第1話老人と駄女神

ーーーー駄女神カリスの家ーーーー


「部屋汚っ!かたせよ!」


『いっ忙しいんです!今日はたまたまです!』


駄女神の家は汚かった。ゴミ屋敷レベルだった。


「役立つアイテムは何処だ?タンスの中か?」


タンスをゴソゴソと漁るとくまちゃんパンツが出てきた。それを無造作に放り投げる。


「このタンスは駄女神の下着入れか、おっ地図かこれ?おー街や村全部書いてあるじゃん、4つ青い点があるな何だこれ?」


『下着を投げないでー!』


駄女神が何か言ってるが、探すのが面倒くさくなってきた。


「(空遁収納!)よし部屋が綺麗になった」


駄女神の家には家具の一つすらなくなっていた。


『えっ!?ちょっ!?何で!?』


収納術を使うと頭の中に収納リストが何故か現れる。


燃えるゴミ×100

燃えないゴミ×50

洋服×500

靴×300


「外にゴミ出してやるから、居るもんあるなら後でどうにかしろよ」


駄女神の家の横に窓からゴミを出す。


「洋服と靴はタンスとか一緒に返しとくか、使い道無いし残ったのは多分アイテムかな?」


女神ポーション

・効果飲んだら不治の病や状態異常や部位欠損まで回復する。無限に無くなることはない


女神マップ

・勇者の現在地と街や村がわかる


女神ソーマ

・死後30分以内なら復活できる


女神の証

・女神である証明


ゴットローブ

・形態変化、自分がイメージした服に変わる、全属性耐性、着ている間は状態異常無効


「んー僕武器が欲しいんだけど武器無いの?デュランダルとかエクスカリバーとかさ」


『ヘーパイストスさんじゃないから持ってませんよ!あっ後女神マップと女神の証だけは返して貰えませんか?それ再発行きかなくて・・へへ』


「やだ。武器持ってきてよーそのヘーパイストスさんから貰ってきてそしたら交換してあげるよ」


『いやそれはちょっと・・』


「じゃ証は破り捨ててから燃やすね、それでいいね?」


『わっかりましたー!行ってきまーす!』


ドタバタと駄女神が走り出す。


「とりあえずゴットローブだけ着るか、忍び装束にチェーンジ!」


パッと黒づくめの忍び装束に変わる


「チェーンジ村人!」


パッと村人に変わる


「面白い物見つけたわー」


外からドゴーンと言う、爆音が響き渡る


「うるさっ!何だろ?駄女神がやらかしたかな?」


『小僧がワシの武器を寄越せと言っているガキか?ワシがヘーパイストス、鍛治の神と知っての言葉か?』


「うん」


ニヤリと笑い一気に間合いを詰めてくるゴツいハンマーを持ったヘーパイストスを躱す。


『やるな小僧。ワシの攻撃を躱すだけでもたいしたもんだ!』


言いながらデカイハンマーを振り回し、デカイハンマーをぶつけようとしてくるヘーパイストスに対し


(雷遁、雷大蛇!)


雷の大蛇がヘーパイストスを襲う。身体に巻きつき電撃を流しまくる。ガガガガガガガガガと言う悲鳴があがる、あっという間に黒こげ老人の完成である。


「駄女神これはどう言う事かな?何でこの人襲ってきたの?」


『ひっ!あっあの、武器を拝借しようとしたらバレて武器を寄越せって言われたからって説明したらヘーパイストスさんが突撃して行ったんです!私は悪くありません!』


(雷遁雷大蛇)


