第3話

ニューベルトさんに電話をかけてから2時間。私はやっと山を下りれた。




 山を下りている途中、色々と見つけた。


 例えば、キバが普通の倍より太くて長いイノシシとか、額に角が2本生えたウサギだとか他にもいっぱい見かけたけど、全部私を見ると一瞬止まってから、すごい勢いで逃げてた。ファンタジーものの定番だとゴブリンがいたけど私を見て他の動物?と同じようにゴブリンも逃げてたなー。




 唯一私を見て逃げずに挑んできたのが、スライムだけ。それもホラー系のドロドロじゃなくて、饅頭みたいな形のかわいい系のスライム。これは捕まえないとと、思って捕まえたけどね。反省も後悔もしていません。それでそのスライムだけど、今は私に懐いて腕の中で落ち着いてるけどね。




 まあ、そんなことがあってやっと私は山を下りれた。


 山を下りてまず目についたのが街道。それもファンタジーぽくないコンクリートで出来た街道。


 てか、街道って言うより道路だよこれ。だって真ん中に右と左を分ける線が引いてあるんだもん。




 まあ、道路のことは置いといて今の時刻は午後4時半。


 この世界では街が外壁で覆われていて、設置された門からしか出入り出来ない。それに門が閉まるのが午後6時。不老不死になった私は疲れを感じない、要するにこの道路を走って行けば街に到着する。あとは、時間の問題だけど、そこは心配無用。だって死んで不老不死になる前は、高校で陸上部だったし足には自信がある。何も心配することは無い。


 よーし、ここから街まで走るぞー。エイエイオー。
















 あの山からずっと走り続けてやっと街についた。


 今の時刻は午後6時前。ギリギリ門が閉まる前についた。


 門の前には少し列があったけど、手の指で数えられるくらいだから、なんとか街には入れると思うけど、入れなかったら野宿するしかない。でも、私は野宿をするための道具がないからなんとかして入りたい。




 そうして、入れるかどうか悩んでいると、私の番が来た。




「やあ、お嬢さん。お嬢さん1人で歩いてこの街へ来たのかな?」




「はい、1人ですよ。私はこれでも腕っ節には自信があるので、この街に冒険者登録しに来たんです」




「そうか、お嬢さんは腕っ節には自信があるのか。それでも、冒険者になるには気おつけろよ。冒険はそんなに甘くないからな。それで、この街にはどれくらい滞在するつもりだい?」




「2週間くらいは滞在しようと思ってます。あと、よかったら、いい宿を教えてくれると助かるんですけど……」




「そうか、2週間か。それなら思い出の都ってゆうホテルがいいな。あそこは飯も美味いし、部屋に風呂が付いてるからな、かなり快適だと思うぞ。ああ、それと身分証出してくれるか?」




「身分証ですか、少し待ってください、今カバンから出しますから……。はい、身分証です。思い出の都ですか。どこらへんにあるんですか?」




「思い出の都はこの門を入って真っ直ぐ進むと左側に思い出の都って看板が出てるからそれを見るといい。ああそれと、思い出の都の右隣が冒険者ギルドから思い出の都に行ってチェックインしてからギルドに行くといい。はい、身分証は返すよ。それと、ようこそギルムンブルグヘ」




 やっと街に入れたー。やっと食事ができるよー。


 そうそう、スライムだけど今はリュックの中にいます。もし門番の人に倒されたら嫌だから、門につく前にリュックの中に避難させました。それに、冒険者登録のくだりは説明書に、街に行ってどこかに住むなら冒険者になった方がいいって書いてあったからだし、そもそも説明書に冒険者のことが載ってた時点で冒険者には興味があったから、どっちみち冒険者にはなろうと思ってたからいいんだけどね。




 さて、門番の人が言ってた通りに先にホテルに行こうかな。ギルドは……うん、明日でいっか。


 えーっと、たしかこの道を真っ直ぐ進んで左側にあるんだっけ?あれ?でも私この世界の文字読めるのかな?でも、さっき門番の人と普通に話せてたから大丈夫かな。


 よーしそれじゃ、レッツゴー!!
















