第8夜 それは少し苦かったけれども

興奮の覚めない夜

わたしは眠れなかった


身体は鉛のように重くても、綿をたくさんつめたかのように軽い胸



そっと明日への希望がこぼれた

舌の上で転がしたそれは苦かったけれど、たしかに味がした

充足の風味が



胸の綿が飛んでしまうまえに目を閉じよう

苦味を忘れるまえに目を閉じよう




今日のわたしを忘れる前に


目を閉じよう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る