テンプレ55 「勇者パーティ ハンター」
シグナルは悪寒を感じ、すぐにフェデックに向かって固有魔法を発動させた。
「
シグナルの固有魔法は周囲の風の動きを読み、その流れの動きで相手の位置や行動を探知するというものだった。
「空気を読ませたらオレの右に出るものはいないぜ! 女の子のハートすら容易く射抜けるんだ! あんた1人くらい速攻で倒させてもらうぜ! 喰らえッ!」
シグナルが放った矢は見当違いの方向へ放たれる。
「なるほど。一見デタラメに放ったようですが跳弾狙いですね」
フェデックはシグナルの計算しつくされた動きを先に予見し、その場から少しだけ動く。
そして、そのすぐあとに、壁に跳ね返った矢がフェデックが先ほどまでいた位置に突き刺さる。
「チッ! ならこれはどうだッ!」
3本の矢を構え、同時に放とうと弦を引く。
「ボクはここ最近勇者ロボを作ろうと試行錯誤しつつヤマトさんと魔王の戦いをドローンで観戦しました。その結果作り出した試作品がこちら!」
フェデックは拳銃の先端に人の拳のような機械が装着された機械を取り出す。
「何もさせんッ!」
すぐさまシグナルはまとめて矢を放つ。
「3本の矢からなる跳弾! いかなる人物さえ避けられない! たとえ勇者だったとしてもなッ!」
迫り来る矢にフェデックは不敵な笑みを浮かべる。
「ボクが辿りついた勇者の真の価値。それは強者にも関わらず、比較的まともな精神持つこと。そして、どんな理不尽にも立ち向かう力。そう! つまりッ!!」
フェデックが引き金を引くと、拳が開かれ手刀を作る。
その速度は凄まじく、風が巻き起こり、矢は制御を失う。
「これが勇者の力! ツッコミです!!」
「…………はっ?」
シグナルはあまりに変な答えに素っ頓狂な声を上げる。
「いや~、苦労しました。昔の勇者になくて、今の勇者にあるべきものを攻撃に加えようと思ったんですけど、なかなか思いつかなくて。ですがヤマトさんを見て閃きました! それがこのツッコミです。本来ならボイスもつけたかったのですが、もろもろの諸事情で出来ませんでした」
「そんなダサい攻撃で、オレの矢が、負けるかっ!」
「え~! 最近はコメディ系のロボも増えてますし、ボク的には有りだと思ったんですけど、ダメですか。では、本命の方を行きますよ!」
フェデックは引き金を引くと、手刀はしっかりとしたソードへと変わり、黄金の輝きを見せる。
それと同時に周囲に氷が張り巡らされる。同室にいるシグナルの体にも氷がまとわり付き動きを阻害する。
「だが、すでに矢は放たれた」
矢は真っ直ぐにフェデックへと向かうが、それも飛行する鉄の盾に阻まれた。
「なん……だと……」
「ヤマトさんの超光速移動には及びませんが、冷気による行動阻害と盾ドローンによる攻撃無効化で再現してみました。あっ、ついでにこの2つの効果は腕の盾に付属でつく機構ですので、ご購入の際には両方をお買い求めになられることをオススメしますよ。さて、それじゃあ、宣伝も終わりましたし」
フェデックが黄金の剣を振るうと、マジックアームが伸び、離れた位置からでも正確にシグナルを捉える。
「あ、この相手との距離を測ってアームを伸ばすのはドローンとの連動です、こちらの機能を使いたければ、ドローンも合わせて購入してくださいッ!!」
バァーンッ!! と派手な音を立てて、シグナルを屠った。
「死、死んだのか?」
今まで守られるように後ろに控えていた村長のゴブリンは、戦いの決着が着いたと見ると、身を乗り出し、訪ねた。
「いえいえ必殺技名を叫んでいないので、もちろん峰打ちですよ! それで村長さん、今回の商品はどうですか?」
村長のゴブリンは2つ返事で購入を決めた。
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