「やはり駄女神お前のせいか!喰らえ!」


ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


黒こげ女神の誕生である。


「でも困ったなー。危険な老人と駄女神には効いてもモンスターに効くかわからないからなあ。武器無いかなあ、あのハンマーは使えないし、どうしよっかなー」


悩んでいると黒こげ老人が起き上がる



『小僧凄いな、ワシ感動して痺れたわい』


それは雷で感電しただけです。


『武器が欲しいんだって?どんな武器だ?』


「壊れない、何でも斬れる刀!後手裏剣とクナイ!鎖鎌も欲しい!」


『手裏剣?クナイ?、鎖鎌と刀は何となくわかるがの』


「待って!絵に描くから、忍者が使っていた道具を全部!」


凄い勢いで地面に絵を描いていく、あらゆる忍びを知っている龍だから出来る技。


『こりゃ凄いな。良しこのバックをやろう、このバックはワシの家と繋がっている出来た物から入れていってやる。無くなったらワシが補充する。念の為これらの道具は小僧以外使えない様にするが良いか?』


「もちろん!作ってくれるだけでもありがたいし、他人には触らせない!」


『愉快な小僧だ!気に入った、武器が欲しいんだろ?とりあえずこの剣を持っておけデュランダルじゃ埃を被るより小僧に使われた方が剣も喜ぶだろ』


「神剣デュランダル、不滅の刃、世界を護りたいと言う願いの力だっけ?」


『良く知ってるな、むかーしに魔王が出た時に渡した勇者の小僧が魔王を倒した後に返却してきたもんよ』


「立派な剣をありがとうございます!よーし異世界冒険楽しむか!」


『小僧召喚された勇者なのか?』


「うん、僕は勇者じゃないし巻き込まれただけだけどね」


『巻き込まれたってはっはっは神をぶちのめせるなら勇者より強いだろ』


背中をバンバンと叩きながら大笑いするヘーパイストス


『ワシの加護をやろう、ワシの加護があれば鍛治のスキルを覚えやすくなる、それと防御力と攻撃力のステータスが上がりやすくなるぞ!』


「駄女神とは違うんですね!ありがとうございます!」


『駄女神?カリスか?カリスの加護はワシ何かより『おはようございます!私復活しました!武器も貰いましたよね?じゃあ異世界にべべべべ』


駄女神の口を掴む


「いきなり五月蝿い、ヘーパイストスさんと話してるだろ」


『ぐうう!私の加護10倍にしちゃいますからね!』


「いやいらない、何かろくなことにならなそうだから」


『ざんねーんもうあげちゃいましたー!!私の使徒として生きてくださーい!』


「ヘーパイストスさん下界にはどうやって行けば良いんですか?何か駄女神がやろうとしても出来なかったみたいなんで」


『あっ女神の証と女神マップ返してください!武器もらえましたよね!』


「五月蝿いな。女神の証はラーメンか何かの汁ついてて汚かったから家に置いてきたよ、臭かったし。」


『カルス、御主ホルス様に知れたらまた尻を叩かれるぞ』


「尻叩かれてるんですか?」


『そうだ、ホルス様は偉い人だからな。カルスは少しお転婆なの処と間抜けだからな。』


「想像できますね」


『とりあえず下界に行く方法だったか?ワシが送ってやろう、希望する場所はあるか?』


「死の国から一番遠くて、勇者達とは違う大陸がいいなあ」


『ならワシを信仰しているガラントが良いだろうな、カルスの信仰地域だと直ぐに勇者に出くわすだろうからな』


「ありがとうございます!鍛治スキルの勉強も出来そうで楽しみです!」


『ワシの古い鍛治道具と素材も分けてやる、魔石炉があれば使えるようにな、では行くぞ!』


ガシッと龍の頭を掴む


「え?」


『下界に直行便じゃ!カルスが出来ないならこの方法が手っ取り早い』


「は?」


『ワシと話したければ神殿に来て祈りを捧げてくれでわ!そおい!!』


「ぎゃあああああああ!!!」


ブンッとぶん投げられる瞬間駄女神がニヤリと笑っていたのが目に入る



「クッソおおお!!神様なんてきらいだああ駄女神おぼえてああああああああああああああ!!」




ーーーーーー空中ーーーーーー


(これ着地失敗したら死ぬんじゃない?やばいよね?助かるのかな?助からないよね?風遁で何とか衝撃を逃さないと!!)


龍は落ちて行く、ドンドン加速しながら。


風が強過ぎて目を開けるどころか身体も動かせない。


(ヘーパイストスさん力強過ぎだろ!ハンマーで殴られてたら死んでたぞ!)


