STAND BY ME(6)
自室のベッドの上、仰向けに寝ながらぼーっとしている。
(恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。)
結局あの後、何も言い返せないまま部室を飛び出してしまった。
朝はあんなにはっきり歩く人たちや電車で乗り降りする人の顔が見えていたのに、帰りなんてどうやって帰ってきたのかさえ碌に覚えていやしない。
––––––図星だった。
勝手にどうにかしようなんて、エルフさんを助けられるのは自分だけなんじゃないかとか、思い上がって暴走した。
見事に見透かされた僕の浅はかさは色香さんの言葉によって打ち砕かれた。
家に帰ってきて真っ先に
目を閉じてエルフさんからの拒絶や色香さんからの事実を告げる言葉が何度も何度も脳内を駆け巡っては自分に嫌気がさす。
けれど、
それがエルフさんの抱えているものと一致しているかといえばそれはわからないけれど、それを知りたいと思うのは傲慢なのだろうか。
※※※
昼休み。
教室の外、手すりにもたれかかりながらコバヤシと2人。小雨が降る景色を眺めている。
「なーんか最近ぼーっとしてるよな。はせやん大丈夫か?」
相変わらずイケメンなコバヤシ。いつもは隠れている片目も少し露出していて、よりイケメンであることを認識する。
「あーまあ、ね。大丈夫だよ。大丈夫ということにしないといけないというか。」
何も出来ないなら何もしなければいい。下手に踏み込んで傷つけてしまうよりそっとしておこう。という結論に辿り着いた。
コバヤシから目線をまた外に向けると雨がしとしと地面を濡らしている。コンクリートの色が変わっていく。雨脚が強くなってきた。
その雨の先、向かい側の校舎の一階の片隅の図書室が目に入る。
「あれって......」
僕の視線をコバヤシが追う。
「あー、図書室だな。うちの学園の図書室ってすげーらしいぜ?
なんでも理事長が読書家というか古本の収集に凝ってて、その趣味が学園にも反映されてるらしい。冊数もえげつないって話だ。
今なんて電子書籍が中心なんだからもっとオレ達に金使って欲しいよな〜」
コバヤシはやれやれと肩を竦める。
「僕、ちょっと行ってくるよ」
「え、もう昼休み終わっちまうぜ?」
「ごめん!先生に上手く言っておいて!」
伝えたのと同時に体が動いた。サボる気満々である。
これまで欠席も遅刻もないし、授業1回休んだくらいでなにも言われないだろう。
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