第41話 最終選択地点へ
そして、次の日。結局、里奈と一緒に学校をズル休みした後は、俺は何事もなかったかのように家に帰った。
無論、学校からは連絡があって、親からズル休みしたことについては怒られたが。
それでも、なんとなく自分の中では何かが吹っ切れたというか、スッキリした気がする。
だからこそ、いよいよ自分の気持ちを留奈に伝えなければならない……そう決心ができていた。
俺は朝登校する時から、もし、里奈か留奈に会ったらどうしようかと悩んでいた。
実際会う可能性はあったわけなので、なるべくその時の対応も考えていた。だが、幸いか不幸か、里奈にも留奈にも会うことはなかった。
結局、学校に行ってもまるで授業には集中できなかった。まぁ、元々授業にもそこまで集中しているわけでもないが。
しかし、今までは帰宅時のことなど、まるで考えていなかったのだが、今日ほど、帰りのことを考えることはなかった。それもこれも、里奈と留奈のおかげで、彼女達のせいでもある。
結局、今日、もし彼女たちのどちらかと会っても良いように様々なことに考えを巡らせていた。だが、結局、どうするかを決定することはできなかった。
なので、ほぼノープランのまま駅についてしまったのだった。
……そういえば、結局、あの小説はどうなったのだろうか。俺は駅の待合のベンチでそんなことを考えていた。
俺が失くした双子の女神の小説……結局、主人公はどちらを選んだのだろう。もし、それがわかったとしても、何か参考になるわけでもないが、なんとなく気になったのである。
「……俺が選ぼうとしているのは……どっちの女神なのかな」
自分でも少し恥ずかしくなるような言葉を、一人呟いてしまった。女神……いや、女神ではないと思うが、こんな俺の前に突然現れた幼い頃の知り合いである双子は、色々な意味で俺の生活に影響を与え、それが変化した。
そして、今日、俺は一つの選択をする……それは、まるで、突然どちらかの女神と結婚しなければならなくなったあの小説の主人公と同じような境遇……のような気がしたのである。
と、電車がやってきたので、俺は立ち上がる。扉が開き、中に入る。
電車の中には……双子のどちらもいなかった。いや、確かに電車の中で待っているというのも少しおかしな話である。俺がいつ帰るかなんて明確に彼女達はわからないだろうし。
そうなると……待っている場所はただ一つ。
「……終点駅のベンチ」
いつか、留奈がそうしていたように、きっとベンチ座っているはずである。その座っているのがどちらかというのが問題なのだが。
俺は電車に揺られていた。その間何も考えず、ただ終点に着くのをひたすら待った。
窓の外の景色が過ぎていく。そして、終点にたどり着いたというアナウンスが鳴った。
電車がゆっくりと止まり、扉が開く。俺は立ち上がり、そのままホームに降り立つ。
「あ」
思わず声が漏れてしまった。確かに俺の想像通り、ベンチには制服姿の女の子が座っていた。
ただ、遠くからでもわかるのはその女の子が……黒髪のショートカットだったということである。
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