高校生である斎賀友樹は、女児と交流していたところを他者に発見される。それを病気と断じられた彼は深い迷いの中、同じように「本来満たされてはならない“好き”なもの」を抱えた人々の元へ導かれるのだった。
セクシャル等々の“マイノリティ”をテーマに据えたお話です。難しい題材をまっすぐ書ききった筆と志はもちろんですけど特に、ここで描かれた「自分と向き合う」ことの深度の凄絶さにご注目いただきたく!
人間って、自分の穢れからは目を逸らして生きていくものです。でもマイノリティである彼らは、自分の“好き”が他者にとって穢れであることを知っています。だからこそ、同じものを抱えた人と寄り添わずにいられませんし、向き合わずにいられないんですよ。
そしてその中で、友樹くんは寄り添って向き合うことの意味と、そこから踏み出すべき先があることに気づくんです。実はこのお話、変化球に見えてなによりまっすぐな青春ものなんですよね。
日常に迷っている方も迷っておられた方も、ぜひご一読を。
(「聞こえますか、このメッセージ」4選/文=髙橋 剛)