第2章 何か危なそうな依頼のケルベロスを倒そう

第5話 ケルベロス討伐へ

「はあ…ケルベロスですか。

久々に見ますね、この魔物…」


「そうだろ、フェルナンド?

いや、俺もそう思ってさぁ」

ギルドマスターは、依頼書の右下を指し示す。

依頼についての詳細事項が記載されている。

「しかもなかなか良い個体らしくてな。

西の森の泉で、周辺一帯を牛耳ってしまってるらしい」


「ええ…あの辺でしか採れない薬草とかありますよね?

ちょっと困るなぁ、そういうの…」

「だろ?

で、各所から依頼が来てるんだが…もう2組、パーティーが討伐に失敗しててな」

「えっ」


フェルナンドが青ざめる。


「マスターさん…それ本当にウチで良いんですか…?」

「いや、むしろ満を持してお前のとこに…。

お前のとこ蘇生持ちがいるだろ?軽業師だけど」

「ええ…まぁ軽業師ですけど…

よく頑張ってくれてますよ…本当」


マスターはカウンターにひじをつく。

フェルナンドをまっすぐに見据えた。

「受けてくれるか、フェルナンド?」


「そ、そうですね…

うん…受けます。よろしくお願いします」


頼まれると断れないのが、フェルナンドだ。


マスターは、微妙にひどい押しつけ方をしている自覚はあったものの─────

まあ一応、フェルナンドのパーティーならできるという確信を持ってもいた。



フェルナンドは依頼書に受領のサインをする。


報酬は金貨40枚との記載がある。

ケルベロス1匹に、40枚…。


金貨40枚といえば、ひと月余裕で生活して、貯金まで充分できる額だ。

まあ、フェルナンドのパーティーは4人なので、4で割って、一人あたり金貨10枚。

それだって、贅沢しなければ、ひと月の食費雑費くらいは賄えてしまう。


ケルベロス1匹の駆除なんて、相場は金貨15枚かそこらだろう。

これはかなりおいしい仕事に思える。

それだけ危険であることの裏返しだ。


サインをする手に、少しだけ力がこもる。

今回も、皆をしっかり守らないと────。


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