◇SNS 印籠関門の後日談


ユー子:印籠関門に行ってきた。


ラン:マジ? ユー子ひとりで?


ユー子:ううん。三人で。


キョーコ:三人揃っての呼び出しだったからね。


ラン:そうなんだ? で、どう? やっぱりヤバイ?


キョーコ: うん、ヤバイ。めっちゃヤバイ。泣いちゃった。みんなも覚悟して行くように。


チカ:えーっ! ランちゃんどうする? 私も泣いちゃうかも。


ラン:チカ、二人で耐えよう。石よ。石になるの! どんな破壊ビームを浴びても壊れないように。


シズ:もしもーし。嘘はいけません。友達を怖がらせてどうするの? それに王子のお母さんにも失礼だよ。


チカ:えっ、嘘? どの辺りが嘘? 印籠だしヤバイんだよね?


キョーコ:ごめん、ごめん。王子のお母さんがめっちゃいい人で、全然ヤバくなかった。


ユー子:妹ちゃんもいい子だったよね。第一部はあっという間に終わって、第二部以降が長かった。けど凄く楽しかった。


ラン:なにその二部構成。やっぱりヤバイんじゃない。


キョーコ:二部構成じゃなくて三部構成だったよ。


チカ:ヒェー! そんな長丁場なの?


シズ:第二部はお料理教室で、第三部はお菓子作り。私はあまり役に立たなかったけど楽しかったね。


ミカ:今、なんの話?


ラン:印籠関門。ユー子たち、もう済んだんだって。


ミカ:おお。早速ですか。随分と早いね。


ひな:王子が旅行で家にいないからでしょ。確かにするならこのタイミングだよね。


ミカ:旅行って例の企画スキーの? あれって、ひなも誘われたんじゃなかった?


ひな:スキーには誘われてる。だけど、王子たち一行とは日程がズレてしまった。入れ替え的な感じに。


サキ:うわっ! そうなんだ。それだと甘くはないね。っていうか厳しげな予感。


ひな:うん。例のエルダーパートナーさんとの面通しだけど、気分的には印籠関門かも。


ミカ:印籠様とエルダーPって、どっちが怖いんだろう?


ひな:北条っちは、すっごく優しい人だから大丈夫だよって言ってた。でも、とてもじゃないけど信じられない。


ミカ:額面通りには受け取れないよね。彼氏とライバルとじゃ態度変わるのが普通。


ラン:ひな、頑張ろう! 私たちも頑張るから。


ひな:私も一緒に石になる訓練する。


ユー子:でも、私たちみたいに、案ずるより産むが易しかもよ?


ラン:そんなに楽だったの?


キョーコ:うん。さすがあの天然王子のママ。すっごく気さくであったかい女性だった。妹ちゃんも可愛いし。


チカ:それって都市伝説級の大当たり印籠なんじゃ……本当に存在するんだ?


ラン:裏山〜。それって金鉱を掘り当てたようなものだね。いいなぁ。


シズ:そうかも。最初はちょっと圧迫面接みたいなことも言われたけど、予想よりかなり軽いジャブで、これから本格化して何言われるのかって身構えてたら、終了宣言。


キョーコ:短かかったよね。ビックリした。


チカ:へぇ。そんなこともあるんだね。


ユー子:料理も教えてくれて、ここってところで褒めてくれるし、本当に素敵なお母さんだと思う。


キョーコ:ユー子はポイント稼いだよね。料理上手ってやっぱりいいわ。


シズ:そういうキョーちゃんも、会話が弾んでたじゃない。妹ちゃんにも懐かれてたし、性格的には一番合いそう。


キョーコ:だって結衣ちゃん、小ちゃいのにチャキチャキしてて、やたら可愛いんだもの。人懐こいし。あんな妹なら欲しいよ。


ミカ:そういえば、王子の妹さんって、今度高校に上がってくるんだよね?


シズ:そう。4月からよろしくお願いしますって言われちゃった。


ユー子:よろしくしちゃう。クッキング部に入るかもって言ってたから、もう引退しちゃったけど、オブザーバー的にたまには顔を出そうかな。それで一緒にプリンを作るんだ。


ひな:プリン? なんでプリン?


キョーコ:王子の好物だから。たぶん、妹ちゃんもそう。やたらプリン推しだった。


ひな:プリン好き兄妹か。なんか可愛いね。


ユー子:それが、結構本格的なプリンを目指しているみたいで「至福のプリン」を再現したいって言ってた。


ミカ:至福のプリン? 聞いたことないけど、どこの製菓会社の?


ユー子:さあ? 結衣ちゃんもその辺りに関しては曖昧で、情報収集中って言ってた。


シズ:ネットで検索しても、それっぽいのは出てこなかったから、少なくとも大手メーカーではなさそうだよね。


ミカ:ふぅん。知る人ぞ知るプリンなのかもね。食べてみたいな。



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