143
「……真」
奈央が俺の背中に触れた。
「奈央……ごめんな。一人で大変だったよな。俺は無責任で最低な男だ。本当にごめんな……」
「……真、優しくしないで。……私に優しくしないで……」
俺は泣いている奈央を右手で引き寄せた。
「……真?」
「奈央……。俺と一緒に暮らそう。俺……翼の父親になりたい。……俺と……結婚してくれないか」
「……本気で言ってるの?真には……あの人が……」
「彼女とはもう終わった……。終わったんだ……」
奈央にそう告げることで、礼さんへの想いを断ち切る。
奈央はその言葉を聞き、体を震わせて泣いた。その震えが全身に伝わり、自責の念に駆られ胸が締め付けられた。
「もっと早く、迎えに来なければいけなかったのに……。もしも許してもらえるなら、翼の父親にならせて欲しい」
奈央は俺の胸に顔を埋め泣きじゃくった。俺の頬にも涙が伝った。
礼さんと空が……
俺に教えてくれたんだ。
家族のあり方を……。
親子のあり方を……。
翼に寂しい思いはさせない。
奈央が許してくれるなら、翼のために俺はもう一度奈央とやり直したい。
いや、そうしなければいけないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます