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 ――あれから、半年が経過した。


 真君と再会した私は、その直後再び外科手術を受けた。胃にできた腫瘍は悪性だったが胃の三分の二を切除し、全て取り除くことができた。


 辛い抗癌剤治療も、真君が傍で支えてくれたお陰で何とか乗り越えることができた。


 半年前、生きることを諦めていたら、私は今こうしてここに存在することもなかっただろう。


 真君が私を生かしてくれた。

 どんなに感謝してもしきれないほどの愛情で、私を全力でサポートしてくれた。


 ◇


 ――十二月二十四日、クリスマスイブ――


 空が都内の小さなレストランを貸し切り、私達の結婚披露パーティーを開いてくれた。


 親族と親しい友人だけの、ささやか立食パーティーだ。


 私達は何度も話し合い、事実婚でいいと思っていた。それを聞いた空は、真の子供のためにもケジメをつけるべきだと主張した。


 私達は半ば空に押し切られる形で、本日の結婚披露パーティーに至る。


「ねぇ、おばさん、この海老超デカくて美味しい。これなに?キャビアってコレのこと?フォアグラって、何だっけ?」


 翼ちゃんは豪華な料理に瞳を輝かせる。


「お、おばさん!?あのね、何度も何度も言わせないで。私はお姉さんよ。戸籍上もお姉さんになるんだからね。間違えないで」


「面倒くさ。おばさん歳幾つ?ねぇ、まだ結婚しないの?ていうか、パパが再婚だなんてあり得ないんですけど」


 翼ちゃんは悪態をつきながら、憎まれ口を叩く。


「翼、本当にウザい」


「ていうか、何であたし達が本宮になるわけ?意味わかんない。結婚するなら、おばさん達が西本になればいいでしょう」


「大人には、大人の事情が色々あるのよ」


 本宮の親族が私達の結婚を認める条件として提示したのは、真の家族が本宮の戸籍に入ること。


 私や空が姓を変えることは、『会社の経営上、様々な事業に混乱や支障を起こしかねない』と判断したためだ。


 従って、真は本宮家に婿養子として入ることになった。即ち、翼ちゃんと愁君も本宮姓を名乗ることになる。

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