第5話

私はスピリカさんに駆け寄り、スピリカさんを男から遠ざけた。




「スピリカさん大丈夫ですか?お怪我とかないですか?」




「み、美咲さん!?ええ大丈夫、助けてくれてありがとう。怪我はどこにもないから安心して」




 うん、よかった。怪我をしてたら大変だったよ。特にスピリカさんに絡んでたあの男が私に潰されてたね。




「だあっ!取れた!ちくしょうなんでスライムが飛んできやがるんだ?」




 おっと、スライムが取れたようだね。さーて、どうしてやろかうかな。




「おい!このスライムを投げたのはてめぇか?俺様にたてついたらどうなるかわかってんだろうなあ。ああ?」




 おっと、これは戦闘の予感。それに、多分あの男の部下っぽいのもやる気満々だね。


 よし、ここは1回懲らしめてもうスピリカさんに手を出せないようにしてやる。




「そうだけど何か?スピリカさんが嫌がってたのに手を出したあんたが悪いでしょ」




「女がいきがりやがって。泣いて謝ってもゆるしてやらねえからな。謝るなら今のうちだぜ。まあどのみち、謝ってもぼろぼろにしてやるけどなあ」




 うわぁゲスいてゆうか、ほんとにいたんだねテンプレなセリフいう人。




「いや、謝る気ないし。謝るのはそっちでしょ。まさか、自分のやってることカッコイイとか思ってるの?」




 うわぁ、ちょっと挑発しただけなのに顔真っ赤。こんな挑発に乗るなんて煽り耐性全然ないとか、お子ちゃまだね。




「そうかそうか、謝る気はねえか。もう許さねえぞ……。この場で俺様が直々に殺してやるよ。テメェらは手出すんじゃねえぞ!」




 うわ、背中にある剣に手をかけるとか、相当キレたみたいだね。


 ここはやるしかないかな。刀の方は使わなくていいかな。まだ試してないこととかあるし、素手でやろうかな。




「先制はあんたに上げるからかかってきなさいよ。その背中にある剣は飾りじゃないんでしょ」




「こいつ、さっきからいちいち気に障ること言いやがって。むかつくんだよ!お望み通り、そのへらず口たたっ斬ってやるよ!」




 よし来た、まず実験その1。避けるために足を強化して横にとぶ。




「オラ!」




 私が今までいたところに剣が振り下ろされたけど、私はそこにはいない。よし、実験その1は成功。


 次はその2。足を強化したまま腕を強化して、次にあの男がこっちに剣を降ったら腕を狙ってみよう。




「チッ、外したか。だが次はぶった斬ってやらあ!」




 よし、さあ来い。殴り返すだけだけどね。




「デヤァッ!」




 攻撃が単調すぎて避けるのがめちゃくちゃ楽。


 はいきた!ここで腕を殴る!




「ハッ!」




「痛ってええええええええっ!」




 おう、思ったより加減が聞かなくて腕の骨折っちゃった。


 すごい叫んでるけど腕の骨、一本折れたぐらいでうるさいなあ、もう。




「警官さんこっちです!早く早く!女の子が襲われてるんですって!」




 うん?誰かが警官を呼んできたのかな?


 てか、もうファンタジーはどこに行ったのやら。




「さっきの叫び声はどう考えても男の声でしょ。そんなに急がなくても大丈夫ですって」




 警官の方かな?めちゃくちゃやる気なさそうなんだけど。警官とかみんなあんな感じじゃないよね。あの人だけだよね。ちょっと心配になってきた。




「け、警官か?た、助けてくれ!早くしないとこの女に殺されちまう!」




 いやいや、殺したりしないから。


 てか、この男さっき殺してやるって言ってたのに、腕の骨折られただけでこれって……。


 そういえば、スピリカさんはどこかな?あのギャーギャー騒いでる男の部下とかに捕まってないよね?


 あ、大丈夫みたいだね。よかった。でも、その不思議なものを見るような目で私を見ないで。




「あのー、あなたが襲われてた女性ですか?」




 あれ?いつの間に私に近づいたの警官さん?




