【16】愛する人

真side

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 奈央と結婚して、二年の月日が流れた。

 長女翼は二歳になり、俺にはもう一人家族が増えていた。長男、しゅう一歳。翼とは年子だ。


 二歳児と一歳児のため、家の中はいつも賑やかで、寝ている時以外は子供達の笑い声と泣き声がして、俺は気が安まる時間もない。


 リビングには幼児用のジャングルジムにブランコ。玩具が散乱し、足の踏み場もない。


「うわ〜ん!」


「こら!翼、愁を泣かすな。愁、お前も男ならピーピー泣くな」


「きゃー!ママの真珠のネックレス!翼!何でバラバラにしたのよ」


 俺と奈央は朝から子供相手に大騒ぎだ。


「いけない。遅刻だよ。奈央、あとは任せたからな。健闘を祈る」


「やだ!真、ズルいんだから」


「翼、愁、行ってくるよ」


「パパ、バイバイ」


「バアー……」


 小さな手を振りながら、翼と愁が俺を見送ってくれた。


 小さな天使達は時として小さな悪魔となる。まるで絵本に出てくる虫歯菌みたいに、黒い触角を生やしてニマニマと笑っている小悪魔みたいだ。


 まじで……疲れる。


 毎朝子供達に振り回されて、全ての体力を吸い取られ、仕事に行く前にすでにクタクタだよ。

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