◇SNS 04 もしかして天然

《2-A 連絡グループ》


ミカ: 王子まさかの未婚・婚約者ゼロ。


ユー子: よっしゃー! 婚姻枠空き12人。食い込む。どうにかして、そこに食い込んでやる。


シズ: ユー子、それ怖い。


ひな: 思ったんだけどさ、王子って、もしかして天然? あれ、計算じゃないよね。


ユー子: 天然。私の歴戦の勘が訴える。あれは無自覚天然王子。もう最高!


ミカ: ユー子、壊れるのは早いって。しっかし今日は、男子たちがいいアンケート仕事してくれたよね。


ラン: 萌えポイント? それとも事前登録?


ミカ: 両方。早速しておいた。バトフラの事前登録。今川くんも来るってよ。


ひな: 私もした。でも、今川くんは、来ても観賞用でしょ?


チカ: そりゃそうだけど、観賞用上等。美形は正義。


シズ: ユー子、すっかり元気になって。もう今川くんは吹っ切ったか。


ユー子: うん。王子のスマイル破壊光線で、一瞬でスイッチが切り替わった。


ラン: 分かる。今日のベストシーン。王子と斎藤君の微笑み合戦。


シズ: あれはキタわ。まるでボーイズ雑誌のグラビア。いやそれ以上かも。


ミカ: 斎藤くん、いい仕事した。王子ってさ、相手の笑顔につられて笑うんだね。


ひな: それ、私も思った。警戒心ゼロの笑顔の大盤振る舞い。無自覚振りまき系。


サキ: いやあ。A組でよかったわ。


ラン: 同感。そして、これからもずっとA組。イケメン勢揃い。ガチで頑張るわ。


ユー子: 王子が来たから、Aから落ちる気は毛頭ない。もう毎時間、ものすごい集中して真剣に授業聞いてる。


ミカ: 分かる。この男子戦力の強化っぷり。今回、マジ学校を見直した。


ひな: だよねー。転入初日に来なかったから、ビビリかと思ったら天然だし。


シズ: 王子、初日は本当に体調が悪かったのかもね。


チカ: 季節の変わり目だしね。転入っていうストレスもあったかもしれない。


キョーコ: うんうん。みんなで大事にしよう。そうすればきっと毎日学校で会える。


ユー子: 大事にする。しかし残念。王子の好みのタイプが結局よく分からなかった。


ひな: 一緒に食べ歩きができる人って言ってたよね。あれ、本当かなぁ?


ミカ: 食べ歩き……楽しそうだけど、間違いなく太るよね。


ユー子: お肌にもよくない。B級グルメでしょう? 脂っこいものが多そう。


ミカ: でもだからって、ふくよかな女が好きってわけじゃないよね、きっと。


ラン: それはそうだろうな。王子の理想=食べても太らない体質の女?


ひな: それ無理ーーーっ! 


シズ: だよね。


ひな: たまにいるけどね。すっごい食べるのに、めちゃスレンダーな子って。


サキ: そういう子って、たいてい背が高くない?


ユー子: そうかも。私もそうならよかったのに。食べても太らないは、絶対にないわ。


ひな: 普通は無理だよ。女優がよく言うダイエットの秘訣、よく食べるけど身体を動かしてますって、真っ赤な嘘だもん。


ラン: あれね。そういう人に限って、どう見ても葉っぱしか食べてないでしょって体型してる。


サキ: 脂肪どころか筋肉すらないもんね。


ラン: 結局はハードな食事制限か。厳しいな。


サキ: ねー。基礎代謝がもっと上がればいいのに。


ユー子: どこかに、食べても痩せる薬とかないかな。


ミカ: ユー子、それはヤバイ。それって人間やめちゃう薬だよ。安全な薬にそんなものはないから。


シズ: 今さら体質を変えることはできないから、考え方を変えるのよ。食べ歩きが好きってことは、女性を選ぶ際に、胃袋が大きな発言権を持つってことじゃない?


ラン: それはそうだろうね。「男を落とすにはまず胃袋を掴む」って昔からいうし。


ユー子: よし! クッキング部の私、一歩リード!


ミカ: ユー子は、まずそのハンターの目をなんとかしないと。怖がられて王子に引かれるよ。


ひな: 思った。幸い、王子は天然だからまだ気づいてない。今のうちに直せ。


ユー子: みんな忠告ありがとう。いい友達を持って、私嬉しい。気をつけるわ。


ラン: そうそう。王子をビビらせたら絶対にダメだよ。


ミカ: そう。女に幻滅を抱かせるような行為は禁止。視線も含めて優しくね。


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