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 俺が父親だと名乗る資格なんかない。


 だけど……無事に産まれたと聞いた瞬間、愛しさが込み上げる。


 一目だけでいい。赤ちゃんに……逢いたい。


 俺にそんな資格はないのだと、そう思う反面、赤ちゃんに逢いたいという気持ちが心を突き動かす。


 でも……自分から子供に逢わせて欲しいとは、奈央に言えなかった。


 三日後、俺のアパートに奈央から封書が届いた。その中に、可愛い赤ちゃんの写真が一枚入っていた。


 写真の裏には、名前が書かれていた。


つばさ6月10日生】


 ――翼……。

 いい名前だね。


 ――翼……。

 ごめんな。


 こんな父親でごめんな。


 写真を見て、涙が溢れた。


 俺は本宮氏と何ら変わらない。

 我が子に空と同じ寂しい思いをさせてもいいのか。


 産まれながらに、父親のぬくもりも愛情も知らないなんて……全部俺のせいだ。


 ◇


 日曜日、俺は封筒の裏面に書かれた住所を頼りに奈央に逢いに行く。


 翼の認知をするためには、父親が嫡出子とする出生届を提出する必要があったからだ。


 でも、本当は認知は口実で翼に逢いたかった。

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