【16】愛する人
真side
157
奈央と結婚して、二年の月日が流れた。
長女翼は二歳になり、俺にはもう一人家族が増えていた。長男、
二歳児と一歳児のため、家の中はいつも賑やかで、寝ている時以外は子供達の笑い声と泣き声がして、俺は気が安まる時間もない。
リビングには幼児用のジャングルジムにブランコ。玩具が散乱し、足の踏み場もない。
「うわ〜ん!」
「こら!翼、愁を泣かすな。愁、お前も男ならピーピー泣くな」
「きゃー!ママの真珠のネックレス!翼!何でバラバラにしたのよ」
俺と奈央は朝から子供相手に大騒ぎだ。
「いけない。遅刻だよ。奈央、あとは任せたからな。健闘を祈る」
「やだ!真、ズルいんだから」
「翼、愁、行ってくるよ」
「パパ、バイバイ」
「バアー……」
小さな手を振りながら、翼と愁が俺を見送ってくれた。
小さな天使達は時として小さな悪魔となる。まるで絵本に出てくる虫歯菌みたいに、黒い触角を生やしてニマニマと笑っている小悪魔みたいだ。
まじで……疲れる。
毎朝子供達に振り回されて、全ての体力を吸い取られ、仕事に行く前にすでにクタクタだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます