◇SNS 女の子たちの狂騒曲 前日


《2-A 連絡グループ》


ミカ:街プリみた?


ラン:見た。王子の目撃情報がまた上がってたね。


キョーコ:マジ? やだ、まだチェックしてない。


シズ:なんてなんて?


ミカ:ジュエリーショップに女連れでいたそうです。


ユー子:ひー。もうだめだ。きっとその子が本命だ。私なんて私なんて。


ミカ:まあまあ、落ち着いて落ち着いて。女連れといっても、たぶんそれ妹さんだから。


ユー子:妹さん? 本当に?


ラン:あっ、再起動した。


チカ:外見的な特徴は合致するよ。


ユー子:よ、良かった……じゃあ、まだ私にも見込みはあるってことだよね。


ミカ:うん、っていうか。ジュエリーショップでお買い物をしてるんだから、誰かは貰えるってことじゃん。


ユー子:そっか。そう思えばいいんだ。


サキ:はぁ。みんな余裕だね。私は自分のことでいっぱいいっぱい。


シズ:気になる。ジュエリーをいくつ買ったのかが。私にとってはそこが肝心。


ラン:そこまでは、さすがに書いてなかったと思うよ。


シズ:うーん。ユー子はたぶん確定でしょ? キョーちゃんもいけそうな気がする。切るとしたら、どう考えても私なんだよね。


キョーコ:ずいぶん自信ないね、シズらしくもない。


シズ:うん。やっぱり、出遅れたのがめっちゃ痛い。早めに相手を絞れなかったから、時間が全然足りなかった。


ラン:慎重さが裏目に出たってことか。でもまだ分からないよ。卒業旅行の時は、いい感じだったじゃん。


シズ:そうかな? そうだといいんだけど。


ひな:どうしたの?  みんな、しんみりして。


サキ:ひなはいいよね。確定だもんね。羨ましいけど、おめでとう!


ひな:えへっ。ありがとう。


ユー子:おめでとう! ひな。私もその幸運にあやかりたい。ペタペタ。


ひな:ユー子はマジでいけそうな気がする。上手くいくように祈ってるよ!


ユー子:ありがとう。これでちょっと運気が上がったかもしれない!


ラン:私にも祈って!


ひな:もちろんいいよ。ランが上手くいきますように、お祈り! そしてランとチカには情報もあげる。


チカ:情報? それっていいこと?


ひな:たぶん。そうなるんじゃないかな? 北条っちがポロッとこぼしたんだけど、上杉くんもジュエリーを買ってるみたい。それも複数。


ラン:本当に?


ひな:うん。上杉くんは既に婚約状態の子が三人いるじゃない? その三人が、新しい人が増えるなら、自分たちは指輪にグレードアップして! って言ってきたんだって。だから、上杉くん、今めっちゃ金欠だって話だった。


チカ:おー。希望が。ひな、お祈りお願い!


ひな:チカも上手くいきますように、お祈り!


チカ:ありがとう。上手くいくような気がしてきたよ。


サキ:みんないいな。私は不安でいっぱい。


ミカ:だよね。告白のときも、その後も、結城くんは全然反応が読めなかった。


サキ:「チョコありがとう」でお終いなんだもん。少しはこっちを意識してくれてるのかな? それすら不安。


ミカ:同じく。認識はしてくれているみたいだけど、結城くんに異性として意識されているっていう雰囲気は感じたことがない気がする。


サキ:だよねー。他の男子みたいな情報もないし。


ひな:他の男子か。そういえば、斎藤くんって全く話題に出ないけど、どうなの?


ラン:斎藤くんにアタックした子にチラッと聞いた話だと、無理っぽいって言ってた。


ひな:理由は?


ラン:奥さんが産後間もないし、育メンして助けてあげたいと思ってる。だから、他のことは今はできない的なことを言われたって。


ひな:そっか。それは、せっかくアタックしたのに残念だったね。


ラン:まあでも、その産後間もないっていう隙を、ダメ元ワンチャンで狙ったから仕方ないって言ってた。


サキ:斎藤くんらしい理由ではあるけど、女子側からしたら、厳しいねそれは。


ミカ:そういうのを聞くと、結城くんもサックリ断ってきそうな気がしてきた。


サキ:不安だよね、私たち。明日どうなるんだろう。


ひな:みんな上手くいきますように! 改めてお祈り!

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