまさに修羅場だった。
「おいガキ今なんて言った?」
「聞こえてなかったんなら何回だって言ってやるよ!アンタらはどうしようもない腑抜けだ!昼間からこんなところで酒ばっか飲んでる腑抜けだよ!」
「おい、ガキでも言っていいことと悪いとこぐらいわかんだろうがよ。その言葉を他の奴にも言えんのかよ。仲間を目の前で失ったことのないお前に何がわかるんだよ!」
あ、やばいあれは止めないと男の子が殴られる!
「やめんか!このたわけが!」
私が男を止めに行こうとした時、奥の方から大きな声が聞こえた。
「なんだよマスター!止めんじゃねぇよ!」
「やめろと言うとろうがガルム!そのガキを殴ったところでルナーチェはもう戻ってこんのだぞ」
「んなこたあわかってんだよ!」
「ならその拳をおろせこの馬鹿者が。それと、ガキ。貴様は冒険者ギルドを敵に回す気かの。もう2度ギルドには近づかん事じゃ。わかったな?」
マスターと呼ばれたおじいさんがそう言うと、男の子は走って私の横を通り抜けていった。
はっ、そうだここにはギルド登録をしに来たんだった。扉を開けたらいきなりの修羅場で忘れてた。
とりあえず奥のカウンターに行けばいいのかな?
私はとりあえず3つあるうちの右側のカウンターに行った。
「あの、すいません冒険者登録をしたいんですけど」
「いらっしゃい、冒険者登録をしたいのね少し書いて欲しい書類があるんだけどいいかな?」
「はい、大丈夫です。それと、さっきあの男の人と男の子が何か言い合いしてた見たいですけど、聞いてもいいですか?」
私はカウンターにいるお姉さんに何があったか聞いてみた。
「ええ、いいわよ。少し話すと長くなるからこの書類を書きながら聞いてね。書きたくないところとかあったら書かなくていいからね。そうだ、代筆は必要?」
「わかりました。あと、代筆は大丈夫です」
「わかったわ。それじゃ話すわね。20分前くらいかな、男の子が来てガルムと言い合いになったのは」
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