第6話 蘇生への適性
「ケルベロスー?」
弓使いモナモナが、つまらなそうに舌打ちした。
「こんなのボクの弓で心臓バーンしたら終わりじゃん!歯ごたえなさそー」
魔法使いクラリッサ、軽業師ジェスターは…
「…」
「…」
訝しげに、依頼書を眺めている。
「え、ごめん…
クラリッサとジェスターは、この依頼嫌だった…?」
「う、ううん…でも…」
訊くフェルナンドに、クラリッサが顔を上げる。
「ケルベロス1頭相手にしては…やけに報酬が高いなって…
危ない仕事なんじゃないかな、多分…」
ジェスターが真剣な目でうなずく。
「だーから!ボクがいるから大丈夫!
二人ともボクのコト信用してないの?!」
モナモナが声を荒げた。
「信用してるけど…
でも、モナモナにもしものことがあったらって思うと、僕…」
クラリッサは既に泣き出しそうだ。
「ジェスターが蘇生してくれるけど、簡単じゃないんだよ…?
フェルナンドは特別早く体が戻るけど、普通はこうはいかないんだから…」
そう。
蘇生するのもされるのも、なかなか大変なのである。
蘇生魔法には、色々な部分で個人差が大きく出る。
まず、この魔法を使うには強力な適性が必要だ。適合者は少ない。
そして蘇生されるにも適性がある。適性が低いと、蘇生してもダメージを引きずってしまう。
フェルナンドは、蘇生される適性がずば抜けて高い人物なのだ。
下手くそな蘇生魔法でも、あっという間に100パーセントのパフォーマンスを取り戻す。
「ハハッ…人身御供の聖戦士、なんていう二つ名も、なかなかうまいこと言ったもんだよな」
「フェリィさぁ、そのばちくそダサい二つ名ドヤるのやめてくんない?」
モナモナに一蹴されるフェルナンド。
ジェスターは…完全に引いている…。
「ま、まあ、とにかく…。
モナモナは、私が守るから。
もちろん、クラリッサと、ジェスターも」
クラリッサがまぶたをぬぐって、うなずいた。
ジェスターの眼差しも和らぐ。これは同意だろう。多分。
「うん…皆、よろしく頼むよ。
じゃ、明日朝10時にここで」
視線を交わしあう。
4つの意志が、ひとつになった。
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