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 もしかして、彼が噂の人気モデル……?


 彼は年上の俺に臆することもなく、饒舌に語った。


「どうも……西本です。ていうか……、空、一体何の用だよ」


「……えっと」


 彼が空の言葉を制し、話を続ける。


「空が西本先生の許可がないと、俺と付き合わないって言うから、交際の許可を取りに来ました」


「は?俺の許可……?」


「はい。空との交際を認めて下さい」


 彼は再び俺に頭を下げる。

 さっきよりも深々と頭を垂れ、まるで俺が未成年者を叱りつけているようだ。


「空、どういうことだよ。なんで……俺の許可なんだ?」


 空は頬を赤らめ照れ臭そうにヘラッと笑った。

 空のこんな顔、今まで見たこともない。

 可愛いを通り越して、不気味だ。


「真ちゃんに逢ってもらいたかったんだ。真ちゃんはあたしの先生だから。どうかな?颯人……合格?」


 ……ていうか、本人を目の前にソレを聞くか?


 大人びてはいるが、茶髪にピアスだし。モデルだからこんな容姿もありなんだろうけど、イケメンだからって空との交際をすんなり認めるわけにはいかない。


「君はモデルなんだよな?モデルの収入で生活できるのか?モデルをしていて、一般人の空と交際できるのか?未成年同士がいい加減な気持ちで交際するなら、俺は許可できない」


「モデルも一般人も同じ人間です。俺達は同じ高校で二年以上の時を過ごしました。空の家庭の事情も全て聞いています。西本先生が家庭教師をしていたことも、空とお父さんのことも。俺は空を悲しませたり、泣かせたりしません。空を泣かせるやつがいたら、この俺が許さない」


 声はデカいし、語尾はキツいし、俺に喧嘩売ってるのか?


 まるで俺が、空を泣かせたみたいじゃないか。


 ここまで言われて俺も黙っているわけにはいかない。


「モデルだからって、空とコソコソと付き合うなら、やめてくれ。こう見えても、空は純粋な女の子なんだ。堂々と交際できないなら、不合格だな」


「し、真ちゃん、こう見えてもは余計だよ」


 空は口を尖らせてむくれている。

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