「いえ、私じゃなくてあっちの彼女です。私は彼女を助けただけですよ」




「あー、スピリカさんですか。彼女はいつもこの街に初めて来たゴロツキに絡まれるんですよ」




 スピリカさんは絡まれ体質なのかな?


 でも、スピリカさんはかわいいし仕方ないよね。




「おい、警官!俺を早く助けろ!腕の骨が折れて痛てえんだよ!早く救急車を呼べ!」




 あーもう!うるさいなこの男。もう、静かにさせよう。




「あなたは、先程からうるさいですね。救急車は呼んでおきますから、少し眠っててください。それでは、失礼しますね。ほっ」




 私が男を静かにさせるよりも早く警官さんが、男を静かにさせた。


 それにしても、鮮やかに静かにさせたなー。




「さて、救急車は呼んでおきますかね。それでは自分はこれで失礼しますね」




 そう言うと、警官さんはホテルから出ていった。


 いやー、不思議な人だったなー。見た目とか喋り方はやる気なさそうなんだけど、あれは達人レベルの実力者だね。私があったことのある人に雰囲気が似てたし、あの男を静かにさせる時の技は鮮やかだった。普通の警官の人達ではできないね。




 それよりも、スピリカさんこれからも絡まれそうだよね。どうしようかな?今までも絡まれたみたいなことを警官さんが言ってたけどいつまた絡まれるかわからないしなー。


 そうだ!スライムを置いていこう。スライムにスピリカさんを護衛させれば安全だよね。




「スピリカさん本当に大丈夫ですか?あの男の部下とかになにかされてませんか?」




「あ、美咲さん。大丈夫ですよ。美咲さんは以外と心配性なんですね」




 うん、よかった。スピリカさんは笑顔だね。


 そうだね、やっぱりこの笑顔を守りたい。




「スピリカさん、相談があるんですけどいいですか?」




「はい、いいですよ。料理のことですか?」




 料理?あー、昨日言ってたねそんなこと。




「いえ、料理のことじゃないんですけどね。スピリカさんがよく絡まれるって、さっき来た警官さんが言ってて、そこで私いい考えがあるんですよ」




「さっき来てた警官さん?あー、ジンクさんのことね。それで、いい考えって何ですか?」




「さっき、私が投げたスライムいるじゃないですか」




「ええ、いましたね。そのスライムって、どこから出したんですか?」




 やば、スライム連れてきたこと秘密だった!


 スピリカさんの雰囲気が少しピリピリしてきた。




「え、えーっと。リュックから出しました……」




「はぁ、美咲さんこれからはちゃんと言ってくださいね。それでそのスライムがどうかしたんですか?」




「はい、これから気をつけます。それでですね、そのスライムをですねスピリカさんの護衛にしたらどうかなって思って」




「スライムがわたしの護衛ですか?でも、スライムって初級冒険者でも倒せる魔物ですよね?」




 冒険者って初級とかあるんだ。ところどころ抜けてるなあ、あの説明書。




「でも、安心してください。うちのスライム頭いいので。それと、私のカバン知りませんか」




「はあ、美咲さんがそう言うなら信じてみますね。あとカバンですか?そういえばさっきあそこら辺にあったような……」




 あそこら辺って……。あぁ!私のリュックがぁあああ!




「あのぉ、さっきあの男の人の剣があったてたような気がするんですけど……」




 あの男許さん!あっ説明書とスマホ!説明書とスマホは生き残っていてほしい!


 よかったー。説明書とスマホは無事みたいで一安心だよ。


 あー、でもリュックが壊れたせいで入れるものがなくなっちゃった。うーん、先に冒険者ギルドに行く前にカバンとかを先に買おう。




「スピリカさん、この近くにカバンとか売ってないですかね?」




「カバンですか?そうですね、ホテルを出て左側に進むと噴水ごある広場があるんですけど、広場の近くにビンガヌスってゆうお店があるんですけどそこがいいですよ」




「ビンガヌスですね。ありがとうございます。それじゃ、今から行ってきます。スライムは置いていくのでちゃんと護衛にしてくださいね。それじゃあスライムくん、スピリカさんをちゃんと守るんだよ」




そう言うとスライムは分かったようでプルプル震えた。


さて、ビンガヌスに行きますか。

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