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 ◇


 そして受験生達も追い込みの時期を向かえ、九月以降、選抜Sクラスは連日授業を行った。


 全国実力テストも校内のテストも、空たちは常にAランクに位置し、外見や言葉使いは再教育が必要だが、成績優秀な生徒だった。


 そして、一月に行われたセンター入試も想像を上回る成績を取り、二月前半には入試も終え、空は国立大学、春希も鈴も第一志望である東京六大学への現役合格を見事に果たした。


 他の塾生も志望大学の合格を勝ち取り、選抜Sクラスは浪人生を出すことなく受験を終えることができ、俺の役目は無事に果たすことができた。


 塾生達は卒業し、俺は晴れやかな気持ちで三人を見送った。


 もう逢うこともないだろう。

 そう思っていたのに、三月の終わりに空が突然塾を訪ねてきた。


 空の隣には、高身長のイケメンが寄り添っている。彼はキリッとした眼差しを俺に向け、深々と一礼した。


 大人びた態度とその容姿に、とても十八歳には見えなかった。


「真ちゃん、紹介するよ。あたしの……」


「はじめまして、空の彼氏です」


 彼は俺を見て、挑戦的に笑った。


颯人はやと、彼氏って、まだちゃんと付き合ってないでしょう」


「そうだっけ。西本先生の噂は空から耳にタコができるほど聞いています。空のことが心配で、高校卒業を期に東京に越して来ました。榊颯人さかきはやとです。宜しくお願いします」

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