第2話だけど、だけど、やっぱり陰キャには無理だよう......
ちょっとドキドキするなか、タップ。さぁ、本当に暁月さんの奇妙なおど....じゃなかった、魔法には効果があるのだろうか、期待しながら回転1回目。
画面いっぱいに魔方陣が現れ、中央にこのゲームの語り部、女神シータが召喚の祈りを捧げる演出がでる。いよいよだ。
「あ、武器だ。R青の魔法ステッキ。」
「みゃーちゃん、まだ1回目だよ。」
大丈夫大丈夫。まだ9回残って、あ、金色に画面が輝く!
テーレーレー、ファーファファー!BGMがいつもと違う。魔方陣が金色になった。
「まさか、いや金色エフェクトはまだSR以上確定ってだけ、あ。」
出て来たのは確かにSSRキャラだが、お目当ての賢者ルルナじゃなかった。
聖騎士ラインハルト。これも超超激レアだけど。
「まだまだ大丈夫まだ行けるよ、みゃーちゃん!」
暁月さんは、私よりテンション高いかも。
「なんか面倒臭いから、スキップしよ、スキップ!はよはよ!」
画面右上のスキップ表示を指さす暁月さん、押せばSSR以外では画面にエフェクトは出ない。
「う、うん。じ、じゃあ、お願い!どうか来て!」
スキップをタップすると......。
5回転目に、また画面が、いや、今度は虹色に輝く!
「来た?!」
「10連1回で金の次に虹エフェクトはなかなかない、よみゃーちゃん!」
魔方陣の中央に現れたのは.......。
「純白のローブに金の髪飾り!やった!来たよ!本当に来ちゃったよ!ありがとう暁月さん!」
「うそ?!マジか!」
私は思わず暁月さんの顔を見た。
「えっ?暁月さん、今なんて?」
「いや~。ははは、さっすが私!私がちょっと本気だせば、まぁ、当然なんだけどね!良かったね、宮沢さん!」
突然本名の宮沢で呼ぶ暁月さん。そう、私のあだ名がみゃーなのも、名字が宮沢で、下の名前が雅(みやび)だからだ。
ともかく、これでお目当てを引き当てる事が出来た!本当に良かったと思う。
キーンコーンカーンコーン......。
「あ、休み時間終わる。戻らないと。」
「そだね。急ご、みゃーちゃん。あ、次の授業で終わりだから、その後彼に話しかけてみようよ。」
「う、そ、それは......」
「どうしたの?」
「いきなりは無理だよ......」
暁月さんは、ため息を少しつく。
「ふう......せっかくルルナ引き当てたのに、それじゃあ意味ないじゃん。それに拾ったストラップ返すんでしょ?」
もっともな意見だけど、だけど....。
「だけど、だけど、やっぱり陰キャの私には無理だよう.......」
「....仕方ない。じゃあみゃーちゃん、クオンタムサーガのフレンドになろ!それとマイフレのID教えてよ。ね!」
マイフレとは、10代に人気の無料通話アプリだ。
「いいの?」
暁月さんは笑顔で答える。
「もちろん!それから、私の事はねむで良いからさ。ね。」
私も笑顔になって応えた。
「うん!ありがとう暁月さん!」
「ほらほら、暁月さんじゃなくて。」
「あ、うん!ありがとね、ねむちゃん!」
「よろしい!このねむさんに任せなさ~い!」
「ちな、私のキャラは魔法使いで、名前はフイオだから。みゃーちゃんは?」
「私は魔法騎士だよ。名前はまんま、みゃーなんだけど。」
「OKOK。じゃあ急ご!」
その後授業も終わり、私はねむちゃんと一緒に帰った。なんだか思ったより話しやすいなって所が、素直な感想だ。
「それじゃあ、私はここで、今日はありがとう、あか...ねむちゃん。」
「ふふっ、まだ慣(な)れが必要だね。うん、また明日ね。これからゲーム入る?」
「そうだな~。7時くらいから入ると思う。マイフレ送るね。」
「分かった。じゃあね。」
手を振りながら離れた。
そして帰宅。なんか疲れが一気にでて、ベッドに倒れ込み、なんだかスヤスヤと寝てしまった。
「あ、寝ちゃった?!今何時って、はぁ、良かった。まだ7時じゃなかった。
時間は6時48分。
そからストラップを見つめる。今時ゲームキャラのストラップって。でもどうしょう。
