200
――あれから、半年が経過した。
真君と再会した私は、その直後再び外科手術を受けた。胃にできた腫瘍は悪性だったが胃の三分の二を切除し、全て取り除くことができた。
辛い抗癌剤治療も、真君が傍で支えてくれたお陰で何とか乗り越えることができた。
半年前、生きることを諦めていたら、私は今こうしてここに存在することもなかっただろう。
真君が私を生かしてくれた。
どんなに感謝してもしきれないほどの愛情で、私を全力でサポートしてくれた。
◇
――十二月二十四日、クリスマスイブ――
空が都内の小さなレストランを貸し切り、私達の結婚披露パーティーを開いてくれた。
親族と親しい友人だけの、ささやか立食パーティーだ。
私達は何度も話し合い、事実婚でいいと思っていた。それを聞いた空は、真の子供のためにもケジメをつけるべきだと主張した。
私達は半ば空に押し切られる形で、本日の結婚披露パーティーに至る。
「ねぇ、おばさん、この海老超デカくて美味しい。これなに?キャビアってコレのこと?フォアグラって、何だっけ?」
翼ちゃんは豪華な料理に瞳を輝かせる。
「お、おばさん!?あのね、何度も何度も言わせないで。私はお姉さんよ。戸籍上もお姉さんになるんだからね。間違えないで」
「面倒くさ。おばさん歳幾つ?ねぇ、まだ結婚しないの?ていうか、パパが再婚だなんてあり得ないんですけど」
翼ちゃんは悪態をつきながら、憎まれ口を叩く。
「翼、本当にウザい」
「ていうか、何であたし達が本宮になるわけ?意味わかんない。結婚するなら、おばさん達が西本になればいいでしょう」
「大人には、大人の事情が色々あるのよ」
本宮の親族が私達の結婚を認める条件として提示したのは、真の家族が本宮の戸籍に入ること。
私や空が姓を変えることは、『会社の経営上、様々な事業に混乱や支障を起こしかねない』と判断したためだ。
従って、真は本宮家に婿養子として入ることになった。即ち、翼ちゃんと愁君も本宮姓を名乗ることになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます