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今日は進学塾で高校三年生の夏期実力テストが行われる。
このテストの結果を見て、成績順にクラス分けをする。もっとも優秀な生徒を集めて指導する選抜Sクラスが俺の担当だ。
選抜Sクラスが目指すは、国公立大学や東京六大学。
教室に入ると、塾生達は緊張した面持ちで俺に視線を向けた。
以前から入塾している者と、夏期講習から入塾した生徒。当校に入塾した合計八十人の生徒が三教室に分かれ、クラス分けテストを受けることになっている。
この塾は全国に教室を持つ大手進学塾。国公立大学への合格実績も高く、入塾希望者は多いが、成績不振の生徒もやる気さえあれば受け入れるようにしている。
正直、自分がこの進学塾の後継者になれるのか、不安は常に付きまとうが家族のためにも奮起するしかない。
俺はAクラスで試験官をつとめた。
テスト問題を配り、実力テストの説明を行った。
「一限目のテストは英語だ。開始時間までテスト問題は開かないで下さい。英語は筆記テスト六十分、リスニングテスト三十分です。準備はいいですか?それでは、開始します。始めて」
生徒達が一斉にプリントをめくった。静かな部屋にカリカリとシャーペンの音だけが響く。
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