Night of slaves(12)
一般的な二階建ての一軒家。
いつもなら2人しかいないこの家に5人は以外に丁度いいというか、これまでが広すぎたのだろう。
未だに眠っている楠 メアリは1階の寝室に。何かを言いたげな楠 アメリは1階のソファーに腰掛けお茶を催促してくる。こいつだいぶタフだ。
エルフさんは目をキラキラさせながらテレビ鑑賞。魅夜はアメリの隣に腰掛けている。
これが友人同士ならなんてない日常の一コマに過ぎないんだけど、さっきまで殺し合いしてたんだよなあ〜
「テメェ、これ出涸らしだろ。ぶざけんな」
僕が淹れた茶をすするとジト目を向けてくる。
「いーや、お前にはこれで充分だ。むしろ淹れてもらえるだけありがたいと思え」
アメリの斜め前に腰掛けて僕も茶をすする。魅夜に目を向けると、うとうとして今にも眠ってしまいそうだ。
「魅夜、眠いなら眠っていいんだぞ?今日は疲れたでしょ?」
「......ぅん」
魅夜は目をこすって立ち上がりリビングを出た。それを見送って僕もお茶をすする。
しかし、なんだ。なにを話せばいいのかわからない。エルフさんはなんだかツーンとしてるし、連れてきたいと言った張本人は寝てしまったし、どげんしろと。
視線を彷徨わせているとアメリと目が合う。
「......テメェ、何者だよ」
「何者って言われてもなあ、一般人だけど」
探るような目つきで僕の全身を舐めるように見てくる。
随分、唐突な質問だ。
「そういうこと言ってんじゃねえから。腹ぶち抜いてやったのになんで生きてんだよ。普通なら即死だぞ」
しかし、その腹をぶち抜いた相手によくそんなことを平然と話せるものだ。
こいつにはデリカシーとかその他諸々足りてない気がする。
「それは魅夜のおかげだよ。血を吸ってもらって血を与えてもらったんだよ」
そのときの光景が脳裏に蘇る。首筋に牙を立てられて血を吸われるというめちゃくちゃ貴重な経験をした。
......ちょっと良かった。何がとまでは言わないが。
「じゃあテメェはもう
「違うよ。血を与えてもらう量を調節して眷属になる一歩手前で止めてもらったんだ。だから明日の朝には普通の人間に戻ってるよ」
「へぇ」と呟くと遠い目をしながらまた茶をすする。
「随分、理性の強い吸血鬼もいたもんだな。いっそ哀れだ。流石に同情する」
「え、それってどういう––––––」
「はーくん、もうそろそろ休んだ方がいいよ。今こうして話す体力があるのも吸血鬼の恩恵のおかげなんだから」
どういうこと?と聞こうとしたところで、エルフさんからごもっともなご意見を頂いた。
普通に体は未だに激痛に苛まれている。エルフ先生によると2.3日は安静にとのことだ。魔法すげー。
「それじゃあ先に休ませてもらいますね。何かあったら遠慮なく起こしてもらって構いませんから」
そう言って立ち上がると足元がフラつくのをエルフさんに支えてもらい、1人になるアメリに対して、「逃げるなよ?」と釘をさしていた。
エルフさん警戒心マックスである。
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