転校生と文芸部(2)

 コバヤシと雑談しながら教室に到着すると、やけに教室内は騒がしい。


「聞いたか?転校生の話」「やっべえよ!さっき職員室で–––」「マジで?!本物?!」

「金髪...尊い」「頑張って勉強してきて良かった!この学園にきて良かった!」


 クラスメイトがそれぞれ顔を突き合わせながら、興奮しきった様子で盛り上がっている。


 仲の良い同士もそうでない人達も関係なしに情報交換しているのは、このクラスに限っていえばかなり珍しい。


 この学園は県内屈指の進学校で、いずれは弁護士、医者、政治家を目指すものも多い。


 それ故か勉学に重きを置き、話題は進学する予定の大学やニュースの話だったりするので人間関係は希薄といえた。


「職員室がどうとか聞こえたんだけどどうしたんだろ。コバヤシは何か知ってる?」


 コバヤシは首を捻って「わからん」と一言だけ言うと、クラスメイトの女子のもとへ情報収集に向かった。


 ここで男子に聞かないあたりコバヤシクオリティである。


 僕も誘ってよ......


 しばらく経ってホームルームが近づくと各々自分の席に着き始める。先生が教室に着く前にしっかり授業の準備も進めているあたり流石、進学校といったところか。


 そのタイミングでコバヤシは僕の元へやってきた。動揺と興奮が入り混じった表情。やや興奮のほうが強いだろうか鼻がヒクヒクしている。


「おい!やっばいよマジで!これが本当なら俺たち最高のタイミングで入学したよ!ぅおおおおおおおおおおおおっ!」


 クラスメイトは一息ついてるところなのでやや興奮するタイミングとしてはズレているがそれだけ一大事なのだろう。


 コバヤシがこんなにテンション高いなんて珍しいなあ。


「それでどうだったの?てか大丈夫?仮面剥がれちゃってるけど...」


 コバヤシはクラス内で、というか学年内ではイケメンクールキャラ(自称)で通っているらしいので叫ぶなんて余程のことだ。


「––––るふ」


「はい?」


「森野エルフが転校してくるんだよ!!3年のクラスに今日!これから!」


 ん?


 んんん?


 んんんんんんんんんんんん?!?!


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