第13話 金縛り

金縛りにあったことが人生で二回だけある。


ある日、夢の中で一枚の写真を拾った。写真はクラスのみんなが写っていた。

拾った場所は菩提寺に面した友人の家へと向かう道だった。道の向こうに暮石が並ぶ。親戚同士ということもあり、その友人宅にはよく行っていた。


ふと顔を上げると遠くの方に髪の長い女の人がいる。

女の人がどんどん近づいてくる。

後ろを向いたまま。

長い髪が揺れる。

右に。

左に。

そして気付いた。

女の人は首から下がなかった。

女の首は後ろを向いたまま近づいてきた。

女の首が目の前まで来てゆっくりと回る。


まずいまずいまずい!

頭の中で警報のようにそんな言葉が鳴り響いたが、体が全く動かない。


女の顔がこっちを向いて、にたり、と笑った。

そして口を開いて耳をつんざくような悲鳴をあげた。


そのまま耳鳴りで目が覚めた。その耳鳴りが続く間中金縛りにあって体が動かなかった。

一回だけなら怖い夢を見て偶然金縛りにあった、で終わる。


けれども二回目の金縛りの時にもまったく同じ夢を見たのだ。

それも日にちが近いならまだわかるが、一回目と二回目の間は三年空いていた。そして二回目の時、女の顔に対して「何処かで見たような気がする」と感じたのだ。


一体どこで見たのだろう。

そして、金縛りはもう訪れないのだろうか。

否、またあの女はやってくる。

そんな気がしている。


◇◇◇◇


「つかれてるから金縛りってなるんですよね。」

「そうね、つかれてるのかもね。あのね、その人なんとなく……、」


その先の言葉を飲み込んであきちゃんをじっと見つめる。

あきちゃんが首をかしげると、はらり、と長いストレートの髪が右に流れた。

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