第41話 やたら恐縮する
「うう、ごめんね…ごめん…大丈夫…?
あぁ、気絶してる…そうだよね…」
フェルナンドは、3体まとめて倒れている飛竜達に駆け寄り、そっと抱き上げた。
彼は研究員に、小さなドラゴン達を怖々と手渡す。
「あっあの、打ち据えたりしてすみません…大事な研究対象なのに…許可をもらったとはいえやっぱり…」
どうしようもなく申し訳なさそうに、ヘコヘコと恐縮している、この戦士…。
「剣の尖った部分は当ててないので、多分怪我とかはさせてないと思うんですけど…念の為ちょっと確認してもらって…ほんと申し訳…」
さっき一瞬見せたあの気迫はどこへやら。
「あっ、ああ…ありがとうございます…」
研究員は、ただ呆然と飛竜を受け取った。
バティスタが、息をついた。
「フェリィ…お前って奴は。
また腕を上げたな」
「そ、そうかな」
石の剣を腰に戻す、フェルナンド。
「ああ、そうだとも。
お前みたいな剣術は他に類を見ない」
「あっ、本当?何か嬉しいな、そういうの」
「そうだな。
しかしお前のは、他にいないだけじゃなく、強くて優しい」
バティスタは太い腕を組む。
「…お前ほどの剣士…この聖国家エルドロット中を探しても、おれは会ったことがない。
…お前はやっぱり、聖騎士団なんかには収まらない、凄い奴なんだな…」
いや、今の聖騎士団の副団長としてな。
バティスタはそう付け加えて、笑った。
──────違う。
フェルナンドには、分かっている。
聖騎士団の、組織の意志なんかじゃない。
バティスタ自身が、フェルナンドを聖騎士にしたことを、後悔している────。
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