そう言いながら、私はねむちゃんと約束した通り、マイフレからメッセージを送る。
すると速攻で返信が来た。
「みゃーちゃん待ってたよ~(❁´ω`❁)じゃあ早速、クオンタムサーガ入りますか。今インするから、ロビーで待っててね!」
「あ、そうだ!ジーナさん紹介しないと。」
私は思い出した事があって、ねむちゃんに伝えた。
「ねむちゃん、私の仲間のジーナさん紹介するから、宜しくね。」
「あ、仲間居たんだ!Σ(•'ω'• ۶)۶」
「そりゃいます!1人だけど......」
「ゴメンゴメン、了解!どんな人?」
「社会人で、女性だよ。優しい人だから大丈夫だよ。」
「りょ!じゃあロビーでね(ฅ^ω^ฅ)♪」
私もクオンタムサーガを開く。
ゲームを始めて、プレーヤーキャラの集まるに行く。
ゲームの世界でも私は気が弱く、最初に
話しかけてくれた、私より少し年上の女性ジーナさんしか仲間が居なかった。
何か奇跡でも起きない限り、私が彼と仲良くなれる可能性は無いかもしれない。
そう、私はいつの間にか好きになっていたのだった。
ちなみに、私のプレーヤーキャラは魔法騎士だ。
このゲームは自分が編成したキャラを二人まで連れて行ける。
ガチャを回してSSRキャラを引けば、かなり攻略は楽になるのだ。
たかがゲームと思ったけど。
ロビーに入る。ここは様々なキャラクターに扮(ふん)したプレイヤーが集まる場所。
ここで装備を整えたり、情報収集や交換、更に仲間を集めたりする。
プレイヤーキャラクターの頭上に名前が表示されるから、間違える事はないけど、ねむちゃんどこだろ?あ、ジーナさんにコール送らないと。
(ジーナさん、今インしてますか?紹介したい友達がいるんです。)
「これでヨシッと。」
「見つけた~。反対側にいるとはね。宜しくみゃーちゃん。」
「うん。宜しくね。」
すると後ろから呼び掛けられた。
「今晩はみゃーちゃん。その子がお友達?」
「あ、ジーナさん。はい。フイオちゃんです。学校のクラスメイトなんですよ。」
それから私は、ジーナさんにねむちゃんと暫くロビーで話し込む。
「へー、それで悩んでるんだ。みゃーちゃんがね~。」
「からかわないで下さいよ。真剣なんですよ!」
喋っている顔が想像出来そうな声で、ねむちゃんも話す。
「聞いてくださいよジーナさん、みゃーちゃん声かけるの無理だって言うんですよ!」
「そっかー。でも仲良くなりたいんだよね?」
「はい.........」
「じゃあ、勇気を出して行ってみよ~!」
「それが出来たらジーナさんにも相談していません!奇跡でも起きない限り、私なんて、他のクラスメイトと違って、いつまでも1人ですよ......」
「あらあら、重症だね~。まぁ、私はそこら辺高校時代はすぐ彼氏が出来たから、苦労って良く解らなくてさ。あ、ごめんねミャーちゃん。」
「はぁ......」
落ち込む私に、ジーナさんが話しかける。
「じめじめしてないで、クエスト行こうよ、ね。」
「うん。」
「あ、みゃーちゃん、私レア装備欲しくて、行きたいクエスト有るんだけど、良いかな?」
「フイオちゃんの職業は魔法使いだから、暗がりの森かな?」
「そう!お願いだよ。私のレベルじゃキツくてさ。ジーナさんもみゃーちゃんも、レベル40超えてるけど私まだ23で、あそこの推奨レベル30以上だし、お願い!」
「良いんじゃない?親睦(しんぼく)を深めると言う事で。」
「ジーナさんがそう言うなら。分かったよ。行こうフイオちゃん。」
「やた!ありがとう~!」
私達はクエスト受付で暗がりの森、ポイズンドラゴン討伐クエストを選択、暗がりの森へ向けてロビーにある異界ゲートのを潜(くぐ)った。
入った事ないダンジョンだけど、回復と状態異常治癒の万能薬も沢山あるし、大丈夫だと思う。
ねむちゃんはとっても元気だ。
「よーし、いざしゅっぱーつ!」
「ふふ、フィオちゃん可愛いね。」
「ジーナさん頼りにしてます。」
こうして私達3人は、暗がりの森へと向かうのだった。
つづく。
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