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 ――千葉――


 封筒の住所を頼りに、奈央の実家を尋ねる。

 奈央の実家に行くのは初めてだった。


 閑静な住宅街、自然豊かな団地に奈央の実家はあった。築年数は古く木造住宅。庭には物干し竿があり、ベビー服やおしめが風に揺れていた。


 車を敷地に停め、玄関のチャイムを鳴らす。


 玄関ドアは閉まっているのに、家の中から元気な赤ちゃんの泣き声が聞こえた。


 ――翼……。


 胸が締め付けられるような思い。

 緊張から鼓動が速まる。


「はい、どちら様ですか?」


 玄関ドアが開き、少しふっくらした奈央が俺に驚き、大きく目を見開いた。


「真……どうして?」


「奈央……元気そうだな。翼の認知に来た。区役所に行く前に、翼の顔が見たくて……」


「……ありがとう。わざわざ来てくれたのね。捌けているけど、さあ上がって……」


 奈央の目は、すでに潤んでいた。


 俺は玄関で靴を脱ぎ、奈央の後を歩く。赤ちゃんの泣き声がする方向に、少しずつ近付いていく。


 全身に緊張が走り、鼓動の高鳴りが自分でもわかる。

 翼の泣き声を聞いているだけで、すでに胸に熱いものが込み上げた。


「オギャアオギャア……」


 赤ちゃんの泣き声が、その想いを加速させる。

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