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「本宮翼って、ダサくない?」
「本宮がダサくて悪かったわね。翼は昔の私によく似てるわ。でもね、翼は私よりも幸せだよ。翼のことを大切に想ってくれている優しいお父さんがいるんだから」
「どこが優しいんだよ。勝手に離婚して、勝手に再婚して、子供の気持ちなんて何も考えてないじゃん」
「……そう言われると、反論出来ないな。私もそう思ってた。大人なんて意味わかんないって。でも今ならわかる。翼も大人になるとわかるよ。人を愛する意味がね」
「わかりたくもないし」
翼ちゃんはプイッとそっぽを向く。まるで十五歳の頃の空みたいに、大人の話なんて耳も傾けない。
空や翼ちゃんや愁君には実母がいるのだから、私がどんなに頑張っても、実母の深い愛情には敵わない。
私は子供達の母親になれなくても、家族になれればそれでいい。
「礼、綺麗だよ。真ちゃんには勿体ないくらい」
ブルーのフォーマルドレスは空がデザインしたものだ。襟元には小さなダイヤがちりばめられている。シャンデリアの光に照らされたダイヤが、キラキラと輝きを放つ。
「空、あなたも素直になりなさい。明日から休暇をあげるから、ニューヨークへ行って来なさい」
「ニューヨーク……」
ニューヨークには空の恋人がいる。榊颯人はモデルとして大成したが、一年前にニューヨークに拠点を移し、ハリウッドスターを目指した。
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