第30話  セレーネとルナちゃんの歓迎パーティーがとり行われていた

 姫川家・別邸。


 薔薇ばらえん


 セレーネとルナちゃんの歓迎パーティーがとり行われていた。


「住むところを提供してくださっただけでなく。

 わたくしたちのためにこんな盛大なパーティーを開いていただきありがとうございます。

 ヴィーナス」


 蒼色のセパレートドレスを着たセレーネが姫川さんに感謝の気持ちを伝える。


 セレーネは、姫川さんのことをヴィーナスと呼び。


 姉と同じドレス姿のルナちゃんは、アプロディーテと呼んでいる。


「……ムニャムニャ……もう食べられないよ……」


「喜んでくれたなら、私も嬉しいわ。

 妹さんは眠ってしまったみたいね」


 真っ赤なパーティードレスに身を包んだ姫川さんが優しくルナちゃんの頭を撫でる。


「ええ。

 疲れが溜まっていたのか? 

 お腹いっぱいになるとすぐに眠ってしまいました」


「なんて可愛らしい寝顔なのかしら。

 まるで天使みたいね。

 ダイスケくんもそう思うでしょう」


 真っ白なパーティードレス姿の彩妹ちゃんが訊ねてきたので、俺は満面の笑みを浮かべて。


「ああ。

 そうだな。

 とても幻想的な笑顔だな」


「主さまも女の子を連れ込むのが好きですね」


「王子さまは、女たらしですからね」


「おい、聞こえてるぞ。

 誰が女たらしだ。

 俺はそんなふしだらな人間じゃないぞ」


 漆黒のパーティードレスをまとった跳姫姉妹にツッコミを入れる。


「ほんとうに王子さまは素直じゃないんだから。

 ハーレムが作りたいなら、そうおっしゃってくだされば、妾たちも全力でサポートしますのに」


「そうだよ、主さま。

 みんなが幸せになれる道があるなら、そっちを選択した方がいいに決まってるもんね」


「その件はまた後で話し合うとして。

 セレーネって、ハーフエルフなんだよね。

 だったら『魔法』とか、行使できるのかな」


「ええ、できますよ。

 風の精霊・シルフと契約を結んでいますから。

 お見せしましょうか」


「はい。お願いします」


「では、いきますね」


 セレーネは下から右手を突き上げるのと同時に「めくれろ!?」と叫び声を上げる。


「「「「きゃあああ」」」」


 凄まじい風が吹き荒れ、スカートをめくりあげる。


 俺の視界にはお花畑がひろがった。


 姫川さんが穿いていたのは純白のパンツ。


 彩妹ちゃんは真紅のパンツ。


 跳姫姉妹は漆黒のパンツだ。


「なんてえっちぃ魔法なのよ。

 想像していたのと全然違うわ」


 そう叫び声をあげたのは彩妹ちゃんだった。

 顔を真っ赤に染めて、スカートの前を必死になって押さえている。


「すいません。

 事前に説明しておくべきでしたね。

 わたくしは、その……エッチな魔法しか、使えないんです。

 そのことが原因で、エルフの里を追放されちゃうくらいの落ちこぼれなんです」


「なんか、ごめん……そんな辛い過去があったのに、俺が軽はずみなーーーーーー」


「旦那さまが気にすることじゃないですから」


「ちょっとびっくりしただけで、別にセレーネさんのことを嫌いになったわけではありませんから。

 そんなに落ち込まないでください」


 姫川さんは慈愛に満ちた声でセレーネに語りかけた。


「ええ、理沙さまのおっしゃる通りですよ。

 妾たちはぜんぜん気にしてませんから。

 王子さまが妾たちにする変態行為に比べたら、カワイイモノですよ」


「他にはどんなことができるの?

 セレーネお姉ちゃんの魔法もっと見たいな」


 ありさちゃんとみちるちゃんもセレーネと仲良くなりたいみたいだな。


「そうですね。

 他には姿を消すことができます」


「すごいすごい。

 これは凄い魔法よ。

 完全に気配を消しているもの。


「ええ、隠密行動に役立つわね」


 みちるちゃんが歓喜の声をあげ、姫川さんも頷く。


「透明人間とか、思春期男子の憧れじゃないか」


 どこか清々しい気分になって、俺も笑みを浮かべた。


「そして王子さまは、まったくブレないわね」


「当たり前だろう。

 俺はえっちぃことが大好きなんだよ」


 俺たちは意識を失うまでバカ騒ぎをした。


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