 はあもうね、私ほんとに違う世界に来たんだよね。全然そんな感じがしないんだけど。どこを見てもビルばっか。ところどころ普通の家があったけど、普通の家ってゆうか洋風の家ばっかりだった。


 まあ、キョロキョロしながら寄り道せずに門からずっと真っ直ぐ歩いて10分で、ホテル『思い出の都』が見えてきた。


 なんかすごい立派なんですけど看板が。看板以外はどこにでもあるビルとおんなじくらいだけど、中はどうなってんだろ。


 さーて、中に入って見ますか




 おお、まさかの自動ドアだ。まあ、今更驚かないんだけどね。




「いらっしゃいませ!!お一人様ですか?」




 私が中に入ると元気な女の子の声が聞こえた。


 声が聞こえた方を見ると12,3歳の子がこちらを見て笑顔で笑っていた。


 何この子!お人形さんみたいでめちゃくちゃ可愛いんだけど。




「うん、1人だけど部屋空いてるかな?」




 私はニヤニヤをこらえながら聞いた。




「はい!大丈夫です!それでは身分証を出してください」




 うん、この子結構しっかりしてる。この世界の子はみんな、こんなにしっかりしているのかな?




「はい、身分証。君結構しっかりしてるね。何歳なの?」




「ありがとうございます。わたしの歳ですか?今年で13歳になります!」




「へー、13歳かぁ。私が13歳の頃なんて全然何も親の手伝いとかしてないから、君は偉いね。


 あっ、そうだ。君お名前は?」




「スピリカって言います。お姉さんの名前なんて言うんですか?」




「そっか、スピリカちゃんって言うんだね。可愛い名前だね。私は雨音 美咲って言うんだ。美咲でいいよ」




「分かりました。美咲お姉さんですね。身分証お返しします。あとこれ、部屋の鍵です。お部屋は503号室です。夕食ですけど、食堂に行けばもう食べれますけど、どうしますか?」




「うーん、夕食って部屋に持ってきてもらうことって出来るかな?」




 私は食べなくてもいいんだけど、スライムがいるし、スライムを食堂に連れていったら騒ぎになるから連れて行けないんだよね。




「分かりました。それでは先にお部屋で待っててください。すぐに夕食を持っていきます」




「ごめんね、忙しそうな時に頼んじゃって」




「大丈夫です!これもお仕事の1つなので」




 そう言うとスピリカちゃんは食堂へ向かっていった。




 さて、私も部屋に行ってスピリカちゃんを待ちますかね。それに、そろそろスライムを出してあげないとね。
















 えっと、503、503……あ、あったあった。異世界初のホテル。雨音 美咲行きます。


 よいしょ。……おー、すごいこんなに綺麗な部屋初めて見た。多分あっちの世界でもここまですごいホテルはないんじゃないかな。ベッドもフカフカだし、部屋もなんかすごく明るいし。まぁ、あっちにいた頃に、そんなすごいホテルに行ったことないけどね。




 それよりも、はやくスライムを出してあげないとね。


 スライムっスライムっ出ておいでーっと。


 私がスライムを出そうとした時、コンコンッと、部屋の扉をノックする音が聞こえた。




「美咲お姉さん、夕食をお持ちしました」




 スピリカちゃんが夕食を持って来てくれました。私が部屋に来てそんなに時間が経ってないのに持ってくるのが早いな。素晴らしいと思います。




「はーい、今開けるからちょっと待ってね」




 私はそう言うと部屋の扉を開けた。


 扉を開けるとスピリカちゃんが夕食をお盆に乗っけて持っていた。




「お待たせしました。美咲お姉さん、夕食を置きたいのでお部屋に入れさせてもらってもいいですか?」




「うん。はいどうぞ」




「失礼します。よいしょっと。美咲お姉さん、食べ終わったらこのベルを押してください。


 わたしが食器を取りに来ますので、ノックしたら開けてください」




「うん、分かったよ。わー美味しそう」




「それじゃ、ごゆっくりおくつろぎ下さい。失礼します」




 そう言うとスピリカちゃんは部屋を出ていった。


 それじゃ、ちゃんとスライムをリュックから出して、ご飯にしますか。

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