第4話 人身御供の聖戦士

空色の長髪を揺らし、ギルドのエントランスを歩く、フェルナンド。


彼は周りの傭兵達から口々に声をかけられている。


「お疲れー」

「また死んだんだって?」

「マジか笑う」

「ドM?」

「やばない?」

「てか体大丈夫?」


…彼は、

「あはは、そうなんですよ…ハハ」

困ったように、笑って…。



ギルドマスターである俺自身も、彼のことは面白いと思ってしまっている。


仕事のたびにおとり役を買い、死に、蘇生させられる戦士、フェルナンド…。


いつしか“人身御供の聖戦士”なんていう不名誉な二つ名までついた。


どう考えても情けない奴。

自分の弱みを丸出しにして─────


いや、むしろそこが彼の強みなのかも。

俺はそう思う。



さて─────俺はフェルナンド向けの依頼を選定する手を休めない。


次は…これにしようか。

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