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「……真」


 奈央が俺の背中に触れた。


「奈央……ごめんな。一人で大変だったよな。俺は無責任で最低な男だ。本当にごめんな……」


「……真、優しくしないで。……私に優しくしないで……」


 俺は泣いている奈央を右手で引き寄せた。


「……真?」


「奈央……。俺と一緒に暮らそう。俺……翼の父親になりたい。……俺と……結婚してくれないか」


「……本気で言ってるの?真には……あの人が……」


「彼女とはもう終わった……。終わったんだ……」


 奈央にそう告げることで、礼さんへの想いを断ち切る。


 奈央はその言葉を聞き、体を震わせて泣いた。その震えが全身に伝わり、自責の念に駆られ胸が締め付けられた。


「もっと早く、迎えに来なければいけなかったのに……。もしも許してもらえるなら、翼の父親にならせて欲しい」


 奈央は俺の胸に顔を埋め泣きじゃくった。俺の頬にも涙が伝った。


 礼さんと空が……

 俺に教えてくれたんだ。


 家族のあり方を……。

 親子のあり方を……。


 翼に寂しい思いはさせない。

 奈央が許してくれるなら、翼のために俺はもう一度奈央とやり直したい。


 いや、そうしなければいけないんだ。

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