あとがき

 この度は、拙作「ゆりせんせいは猫耳サイテー勇者を教育します!」を完結までお読み下さりありがとうございました。

 この小説は私にとって初めての作品で、拙い点も多く、同時に学びと情熱の深い作品となりました。皆様にも少しでも刺さるものがあったなら幸いです。

 以下は各キャラのちょっとした裏話などです。



【ゆり】

 彼女が何故魔力を持っていたのか、癒しの力を秘めていたのかは、エピローグの最後で明かされた通りです。

 ゆりは女神サーイーそのものではなく、その魂の欠片を宿した存在にすぎません。作中では明らかにしていませんが、そもそもこの世界にやって来る召し人は皆、多かれ少なかれ女神サーイーの魂の欠片をを持った存在です。なので過去にはサーイーの魂を持つオッサンも……いたでしょうねきっと。

 そんなサーイーの魂の欠片を持つ人間が、勇者オスティウスの生まれ変わりと同じ時代に生まれ、しかも女で、彼と出会った。これは運命と言えるのではないでしょうか。

 エピローグのサブタイトル「Happily ever after」は、童話の〆によく使われる「いつまでも幸せに暮らしましたとさ。」というニュアンスの定型文です。幸せに暮らせよ……!



【ナオト】

 一見チャラい男が、その実孤独を内に秘め、本当の愛を求めている。完全に作者の性癖です。本当にありがとうございました。

 メインルートでは無事ゆりと結ばれた彼ですが、アラスタールート、エメルートでは彼は二度とゆりと会えないまま、孤独に旅を続けます。そしていつか風の噂で、彼女が別の男と結ばれたことを知るでしょう。もちろん、彼女との思い出が残るモルリッツの街に戻ることは二度とありませんでした。しかし、旅の途中で数々の偉業を成し遂げて“紅い勇者”と謳われるようになる未来だけは不変です。


 物語の終盤に「勇者」の職を辞した彼ですが、本来勇者とは職業や立場を表すものでなく、その業績に対して与えられる称号です。彼は勇者の名を捨てることで、後に真の勇者となりました。

 “赤い悪魔”→“紅い勇者”、この変遷が最高にエモエモのエモなんだってばよ。



【アラスター】

 皆さんお気付きでしょうか。エメルートの彼が、ある意味この作品で一番不幸なことに……。

 職を辞してまで会いに行ったのに、「また明日来る」と言って翌日来てみたら家はもぬけの殻!!……本当に可哀想なことをしました。すまない。

 そんな一見損な役回りの多い彼ですが、ゆりは彼を男性として意識していたと思います。ナオトと出会う順番が逆だったなら、ゆりは彼と結ばれていたかもしれません。というか、もしゆりがアラスターと先に出会っていたならば、貴族モードでスマートに口説かれてみるみるうちにエンディング、おそらく全十話くらいで完結していたと思われます。それくらい、本来の彼はスペックの高い男なのです。


 アラスタールートの最終話のサブタイトルでもあり、彼の最後の台詞でもある「My fair lady」は、第九十一話、彼がゆりにフラれた時に最後に口にした「Yes, your highness.」と対になっています。

 your highness は、騎士が身分の高い女性に忠誠を誓う言葉。つまり彼は男としてではなく騎士として彼女を支えると決意したのですね。それに対し my fair lady は、私の美しい人、といったニュアンスで、女性に対する敬意は含みながらももっと近しい間柄を表現しています。この対比がエモエモのエモなんだってばよ。



【エメ(シオン)】

 作者が知る限りでは、三人のメインキャラの中でもエメが一番人気があったように思います。彼がセクハラをしでかす回は何故かいつもの倍ブクマが増えました。また、シオンとなったエメがあまりに健気だったので彼を不幸な結末にするのがどうしても気が引けて……。そのため、アラスタールートでもメインルートでも、ある意味彼が一番美味しいポジションに収まっています。

 なおメインルートでは、「閃光」を辞めていますがカシェから狙われるようなことはありません。モルリッツに留まったことで、「閃光」から容易に監視できるからです。教会に害を為すようなことをすれば消されるかもしれませんが、普通にのんびり冒険者をやる分には命まで狙われることもないでしょう。アラスタールートでは、ゆり達の前から消えてミストラルで合流するまでの数年間で、密かにケリをつけたのだと推測しています。


 if.ルートでは「閃光のエメ」が「雷光のシオン」になる。この変遷がエモエモのエモなんだってばよ。サブタイトルの「Glory bringer」は「栄光をもたらす者」的な意味。最高に中二で気に入っています。

 ちなみに、シオン(紫苑)の花言葉は「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」。これがエモエモの(略)。



【関連作品について】

 このカクヨム版「ゆりせんせい~」では制約が多くて書けなかった各ヒーローとのアレコレ(えちえちなやつ)を、小説家になろうの姉妹サイトである「ムーンライトノベルズ」におまけ的に掲載しております。

 アダルトサイトのためアドレス等は貼れませんが、ご興味のある18歳以上の紳士淑女の皆様は、当該サイトにて自己責任で「ゆりせんせいは溺愛獣人男子に教育されます!」というタイトルで検索していただければと思います。

また、創作仲間として仲良くしてくださっている由希様が、ご自分の作品のキャラと「ゆりせんせい~」のナオト&ゆりが共演するコラボ小説を連載してくださっています。詳細は朱風の活動報告をご覧下さい。(私も今後の展開を知らないので楽しみです!)



 その他カクヨムでの新作は現代ファンタジー恋愛を企画しております。11月中には連載を開始したいなあと思っておりますので、興味のある方は是非カクヨム内で私、朱風をフォローするか、Twitterをフォローしていただければと思います。

(※追記 2019.12.13より、「あやかしカフェ甘露絵巻~名無しの君にガトーショコラを~」の連載を開始しました!蛇のあやかしと幼馴染の陰陽師に溺愛される恋愛ファンタジーです!)

「ゆりせんせい~」と同じ世界観の作品の構想もありますので時間ができたらぽつぽつ書くかもしれません。

 次回作もどうぞよろしくお願いします!



 2019.11.09 朱風

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