第31話 今日は待ちに待った『プール授業』だ。

 屋内プール。


 自由時間。


 今日は待ちに待った『プール授業』だ。


 おしゃれな内装で、見るからに豪華絢爛。 


 プールサイドで準備体操を終えた姫川理沙は、スタート位置につく。


 全部で八レーンあり、コースの長さは25メートル。


 第4レーンの飛び込み台からの完璧なスタート。


 キレイな水しぶきを上げ、水中での加速が凄まじく。


 人魚姫と見間違えるほど可憐で、白魚みたいな細く長い腕が水中から跳ね上がり、筋肉質でスラリとした長い脚が水を蹴る。


 女らしい丸みを持ちながら引き締まったお尻、くびれたウエスト。


 贅肉のない滑らかな背中を水が流れ、理沙のカラダはしなやかに前進する。


 呼吸する時すら変顔にならない。


 クロールで泳ぐ彼女の姿は美しく、優雅ですらあった。


 人魚のように見事なフォームで、プールの端にタッチして、姫川さんが水中から上がる。


 紺色のスクール水着は、姫川さんにとても似合っていた。


 水着に包まれているにも関わらず、姫川さんが歩くたびにタプンたぷんと、弾むように大きく揺れる胸を、至近距離から眺める。


 その麗しいカラダを水滴が流れ落ちてゆく様は、艶めかしくすらあり、きゃあと女子生徒から黄色い声援が上がり。


 もちろん、男子もメロメロになっていた。


 誰にも気づかれないように、そっと両手をお尻に回し。


 チラリと辺り回してから、こっそり指先を水着とお尻の隙間に入れ、食い込みを直す瞬間も、この目でしっかり目撃した。


 しっかりとした肉付きながらも垂れておらず、ぐいっと全体に持ち上がっている完璧なお尻を……。


「お疲れ様です」


 女子Aが理沙にタオルを渡す。


「ありがとうねぇ」


 タオルで髪を拭く姿も絵になるな。


「冷たくてキモチいいわぁ。

 やっぱり夏はプールよね」


 プールの方からありさちゃんの話し声が聞こえてきた。


 もちろん、スクール水着を着用している。

 

「教室で授業を受けているだけでも、汗だくになっちゃうほど、暑いものねぇ。

 愛理沙お姉ちゃん」


「ホントホント!? 

 暑い日が続いているもんね。

 プールの授業最高だわあ」


 二人の会話に相槌を打つ彩妹ちゃん。 


 やっぱり水泳の授業は最高だな。


 ほんとうにこの学校に入学できて良かった、と思える瞬間だった。


 眼福、眼福……。


「ねぇ、露璃村くん。

 私の泳ぎどうだった」 


 姫川さんは頬を赤く染め上目遣いで聞いてきた。


「うん。とっても綺麗なクーロルだったよ。

 足の動かし方とか、手の運びとか。

 ちゃんと基礎ができていて、とにかくフォームが綺麗だったよ」


「ありがとう。

 でもちゃんと決着をつけたいから、私と勝負しなさい」


「なら発泡スチロールの上を渡るという競技で、決着をつけるか」


「やらないわよ。

 神村君の魂胆なってお見通しなんだから」


「でもこれは男の夢なんだよ。

 おねがい」


 俺は両手を合わせて頼み込む。


「わかったわよ。付き合ってあげるわ。ただし一回だけだからね」


「ありがとう、姫川さん」


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