だんだんと地面ざ近づいて行く


(異世界転生したら空中から投げ出されて死にましたとか、ひどすぎるうう)


地面に近付きぶつかる瞬間、大きな光が龍を包む。


「ふえ?何が起きたんだろ?」


地面がクレーターの様に凹んでいる。


「ヘーパイストスさんが助けてくれたんだなきっと!ありがとう!ヘーパイストスさん!駄女神は死んでくれ!」


「クレーターの深さが衝撃を物語るってか」


「なんじゃ婆さん!この穴が!」


「おーい誰かいるのかー?」


声が穴の上からする。とりあえず穴を登る前に声をかけてみる。


「すいませーん!穴の中にいまーす、今から出ますねー!」


(チェーンジ冒険者モード!)


デュランダルを腰に帯刀し、この世界の冒険者風の格好をする。


「とうっ!」


格好つけて穴の壁面を走り地上に出る。


「「ひえー!!」」


いきなり人が飛び出して来た事に怯える老人達


「驚かせてごめんなさい、僕冒険者やってて、巨大な穴が開いてるのを見つけて調べていたんです」


「あっあんたがやったんじゃないのか?」


「一冒険者の僕にはできませんよ、ははは」


神がやったとも言えず、自分がやったと言えば悪目立ちする。笑ってお茶を濁すしかなかった。


「畑がめちゃくちゃじゃああああ」


穴は何とご老人の方々の畑に直撃していたのだった。

老人はorzみたいな体勢で穴を見ている。


「穴塞ぎましょうか?」


「出来るのか!嘘なら舌引っこ抜いて脳天カチ割るぞ!」


「ひっ出来ます!出来ますから!鍬を構えないで!」


鍬を構え殺気を飛ばしてくる老人2名。へーパイストスさんより怖かった。小便がちょっと漏れた。


「土遁、隆起の術!」


土遁を使い穴が開いた場所をせり上げ平にする。


「風遁、風操りの術!」


風遁で地面を耕して


「土遁、大地活性!」


仕上げに大地を活性かさせ、土を元気な状態にする。


「何か植える種はありますか?」


唖然とした顔をしながら種を差し出す老人


「ありがとうございます、風遁、そよ風種まきの術!さらにおまけで木遁、植物活性の術!」


種を蒔き、種を発芽させる。


「水遁、散水の術!」


水遁で畑に水を撒く


「こんな感じで大丈夫ですかね?」


「かっかっかッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッ」


「か?」


「「神様じゃー!!!」」


と言い残し凄いスピードで走り去ってしまった。


「ちがーう!」


龍の叫びは畑に木霊したが老人には届かなかった。

老人に神様呼ばわりされ、畑に放置される。

畑の端の井戸を覗き込むと枯れる寸前だった。


「水遁、水脈探知!」


すると井戸から離れた場所に水脈を発見する。


「土遁、井戸掘りの術!」


水脈まで一気に掘る。


「木遁、壁張り!」


木遁で井戸の周りを隙間なく木で固める


「良しこれで井戸の基礎はできたかな?滑車とかはあの枯れた井戸の奴を使おう」


老人達が居ないことを良い事に枯れた井戸の滑車や屋根を解体し、自分で作った井戸につける。


「ポンプ式のだったらもっと楽だけど、まだ鍛治スキル持ってないから、これで我慢して貰おう」


「井戸が破壊されているうううう」


「いや水脈こっちだったからこっちに作りました」


「井戸があるううううううう」


こうして僕はこの村の畑と井戸掘りが仕事になった。

村の周りの木を厚くしてモンスターが入りにくくしたり、それはもう働いた。

飯と宿の為に。


「半日も経たず村興しをしてしまうとは、神様は凄いですな!」


「いや僕は忍者だから!神様じゃなくて!忍者!忍者ね!」


「忍者教を作りましょう!貴方が神?」


「そう僕が新世界の神だって・・神じゃなーい!!」

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