◇SNS03 まさかみんな書いたの?
《2-A 連絡グループ》
ひな: 王子、鞄に手紙がパンパンに詰まってたけど、まさかみんな書いたの?
ユー子: もちろん。とっておきの便箋に、丁寧に、しかし押し付けがましくなく、慎重に言葉を選んで、この思いの丈を溢れんばかりに綴った。
ミカ: 既にそれ怪しい気がするんだけど。くれぐれも、怯えさせちゃダメだよ。
ラン: まだビビリ疑惑が完全に払拭されたわけじゃないしね。
ミカ: そう。手紙を書くにしても、内容の濃さと頻度はほどほどにしようね。
シズ: 特にユー子、気をつけて。
ユー子: はーい。手紙、王子、読んでくれるかな?
ひな: いや。期待薄。かなりの数だった。あれ、うちのクラスだけじゃないよね?
チカ: C組は分からないけど、B組は偵察に来てたから、あるかもね。
シズ: 王子、他の男子に手紙をどうするか聞いてたよ。
ラン: 他の男子は何て言ってた?
シズ: 確か、結城くんと上杉くんはスルー推奨。斎藤くんは読むけど返事を書くかどうかは微妙。北条くんは、読みたいけど無理……だったかな?
ユー子: 王子は何て?
シズ: 意見を聞いていただけで、どうするかは特に言ってなかった気がする。
ユー子: そっか。じゃあ、あまり返事は期待できないか。
ミカ: あれ? 上杉くんって、返事をくれるって有名じゃなかった?
チカ: だよね? 私もそう聞いたことがある。
キョーコ: くれるよ。上杉くんから、手紙の返事をもらったことがある。
チカ: どんな感じ?
キョーコ: 何て言ったらいいかな。達筆?
チカ: なにそれ?
キョーコ: 上杉くん、物凄く字が上手なんだ。縦書きの便箋に、時候の挨拶から始まって、クラスの何気ない話題に触れ、そして手紙のお礼と、最後のご自愛下さいまで、惚れ惚れするような字で書いてくる。
サキ: 私も貰ったことある。全く同じ。あれ見ちゃうと、もう下手な手紙は書けないよね。
キョーコ: うん。それっきり、手紙は書いてない。あれは、余程自分も字が上手くないとビビるわ。
ひな: 北条っちは、1回だけ返事をくれたよ。短い文面で、手紙ありがとうくらいしか書いてないけど。
ミカ: みんな沢山貰うだろうし、返事をくれるだけ2人とも凄いね。
チカ: 結城くんと斎藤くんは、やっぱり返事なし?
ラン: 手紙を書いたことあるけど、2人とも返事はなかったな。
シズ: 結城くんは、封も開けないイメージ。
ミカ: 斎藤くんも、基本的に書かないみたいだよ。
ラン: やっぱり、手紙はあまり有効なアプローチ手段じゃないのかもね。
ひな: なんか他にいい企画ないかな。男子と交流する。
ラン: パッとは思いつかないな。
ミカ: ごめん、話を変えていい? みんな、王子に妹がいるって知ってた?
ユー子: えっ、知らない。マジ? この学校?
ミカ: 中等部の3年生だって。
ラン: 妹か。王子に似てたら、物凄い美少女じゃない?
ユー子: 似てるの?
ミカ: 私が実際に見たわけじゃないから、不確かな情報だけど、全然似てないって。
チカ: 私の妹も中等部の3年生なんだけど、転入生について聞いたら、美人っていうより可愛い系だって言ってた。
ミカ: ちっちゃくて可愛い子だって、私も聞いた。それに明るい元気系だって。
ユー子: 元気系の妹か。OK、OK。いずれ、リサーチしなくては。
キョーコ: 来年になれば高等部にくるから、そのうち分かるでしょ。
ユー子: それもそうか。まずは、王子本人と仲良くならないとね。
ひな: くれぐれも暴走しないようにね。ドン引きされたらおしまいだよ。
ミカ: そう。男性は割と繊細なんだよ。女嫌いにしないように、気をつけなきゃ。
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